【第23話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

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「胃ろうをしない」という選択

私達は、胃ろうをしないという決断をした。

決め手となったのは、父本人の意思だった(と思いたい)。


父が食事を摂れなくなり、何度か病院へ検査をしにいったのだが、そのうちの1日のことだった。

検査までしばらく待ち時間があり、施設から付き添っていてくれた看護師さんとも胃ろうの相談をしてたりしたのだが、ちょうど看護師さんが施設に電話連絡をするため席を外し、ストレッチャーに寝ていた父と二人になった時があった。


父の認知症はなかなかに進んでいて、会話のキャッチボールもままならない事が増えていたが、それでも普通に会話できるときも勿論あったので、思い切って父に聞いてみたのだ。

自分
父ちゃん、ご飯食べるのしんどいかい?もし父ちゃんが希望するなら、胃ろうって方法もあるよ。
???
自分
胃ろうってね、お腹を少し切って、そこに管を通して、胃に直接栄養を入れるんだよ。そこできちんと栄養とれて元気になれば、また口からご飯食べられるようになるかもしれない。

すると、父はいやそーーなをして、首を横に振ったのだ。

自分
わかった、父ちゃんの嫌なことはしないから、やらない。安心して。

話の内容を半分も分かってなかったかもしれない。病院で話したから、今すぐに手術されると思ったのかもしれない。私の見間違いかもしれない。

でも、私は父の意思を受け取ったと思った。

その後、姉にこの時のことを話し、姉は信じてくれた。

こうして、この先何度も胃ろうの選択を聞かれることがあったが、私達は「しない」を貫いた。

ここだけは、これまでもこれからも、絶対後悔しない。


そして、父は秋に「奇跡の復活」を成し遂げる。


つづく


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