24歳ニートの僕が、謎にインドネシアに行って社長になるまでの話。前編
僕の周りに、夢を叶えている大人なんていなかった。
就職して、やりたくもない仕事をして、愚痴を肴に酒を飲み、
理想や夢を語る人を「現実が見えていない」と見下すような大人ばっかりだった。
そんな大人をかっこ悪いと思っていたし、あんなふうにはなりたくないと思っていた。
そう思っているだけで、何の行動も起こさない自分もダサかったのだけど、その頃はまだ、自分を客観視できるほど大人じゃなかった。
このストーリーは、何のとりえもない、ごく普通の学生が社会人になり、サラリーマンを辞め、インドネシアで起業し、ニートになって、また再スタートを切り、経営者になるまでのお話しです。
■お金は無いけど時間は贅沢につかえた。卒業も危ないどこにでも居る「中の上」の学生時代
勉強もスポーツもそこそこできる中学生だった。
なにかに夢中になることは無かったけれど、それなりに何でも楽しんでいた。
「中の上くらい」という表現がぴったりな中学時代は「高校受験の失敗」で幕を閉じることとなる。
頭が良い高校に入るとそのあとが大変だから、
普通レベルの高校に入って、楽して良い成績をとって、
適当に弱小サッカー部にでも入って、たいして練習もせずレギュラーになって、それなりに楽しもう。
そんなことを考えていたら、見事に不合格になってしまったのだ。
結局僕は、電車と自転車で1時間くらいかかる私立高校に入学し、
ヨレヨレスーツを着て疲れ切った顔をしているおっさんと、
満員電車で席取り合戦のデッドヒートを繰り広げることとなった。
勝率は半々。
そんな戦いを3年間続け、卒業が間近に迫っていたある日、
「僕はもうこの電車に乗らなくなるけど、この人はいつまでこんな戦いを続けるんだろうか。」と、ふとそんなことを思った。
多分、会社を辞めない限り、おっさんはこんな毎日をずっと続けていくのだろう。
自分もそうなってしまうのだろうか。大きな恐怖と不安に襲われた。
大学進学は"キリスト教同盟高校推薦"という謎の推薦枠で某私大に決まった。
入学が決まった時は、クリスチャンでもないのにイエス様に心から感謝したものだ。
当時の僕は『オレンジデイズ』というドラマに影響を受けていて、
甘酸っぱくてキラキラした大学生活を送れるものと信じて疑わなかった。
淡い期待を胸に抱いて臨んだ大学生活はというと、
サークルに入ったり、テスト前に仲間内でノートを貸し借りしたり、
大学2年時で「4年で卒業できる可能性は17%」という手紙が送られてきたりという、絵に描いたようなダメ人間の生活だった。
加えて僕は、勉強はからっきしで、バイトも全くしない学生だった。
お金が無くなったら日払いのバイトをして、不要なものはヤフオクで売って生活した。実家から通学していたし、タバコもお酒もやらないし、服にもそんなに興味がなかった。
お金はなかったけれど、その代わり時間は贅沢につかうことができた。
安くて空いているときに海外旅行に行ったもりした。
友人の多くはバイトが忙しく、費用も高く、混みあう時期にしか旅行にいけないと言っていて、「せっかくバイトで稼いでも、高い時期にお金を使っていたのでは本末転倒だな」と感じていたことを覚えている。
時間さえ自由に使うことができれば、お金をかけなくても楽しむことはできる。
そう考えていた。
そんな僕も気が付けば大学3年生。
周りはだんだん就活スタイルになり、自己分析やSPI対策をするようになっていた。
髪を黒く染め、リクルートスーツを着る。
"皆と同じにすること"に心のどこかで疑問を持ちながらも、僕も就活の波に呑まれていった。
「大手に受かったら勝ち」というようなゲーム感覚で、気が付けば受けた企業の数は85社を超えていた。
「あんな大人になりたくない」と思っていたのに、結局僕もサラリーマンになっていくのだ。
入社1カ月前に受け取った手紙に書かれていた配属先は、北海道支社。
たった1通の手紙で生まれ育った街を離れ、縁もゆかりもない土地へ行く。
「これがサラリーマンか・・・・・・」と学生生活の終わりを実感した瞬間だった。
■言い訳だらけの社会人生活、そして念願のリクルートへ!
2009年4月、社会人生活の始まり。
スーツを着て、決まった時間に決まったことをする。
数日前まで学生だったのに、こうも劇的ビフォーアフターな生活をしなければならないなんて思ってもみなかった。
僕が入社したのは事務系人材派遣の会社で、
「軍隊も恐れる縦社会」という噂がある通り、とんでもなく厳しいところだった。
とにかく毎日鬼の飛び込み営業で、月に1370件飛び込んだこともある。
でも、どれだけ飛び込んでも受注は0件。
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