ニートで恋愛依存症だった自分がゲームで出逢った人を好きになり経営者になった話し11

お店を買い取る!

経営者になる!

そう決めてからは目が回るような忙しい日が続いた。

やった事もない役所の手続きやら、書いた事もない事業計画書の政策、お金がないのでスタッフの委託契約書も全て見よう見まねで自分で政策した。それこそ恥ずかしい話し、パソコンのエクセルやワードすら使い方が分からず、そこからの勉強だった。

スタッフの人達1人1人にも頭を下げて協力を求めた。

幸いスタッフは全員力を貸してくれる事になり誰1人辞める人が居なかったのが本当に心強かった。

ある程度契約等の手続きが終わり、後10日でオーナー交代となった日、来月のスタッフのシフト表を確認していると、現オーナーの出勤が0日になっていた…。

「えっ?」

どう言う事か聞いてみると…

私は失敗したオーナーで、新しいオーナーとして生き生きと輝いてる青木さんを見ながら仕事するのは、やっぱり辛いので後10日で辞めます。

と言われた。

頭が真っ白になって怒りが込み上げてきた。

今まで彼女が大変だった時、休みも返上して時には仕事が終わり家に着いた瞬間に、お客さんが来たから戻って来いと言われ、この半年誰よりも彼女を支えて来た自信があった。

今、こんな1番不安な時に、そんな理由で辞めるなんてあんまりだと思った。

それでも私は怒りを抑えた、怒って文句を言ってる場合ではないのだ、オーナーは私なのだから。

あと10日で足りない日数分のスタッフを確保しなければいけないのだ。

当然、私には名古屋にもリラクゼーション業界にも頼めるような友人も知り合いもいるはずない。

私は今まで、この店にいて辞めていったスタッフに手当たり次第連絡をとった。

何とか来月だけならと言ってくれるスタッフが見つかってホッとした。

それが終われば今度は現オーナーのお客さんの引き継ぎをしなければ行けないと思った。

私のマッサージでお客さんを納得させれなければオーナーを指名していたお客さんは全員来店しなくなるだろう。

お金にすると、とんでもない損失になる。

でも現オーナーは業界歴16年の大ベテラン!

誰もが認めるほど腕の良いマッサージ師だった。

私は業界半年の…

考えるのは辞めよう。

腕でかなう相手ではなかった。

私は私のサービスで認めてもらうしかないのだ。

そして、その日から地獄のような引き継ぎが始まった。

どのお客さんも、あんたで大丈夫?と言う目で見てくる。

露骨に「オーナーやるからにはうまいんでしょ?」と言ってくる人もいた。

プレッシャーに押し潰されそうだった。

半年だから…そんな言い訳が通用するはずもない。

結局、私の力で引き止めれたのは半分だった。

半分でも良くやった!自分を褒めた。

しかし、その代償に左の親指を完全に痛めてしまった。

こんな大事な時に!!!

自分の不甲斐なさに涙が出た。

それでもオーナーになった以上、今この大事な時に揉めませんとか言ってはいられなかった。

どうしたらいいのか…。

私は前オーナーの言葉を思い出した。

「手を痛めた時が上手くなる時なんだよ」

言われた時は意味がよくわからなかったけど、

どう揉めば痛めた指を使わずに揉めるのか試行錯誤を重ねた。

指ではなく膝に全神経を集中させる時間を増やしてみた。

膝での施術が格段に上手くなった。

こう言う事か…。

私は少し成長した気がした。






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