入社して3週間で社長をディスったらクビになりましたvol.2

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2. あまり稼げない日々と運命的な出会い




個人事業主として事業「タイガーチャンネル」を立ち上げた大河であったが、なかなか上手く稼ぐことができていなかった。


大河「えー!?1記事400円!?これ3時間かかったんすけど……時給133円……とほほ」


そう、仕事は多いものの、単価の低い仕事が多かったのだ。ライターは飽和し、クライアントも飽和している中で、未経験は安い単価の仕事の受注から始めねばならなかった。


蔵人仕事では実績制度というものがある。1案件終わるたびに実績が増え、クライアントからの評価が受けられるというものだった。大河は元々就いて来た仕事が、接客業やクライアントとのメールのやり取りが多い職業だったので、クライアントとのやり取りは実にスムーズで丁寧かつ、レスポンスも速い方であった。結果、クライアントの評価は上々。5点満点で5を頂くことが多かった。


大河「単価は安いけど、まあ実績積めれば良いね。いい仕事のオファーが来るかもしれないしな。」


ひとまず報酬は度外視でどんどんクライアントに応募し、受注していくのであった。


・美容系メディアクライアントの場合




美容関係の悩みを解決するメディア作りを!との募集に応募した大河。書いた記事に対してのフィードバック(添削)が丁寧で、かつスピーディなクライアント。ただ、単価が恐ろしく低いのがネック。ここで何件かこなすことによって、実績を積み、経験を重ね、スキルを得たのだった。




・嘘つき系クライアントの場合




自由なテーマで記事を書いてください!というクライアント。報酬はそこそこ。グーグルスプレッドシートと言って、web上にてエクセルの表を複数人で編集出来るサービスを利用して、進捗管理を行なっているようであった。クラウドワーカーにはおなじみのサービスである。そこへ自分の書きたい記事のテーマなどを記録し、承認を受け、執筆をして納品するという流れ。順調に案件を進めていた大河であったが、ここで事件が発生した。他の執筆者が大河の情報を削除してしまったのだ。


大河「他の人に削除されちゃったんですけど!このままじゃ作業続行できません!」


クレームをつける大河。その大河に対してのクライアントの答えは……


クライアント「大河さんが操作を間違えて消してしまったようですよ。うちに落ち度はありませんし、他の方の落ち度もありません」


なんということだろう。嘘をついて責任逃れをしたのだ。とんでもないクライアントだ。


大河「もう報酬は結構なので契約解除してください」


大河はひどいクライアントが存在することを、身をもって経験した。そして、これからはしっかりとクライアントを見極めて取引していかなければならない、と気を引き締めたのだ。


・ペット系クライアントの場合




youtubeのペット系動画を画像キャプチャーして、記事にしてください。海外サイトのペット系記事の翻訳をしてください。というクライアント。エンドユーザーは若い女性がターゲット。単価は安いが、何件か重ねるうちに作業に慣れ、記事作成スピードを2倍ほどにあげることが出来た。このクライアントは、


大河さん!今回も素晴らしい記事ですね。


女性目線でしっかりかけています!いつも有難うございます


この調子でお願いしますね!


またお願いしたいのですが、可能ですか?


などなど、レスポンスが早く、対応も丁寧でライターとしての大河への敬意を忘れない、素晴らしいクライアントだった。ただ、このクライアントも単価が安かった。


他のクライアントと一線を画していたのがこの対応だ。


大河さん、うちの案件は単価が安いです。ライターさんにとっては割りの悪い仕事なんですよ。だから無理せずやってくださいね。


自社の悪い面、弱点を隠そうともせず、ライターへそのまま伝えてしまったのだ。なんという思いやりだろう。なんという感謝の気持ちだろうか。敬意にあふれている。前述の嘘をつくようなクライアントとは、比べ物にならない素晴らしい姿勢であった。


大河「なんちゅー素晴らしいクライアントさんや……。ほんまこの仕事頑張ったろ。」


単価の安い仕事ではあったが、張り切って仕事をする大河。しかし、それも長くは続かない。とある日……


大河さん、申し訳ございません。記事のストックが充分な量になってしまいました。しばらくお仕事の依頼ができかねます。また、機会があればお願いさせていただきたく存じます。今までありがとうございました。


大河「こちらこそありがとうございました。大変気持ちよく仕事を行うことが出来ました。ぜひ、仕事ができたらまた、オファーをお願いいたします。」


仕事は永遠にあるものではない。だが、素晴らしいクライアントに出会えたことで、大河はまた一歩前に進むことができた。


この時点で大河は、実績を20件ほど積んでいた。


・税金セミナー、そして運命的な出会い




時間は少し戻り、案件を10件ほどこなしていた頃。大河は個人事業主としてやっていくことを決め、税務署へ個人事業主開業申請と、青色申告を行なった。そして様々な勉強が必要であることを痛感していた。


大河「青色申告ってどうすんの……。わからん。全くわからん。」


ネットで調べたところ、mfクラウドという、ウェブ上でつける帳簿が便利ということが判明した。とりあえず登録してみると、mfクラウドから1件のメールが届いたのであった。


【税理士が行う!税金無料セミナー!】


大河「おお。とりあえず税金の勉強は必要だな。無料だし行ってみるか!」


こうして大河は税金セミナーへ登録し、当日を迎えた。場所は大田区蒲田だ。


大河「こんにちは〜!」


すみません、もう終了のお時間です。


大河「えっ!?」


なんということだろう。大河は開始時間と終了時間を間違え、終了時間に到着してしまったのだ。資料だけを受け取りトボトボと税理士事務所を後にする大河。


大河「はあ。なんというおっちょこちょい。酒でも飲んで帰ろう。」


フラフラと大通りを歩いていると、一つの看板が目についた。


2時間3,000円で飲み放題!カラオケ歌い放題!


大河「おっ。いいじゃん。ここにしよう。」


酒とカラオケが大好きな大河にとっては、ぴったりの場所であった。店の名前は「ニューエイト」。大田区蒲田駅東口から徒歩3分の場所にある、ライブハウスだ。


地下へ降りていき、扉を開け、店の中へ入る。少し暗いがいい雰囲気だ。中は意外と広く、100人は入りそうなハコ。バーカウンターが設置してあり、中にはバーテンらしき男性と、中年の男性二人がカウンターに腰掛け酒を飲んでいた。ステージがあり、ドラムセットが設置してある。


大河「すみませ〜ん」


バーテン「は?なんですか?」


大河「えっ……」


どうやら怪しまれているようだ。


大河「お酒、飲みに来たんですけど……」


バーテン「あー!ごめんなさい!お客さんでしたか!いらっしゃいませ〜!」


話を聞くと、どうやら怪しいセールスマンが多いらしく、壺か何かを売りに来た人間だと思われていたようだ。出来たばかりの名刺を配り、バーテンと雑談し始めた大河。名前はピコ。シェフも兼任しており、料理は一流の腕を持っていた。特にナポリタンは絶品だ。値段は800円。ナポリタンに舌鼓を打ちつつ、中年男性たちとも挨拶をした。


美味しいお酒を頂きつつ、話を聞く。


パニー「俺はサックスやってんだ。よろしくな。」


どうん「ここの店でPAやってるものだよ。よろしくね。」


しばらくすると、30歳くらいだろうか。セクシーでキュートな女性が店に入って来た。


大河(うおお、おっぱいでけえ)


女性「どなた〜?」


大河「初めまして!フリーライターやってる大河と言います!」


話を聞くと、なんとその店のオーナーだった。新しい時代に対応するため、前オーナーが娘に全権を移したのだ。名は中嶋万里子。


まりこ「マリって呼んでね〜。タイガーちゃん!」


大河「は、はいマリさん。よろしくおねがいいたします。」


大河(うおお、おっぱいでけえ〜)


4人と意気投合し、時間もソコソコに店を後にした大河。不思議な縁を感じつつ、良い出会いに感謝した。大河は、今後この店で起こる様々な事件に巻き込まれる事になるのであるが。その時点では、想像だにしていなかったのである。

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大賀 康寛

フリーライター兼、イベンター

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大賀 康寛

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