⑥行き着いた場所…

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『あなた、いくつ~?』○本さんが、小首をかしげて私を見つめた…えっーと、○歳です!正直に答えると…

『ふぅ~ん、私はにじゅう、にさいなの~♪』……へっ?…にっ、にじゅう・・そうなんですか…

○本さんは、かなりお身体がふくよかで、『塗り絵』と『食べる事』が大好きな、幼女の様な方だ…ニジュウニサイデワナイ…

『あら~おなかに赤ちゃんが、いらっしゃるのねぇ~』今度は私のおなかを指差して仰った……うっ…確かに…たしかに私お腹おおきいです……でも…憶えないし、エプロンの前ポッケに、そう!タオル入れてるし~…『ハイ!8ヶ月です!』…高らかに私は、カミングアウトした…『まぁ~大事にしてね~』とTさんは私のお腹を嬉しそうにスリスリして下さった…(-_-#)結構、凹むんですけど…

と…○本さん『チ~ちゃん何処行ったの?』チ~ちゃん?…確か○本さんの娘さんだったよね?チ~ちゃんは、夕方になったらお迎えに来ますよ~と言うと『チ~ちゃん!ちぃ~ちゃん!!』と回りを必死の形相で見回すと、『ふぎゃ~!うぎゃ~~!!』と泣き始められたε=┏(; ̄▽ ̄)┛皆の視線が一斉に…げっ!私、泣かした?


私は、このディサービスを半年で辞めた…

軟弱な私の腰と膝が、廃車状態…介助の際、利用者さんに怪我でもさせてしまったら、もう取り返しがつかない…腰の痛みで寝不足続きの中、決心した…

今回、リアルでシビアなところは、あまり書いてありません…ほんの半年、この世界をかじったとも言えない、わずかな経験、時間…そこを書くにはあまりに未熟な私が、うかつには書けない気がして…実際の現場は、こんなのどかな場面ばかりではありませんでした…

正直、長生きなどしたくない…と思う場面が幾度もありました…

年を取ると小さな子供と一緒よねぇ~と仰った方がいましたが、全く違うと思います…

もう何もわかってない…なんてとんでもない…長年、色々な苦難を乗り越え、それぞれ必死に生きてこられた歴史が…ふとした場面で圧倒される事がよくありました…

そして、こちらの気持ちをとても敏感に感知されます…舐めてかかると、とんでもないです(笑)人生の大先輩…という尊敬の念を、心の隅において接しないと、何も言う事は聞いてくれません…

老いる事は、辛い、情けない、残酷です…

でも、生き抜くしかありません…そんな中でたった一瞬でも、ひとときでも、人と人が通じあった気がする、心が同調した気がする瞬間…それがどれほど、人を慰め、力に、希望に…たったひとりで、苦しい人生の旅を励ましてくれるか…気づかせてくれた半年間でした…

かなり手こずらせて下さった皆皆様…み~んな『いとおしい…』です(^^)

綺麗ごとを言ってると思いますか?(笑)

最後の日、○本さんが別れ際に所内中に聞こえる声で言って下さいました…

『おなかの、赤ちゃん、大切にねぇ~~!』


…終わります



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