僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(5)

前話: 僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(4

ブレイカーを落としていたから
家の電話の子機の充電が切れる音が鳴り始めた
そのとき何者かがおいらに告げる
俺の存在を教えるな
そしていつなのか時間を言うな
電話の子機が定期的に鳴る
何かを録音しているのかと思った
頭の中で戦慄が走る
ここは戦場だった
多くの人が死にそしていまがある
俺はそういう人たちの骸の上に生きている
父と母が来ると直感した
実際、警察と役所が両親に連絡して
両親が病院に連れて行くためにむかっていたのだ
おいらはそんなことは知らず
何か武装した人たちが照準を当てて
見張ってると感じていた
照準は自分に向けられており
何かを発射している
おいらは死んでも仕方ないかなぁと感じていた
このマンションはなんとなくやばいと感じていた
雷がしばらくして鳴り
父と母が来ると感じた
そして実際に玄関が鳴った
父と母が来ていた
病院に連れて行くといっている
否定せずに病院に向かう車に乗る
車の中で何者かがまだいて言う
お前には全部経験さしたる
普通はこんなことはないねんで
ヒヤッとする思いから
ハッとする思いとか
フ~ッてなる思いとか
いろんな経験さしたる
最後は光に包まれてドロンや
車の中での声にビビッた
おいらは引き返すように父に言った
聞いてくれない
病院に向かっているのだ
病院について待合室で待つ
予約の日でないから待ち時間が長い
おいらは不意に逃亡を図る
どこに向かうというわけではない
御堂筋の道の碑に向かった
今はこの道と書いた石碑はない
途中地面を見た
進化の過程をアメーバまで戻るという意識が
頭の中をよぎった
進化の過程を何世紀もかけてやり直すのだ
父と母が息を切らしておいらを見つけて
病院に連れて行った
このときに入院が確定したのだろう
おいらはしらなかったけど確信していた
それでもわけのわからない世界が
頭を支配していく
すべてを経験して光に包まれてドロン?
自分の経験上もう2回は光の何かが起きている
病院から実家に向かった
薬を待つ時間の長いこと
私は帽子を目深にかぶり
宇宙についてのことが妄想として
繰り返し浮かんできていた
始まりはなんだったのか
いま世界に旅行しているけど
自分たちは晒し者になっている
両親は悲しそうだ
私の中で複雑な思いと妄想とが
せめぎあっている
地球に何かが降る
そいつを回避しないといけない
もう何人かは宇宙船で地球を立つ準備をしている
わけのわからない妄想が始まる
世界旅行に向かう
その汽笛が鳴るはずだ
車は沿岸沿いの実家に向かって進んでいた
混在した妄想と現実のあいだで
理性を保とうとしてもうまくいかない
そう狂っている

実家に向かう車の中で何者かが言った
今年の正月は
お前を慰めものにして楽しもう
実家に車が着いた
私は部屋に行き寝かされようとしている
タバコをずっと吸えずにいたから吸いたいのに
タバコを持つと寝てしまう
そしてタバコがすいたくて起きる
タバコを持つと意識を失う
どうしてもタバコが吸いたいからタバコに向かう
またしても意識を失う
この状況はまたリピートが始まったと思った
タバコを吸うまでの時間をリピートされ
飢えた状態を繰り返されるのだ
始まったかと思った
リピートだ
こういう状況が無限にも感じられるほど
繰り返されるのだ
妄想と幻聴が始まる
妄想と幻聴を明確には覚えていないが
部屋の丸いパターンが監視カメラのように
感じられていた
カーテンは閉められ外は見えない
船がやってくると思っていた
汽笛が鳴っている
自宅にいたときの最後の晩に
何者かが不思議とつぶやいた
何者かが言うなといった時間とは
不可思議回に達している人生という
一連の物語の回数だ
何が起きていたのかはわからないが
光が抜け出した後だった
夜になり私は実家に監禁されているという
妄想にとらわれた
タバコを吸いたいがタバコがなくなっている
イライラが半端なかった
自宅に帰りたい
実家に監禁されていたくはない
おいらは家を出るから鍵と財布を返せといった
家を出るのならうちの子じゃないといわれた
それじゃぁこどもやめたるわといって
家を出て警察に向かった
なぜ警察なのかはわからないが
自宅に帰る手段がその時間なかったのだ
警察に言っても警察は取り合わない
おかしな人がやってきて何か言っているくらいだろう
父と妹が迎えに来て
車は自宅に向かった
しかし途中で実家に帰ることになった
おいらは車を降りて自由にさせてもらった
タバコを買いに行き
やっとタバコが吸える状態になった
タバコを吸うだけになんでこんなになるのか
そう思っていると
幻覚の映像が浮かぶ
工場の上に首のない人が頭を下げているのだ
死んで何をあやまっとるんやと思ったら
ムカついて来た
しばらくして
車のスモークガラスを怪しく思い
なかで脱法ドラッグでもやってるんじゃないかと
ムカついて来た
タバコも吸えない状態でいらいらしていた怒り
車にけりを入れていた
工場の扉をたたいた
寒空のもと素っ裸になり
タバコに火をつけた
なめやがって
朝までこのままおったる
素っ裸になりタバコを吸う
しばらくして異変に気がついたカップルの車が
その場を立ち去ろうと私の前を通ろうとした
カーセックスでもしていたのだろう
私はタバコをふかし
この一服で人生最後やと
向かってくる車に向かって走っていった
車はまっすぐに自分のほうに来る
これで何かが変わる
わけのわからんようになった世界が変わる
自分ひとりの犠牲で世界が変わる
わけのわからない妄想だった
これで終わりだそう思った
車はとまり私はフロント部分に手をつき
そして何も変わらないことを悟った
車は少し進んで
とまっていたけど気にしなかった
素っ裸で地面に寝転んだ
しばらくしてパトカーがやってきて
家はどこやととわれた
東北便なまりの警察官だった
実家に連れて行かれた
かけつけてきた妹が泣きそうにしていた
タバコを吸えたのでその晩は薬を飲んで寝た
そもそもおかしくなる前から少しずつ断食は始めていた
幻聴が聞こえる前から断食は始めていた
そして幻聴と妄想が強化していき
薬をやめることで完全におかしくなった
その晩私は深い眠りについた

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