【中編・迷走と出会い】なぜ経営コンサルタントを目指していた大学生が、全く興味がなかったネット広告ベンチャーで働くことになったのか。

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2016年2月

僕は就職活動と、コンサル会社のアルバイトで多忙を極めていた。


元々院への進学を考えており就職活動に進路変更した時点ことで、忙しいイベントが重なっていた(さらにゼミ論文締め切りや期末テスト、家族旅行などが降り掛かってきた)。


そして大手コンサル会社を中心に行っていた就職活動を通して、自分が持っていたコンサルタントのイメージが崩れてきていたのを感じていた。

特に

・生産性が高いから高給→ハードワークだから高給

ハードワークだから高給なのは当たり前なのだ。問題は時間給換算した時にアルバイト並の時給だった時で、僕はこういった会社に入ったら後悔するだろうと感じた。


・働き方:チーム主義→個人主義

コンサルは個人単位で働くことが多い。当時は個人単位で働くならば、組織に属する意味を見いだせなかった。


・生き方:太く長く生きる < 早死してもいいから、無理してでも太く生きる

僕は、太く長く生きたかった。どんなに太くても早死は勘弁だ。

という3点は志望度を大きく下げた(もちろん全てのコンサル会社がそうだといっている訳ではない)。


またコンサルのアルバイトを通じて、実務経験が乏しいがための無力感を感じていた。

働いたこともない自分が他の会社に対して経営指南なんてできるのか?ってね。


就職活動は誰でもストレスが貯まるものである。



段々と心が荒んでいく中で、無意識に僕の会社選びの基準は「年収」と「福利厚生」に変わっていった。元々コンサル会社ばかり見ていたこともあり、求める基準も高かったため普通の会社では満足できなくなっていた。


そんな心境で就職活動を続けていた時、採用イベントでとあるベンチャーのプレゼンを見た。そこには「3年で年収一千万円」の文字が踊っていた。

結局、その”とあるベンチャー”とは雰囲気が合わず、別れることになるのだが、このプレゼンを見て、僕はコンサル志望の学生からベンチャー志望の学生となった。一千万円だけに現金なものである。


理由としては、

・会社の急成長に乗ればコンサルよりも効率よく稼げる

急成長するってことは生産性が高いってことだ。さらにベンチャーなら上のポストもガラ空きだと考えるのが自然だよね。

・コンサル会社や大会社よりも幅広い実務経験を積むことで自己成長が期待でき、長期的な利益は大きくなる

コンサルは専門性やプロフェッショナル性が重視される。ベンチャーには専門性とともに会社の数字や雑務にも携わなければならない環境がある。どちらがいいかは人によると思う。

・コンサルよりベンチャーの方が社長になりやすい

ベンチャーという選択肢は僕に大きな衝撃を与えた。その衝撃は、コンサル出身者として他社の経営陣になるより、急成長の波にのって分社化・子会社化された組織の経営に携わる方が可能性が高いと判断するに十分だった。

といった3点が大きい。


様々なベンチャーを見る中で、多様な経営者の方と話す機会が持てたのは幸運だったと思う。人材や環境・社会貢献を主とする会社などとも接点を持ち、その理想やビジョンの志の高さに感銘を受けたりした。


また、ベンチャーは説明会や選考を通して個人個人をしっかりと見てくれることが多く、これは自分をしっかりと見つめ直すきっかけになった。


その結果、入り口はお金だったはずだが、いつの間にかどうでもよくなり、会社選びの基準が「年収」と「福利厚生」から「楽しく働けること」や「やりがいのある仕事」「自分の人生を賭けられるほどの会社・環境・人であること」へと変わっていった。


就職活動をやったことのない人や就職活動前の大学生から見ると、綺麗事や絵空事のように思えるかもしれない。

だけど、就職活動に対して真摯に注力した人ならわかるはずだ。

自分が理想とする会社がどこかにあることを。




2016年3月18日

奇しくも僕がベンチャー志望の学生に変わったイベントと同形態のイベントで、僕はその会社に出会った。

とはいえ、その事業内容に全く興味もなくイベント参加会社6社の中では4位ぐらいの志望度だったと思う。


運命のいたずらか、はたまた神による采配か(実際はイベント主催会社による采配により)。

ワークショップが終わり座談会のフェーズで僕は、その会社の話を聞いていた。

座談会の印象として、話の内容は殆ど残っていない。

代わりに男女2人組の人事の方が担当していたのだが女性の方が一言も喋らず、ぼんやりと「何しに来ているのか……」と疑問に思っていたことや、

話しが一通り終わり、質疑フェーズに入ったが、周りの学生から質問が中々飛ばず(往々にしてよくあるのだが)気まずい空気が流れたので、話しの中で唯一引っかかっていたVRに関する新規事業という話について質問をしてみたことは覚えている。


VRについてだが、元から僕は情報工学について齧っていたこともあり、最新技術に携わった仕事をしたいという欲求もあったのだ。


そして、人事の方の雰囲気も良い感じ(雰囲気が自分と合いそう)だったこと、VRに関する仕事ができるなら、と募集していた1dayインターンの予約をとった。

詳しく話を聞いてみると、社長もイベントに来ていて待ってくれれば話しができるとのことだったので待った。

10分・20分待つはずだったのだが、色々あって結局1時間以上待ったように思う。


この時点で夜の8時で、その後の予定は無かったし僕にとってはベンチャーの社長と直接話す機会を1時間待つだけで得られるなら、コストは0に等しかった。

もちろん待っている間、ただ呆けていたわけではなく思い切って人事2人組に話しかけていた。僕としては顔を覚えて頂けるなら儲けものといった動機だ。


細かい話の内容までは覚えていないが、仕事関係や自分の経歴などのとりとめのない話だったように思う。唯一覚えているのが、人事の方の元カレが僕の出身地と同じだという話だ。これを聞いたときに、僕は「この人(会社)大丈夫か……?」と本気で心配したものだ(普通、就職活動のイベントで初めて会った学生にそんなプライベート話さないからね)。ただ、心配したのと同時に”普通じゃないという点”に興味を持ったのも事実なのである。


1時間待った後は無事に社長とも話すことができた。話の内容は割愛するが、今思い返してみても就職活動を通して出会った、会社の方の話の中で一番笑った時間だったように思う。


その社長のエネルギー・考え方・価値観を40分程の話の中で受け止めた僕は、すっかりファンになっており、今日のイベントは手応えありだったな!と思いつつ帰路についた。

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岩田 啓太郎

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