貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第35回)

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第3章〔騒動編〕 おかしな三つの物語

世の中にマヌケな人間は多けれど、
まいくばあを筆頭とする前沢家の面々はじゅうぶんに
その有資格者、いや有段者、いや師範代?かも知れませんぞ。

マヌケなヤツらのすることは当然のごとく間が抜けた顛末となるもの。
ここに書き出したる騒動三題は、
古き良き時代のニッポンを彷彿とさせて(させないか)
家族愛に満ちた(愛なのかな?)物語となっております。

人様から見れば「おかしなヤツら」と間違いなく思われましょうが、
本人たち、というよりまいくばあは至って本気であります。
そう、いつだってまっすぐゴー!なんです。

ここでは本気のドタバタをお目にかけます。
それでは第三幕、開場です。



『シゲマサ騒動記』


少し長いお話しになります。おつきあいのほどを。

今を去ること五十年くらい前。高度経済成長期の真っ只中、昭和三十年代の終わりの頃であります。
まいくばあの相方(つまり僕の父ですが)は、「いいヒト」ですがあまりからだもこころも頑健というわけでなく、仕事をすぐ休みたがる、結果よく休む、辛抱性がない、だから仕事が長続きしない、つまりは甲斐性がないという、まあどこでもいるそういうタイプの人でありました。
飲む、打つ、買うの「飲む」の部分がことさらの問題でありまして、借金をこしらえたり女に走るというわけではない(むろんその手のヒトですから全然ないこともありませんが)。 ただ「酒に飲まれる」タイプでしたな。自由気ままにしたい、できるなら働きたくない。
「酒飲まなきゃ神様」の見本のような人、といえばお判りでしょうか?すぐ仕事を辞めてくる。すぐ酒に逃げる。どうも若い頃から、なにか食い足りない、物足りないヒトですよ、まいくばあにしてみれば。
もともとやつらは親の反対を押し切りの、二十二才と十九才の結婚ということもあり、まいくばあは「ほれ見たことか」と言われるのがいやで自分が頑張らなきゃと思ったのでございましょう。そのころには遅くからの子として生まれた、ひと回り下の妹がおりましたから、もしかしたら養女という立場もあって奮起したのかも知れません。

そこで考えた。「そーだ、名前が悪いんだ。名前を変えよう!」
自分のでなく、相方の名前を変えることを思いついた。思いつかれた方にすればとんだメイワクであります。


(明日に続く)

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前沢 しんじ

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