35年間いつも側にいてくれた人と別れたいと思った理由【2】人生の分岐点

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私が23歳の時、二人はW不倫をしていた。

15歳と17歳で付き合い始めて、私が高校卒業と同時に、安アパートに引越して、その後、同棲生活をするまでに至った相手、ヒロ。


お互いの関係に煮詰まり、三度目の

「別れてみよう」

を、繰り返していた時。


私は、ヒロとの価値観の違いに気付き、この人と結婚したら、きっと苦しむだろうと、思っていた。


そして、もう一つの理由。

どう頑張っても、『父と娘』のような関係から、抜け出す事のできない理不尽さ。


ヒロとの長い付き合いのうちに、私の中で、いつしか出来上がってしまった、マイナスの定義

ヒロは普通で正しい。

    Ⅱ

私は普通じゃない。間違っている。


この、洗脳のような作用で、私はヒロに自分をまっさらな、一人の人間として、認めてもらえてないと感じ、その事が辛かった。


そんな時、ヒロの方から、

「俺たち、もう一度一人になってみよう。」

と、言われ、離れた。


私は、女友達と、居酒屋で飲んで、その時、一緒に飲もうと誘われて、ご馳走してもらったサラリーマンと、少しの間、付き合う事になった。


彼は、30歳で、既婚者。子供はなし。奥さんに冷たくされてるから、たまに、二人で食事してほしい。という事だった。


私は、元々、結婚願望はないし、社会勉強もかねて、そんな関係も割り切れ、OKしたのだった。


彼は、なかなかのイケメンだったし、ヒロ以外の男性に、自分を認めてもらえる事が、何より嬉しかった。


ヒロは、スポーツマンだったので、酒も煙草もNGだったけど、不倫相手の彼は、煙草を吸い、二人で食事をする時は、毎回アルコールを楽しむ事ができた。

ヒロとは違う、大人の男性という感じだった。


だが、その彼は、腕を組んで歩いたり、公園のベンチで、そっと口づけをする程度で、私の終バスの時刻には、きっちりとバス停に送り届けて、見送ってくれる紳士?なのだった。

たぶん、彼も勇気が無くて、身体の関係を持たなければ、不倫している訳ではない、と、自分に言い訳していたのだろう。


でも、ヒロは、そうじゃなかったらしい。


3度目の別れている期間に、危うく二人が、ハチ合わせしそうになった時があった。

実際には、ヒロと彼は顔を合わせてはいないのだが、彼の存在がヒロにわかって、その時、ヒロから出た言葉は、

「さっきの人、誰?

 俺も、ちゃんと教えるから、

 お前も教えてくんない?」

だった。


そして、ヒロの話は、5歳年上の女性と付き合っていて、子供が二人いるその相手に、

「旦那と別れるから、結婚して欲しい。」

と、迫られている。

という、内容だった。


私は、自分の事を棚上げして、目の前が、真っ暗になった。


確かに、私に無いものを求めて、その女性に惹かれたのは、理解できる。


しかし、私と別れていない時期から、しばらくその女性と付き合っていて、その人がいたから、3度目の『別れてみよう』発言が出て、要は、私は二股をかけられ、裏切られていたのだ!


この事件で、私はもう、ヒロとはやっていけないと、確信した。

今度こそ、完全に別れよう!と。


もし、あの時、私に身を寄せる実家があったなら、あるいは、もっと自分に自信を持っていたら、すぐに荷物をまとめて、ヒロにわからない土地へ引越して、自分の姿を消してしまいたい衝動のまま、行動していたであろうに、当時の私には、それができなかった。


その日から、ヒロは三日三晩、私の家に通い、泣きながら、私を説得した。

「彼女と会っていても、いつも、頭の片隅にお前がいて、悪いとは、思っていたんだ。」

「彼女と結婚なんて、考えられない!」

「俺には、お前しかいない。頼から、もう一度、やり直そう。」

「お前がいなくなったら、俺は、植物人間になってしまう!」

等々、切々とうったえるのだった。


初日は、もう二度と、ヒロの顔なんて、見たくない!と、思った。

ヒロの前から、自分が消えて無くなりたい。と。

そして、頼むから、そんな情けない姿を、私にみせないで!と、思っていた。


2日目は、自分の目の前に、泣き顔のヒロがいる事が、今、おかれている状況が、ただ、ただ、つらいだけだった。


3日目になると、もういい加減、この状態から、逃げ出したくなった。


すると、ヒロが、思いがけない行動に出た。

3日間『Yes』と言わない私に対し

「そうだ!じゃあ、結婚しよう!」

と、言い出し、ヒロの母親に、電話をかけだした。


ヒロの両親は、私達が10年近く付き合っているのを知ってて、その頃には、

「あんた、ヨウちゃんの事、どうするの?」

「いい加減、ちゃんと決めなさいよ!」

と、散々、言われていたらしい。


そんな、タイミングだったので、ヒロが勝手に、お義母さんに

「俺たち、結婚するから!」

と、告げると、待ってました!と、ばかりに、私に祝福の言葉をかけてくれて、とてもじゃないけど、

「いいえ!嘘です!結婚しません!」

「私は、あなたの息子に、裏切られました。」

とは、言えなかった。


世間ではよく、

「結婚って、タイミングだよね!」

と、言うけど、まさしく私の場合、そのタイミングに、まんまと流されてしまった。


今でも思う。


あの時、私に『NO』と言える勇気があったなら!


全く違う人生が、待っていたのだろうに、と…。



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