長野の思い出の味

長野味と言えば?と聞かれたら「蕎麦」と答える人が多いと思います。確かに信州そばは美味しいです。都内で食べた蕎麦と比べてしまうと、同じ値段でもっと美味しい蕎麦が長野には沢山あるので「やっぱり、長野の蕎麦は美味しい」と感じます。どの都道府県もよく知られている郷土料理や影が薄いけど負けていない料理は沢山あります。


以前、ワカサギ釣りの話をしましたが釣って直ぐ揚げる天ぷらは郷土料理ではありません。ですが、私にとっては長野の味です。子供の頃に両親とワカサギ釣りへ行き、自分で釣ったワカサギを食べます。日本全域で釣れて殆どの場所で天ぷらにされて食べられていますが、等々力好泰の思い出には「長野の思い出」の味として残っています。


父が釣りに行く際に私も一緒について行きました。だからと言って私は釣りをするのではなく父の目の付く場所、川の浅瀬で遊ぶだけです。その当時、釣り具の問題や場所、ポイントの把握が全く公表されていなかった為か父の釣りは基本1匹も釣れません。私は浅瀬で小魚を何匹か素手で捕まえるのですが、何となく父の顔を見て魚を逃がしていました。帰りは車でよく寄る場所があります。そこは『おやき』のお店です。私は真っ先に甘い餡子のおやきを注文して、父は切干大根やら野沢菜を注文します。釣りしに行ったら必ず食べて帰る『おやき』の味は今でも特別な気持ちにさせてくれる特別な味です。今の私は野沢菜や野菜類を注文し、子供達が餡子やカスタード等の甘い物を注文します。その光景を見て入っている具は当時と違いますが、あの頃を思い出す特別な味です。


私の長男は食べ盛りで最近はお肉をよく食べます。特に好きな食べ物は山賊焼という唐揚げに近い郷土料理です。偶々松本で食事した際に長男が注文してそれから大好物になったようです。私も似たような事がありました。高校生の時に私は部活動の帰りに必ず仲間で食べる物がありました。今ではB級グルメで有名なソースカツ丼です。私の背はそれなりに高いのですが痩せ細く華奢な感じでした。入部すると直ぐにバレーボール部のセンターとしてポジションが決まりました。しかし、貧弱な細身体型のブロックでは薄い脆い壁にしかなりません。先輩や同年代の友人迄も「もっと食えよ」と言われて先輩に連れて行かされたソースカツ丼を食べてすっかり好物になりました。あの頃はよく自宅でも唐揚げや山賊焼等の油物をよく食べていました。それでも全く太る事がなかったです。3年生最後の選抜時に必死で選ばれようとして奮闘するも体力の差を見せつけられて選抜から落ちた時、悔し涙をこぼした良い思い出です。おかげで大学時代に「あそこのソースカツ丼が美味い」等とまるで評論家のような口ぶりで語り、直ぐに友人が出来ました。今は常には食べなくなりましたが、たまに食べに行くとあの頃の青春を思い出します。


生まれ育った場所、思い出の場所に必ず『味』が有ると思います。長野は郷土料理や名産も多く、それを口に含むと思い出が広がります。今では私の子供達も沢山の料理、食材を食べてこれから沢山の味が思い出になって行くのだろうと思います。現在の等々力好泰も貴重な子供達の今を見ながら沢山の『味』を食べています。

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