英語のできない僕が外資系を渡り歩いた結果(2)~君は頭がいいか?という面接

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最後の砦が外銀だった

最後の砦であった外銀1社はインターンシップはすぐに落ちた。けれど、インターンシップには自分の希望していた職種のものがなかったので、また受けてもいいだろうと思って、冬の本採用を受けた(インターンで決まるのは一部の部門の一部だけだったはず)。そうすると何故かサクサク通過した。ただ、チーム別採用なのでとにかく面接が多かった。1日中缶詰にされたこともあった。今日、何時に終わるかも、何人に会うかも知らされなかったので、新幹線は常に最終を取っていた。面接はひたすら30分ごとに人が入れ替わった。でも今、自分がどの部門どのチームの面接を受けているかもわからなかった。たまに話の中で「あぁ自分は今はセールスの面接を受けているんだろうな」とわかるような有様だった。相手の仕事やキャラをその場で探りながら、自分のキャラと言うべきことをひたすらに変え、ある時は自信満々の金の亡者のように「稼げればなんでもいいっす」と言い、またある時は愚直な素直な少年のように「成長したいです!」と話をしていた。認識できたものとしては、多分、色んな株式まわりのチームや投資部門などの部門を受けていたように思う。

「君は頭がいいか?」になんと答えるか

印象的だった面接の質問は「君は頭がいいか?」だった。若干高圧的な社員が聞いてきた。咄嗟に(これは”良い”と答えないと”じゃあいらない”と言われるパターンか…)と思い「もちろん、いいに決まってますよ」と答えた。すると「でも君は筆記テストの結果は満点じゃないね」ときた。「テストが満点なら頭がいいってことなんですか?」「いやそうとも限らないな。何か君が頭がいいって証拠が欲しい」「なんでもいいんですか?」「なんでもいい。例えば僕は日能研の模試で1位をとったことがある」。なんだ、小学校かよ、と腹の中では思ったので、つい僕も返してしまった。「塾の1位というくらいなら浜学園でとったことがあります。高校でも数学は何度も全国1位を取っています。でもそんなのつまらないでしょう?」過去の栄光であればいくらでも探せる気がする。でもぶっちゃけ浜学園の1位は小学校4年の1回の偶然だし、高校数学の1位は文系数学であって、満点が何人もいる中のひとりでしかない。でも嘘ではなかった。

「おぉ、1位はあるんだ。でも君は東大じゃない。つまり東大生よりは頭が良くないんじゃない?」「東大生が一番賢いということもないでしょう」「じゃあ君は東大生より頭がいいとどうやって証明する?」正直自分の周りの東大生は僕より間違いなく頭がいい。つまり一般的な教科的なものから脱却しない限り、僕は自分の方が頭がいいとは言えないな、と思った。

そこで「そんなの簡単です。100人の東大生を連れてきてください。1人10分ずつ話して、全員との会話の中で必ず嘘を交えて話をします。でも絶対バレない自信があります」と、思いつきで適当に言ってみた。すると「じゃあ今すぐ僕をそうやって騙してほしいんだけどいい?」と返された。面倒な面接官だった。「いいですけど、すでに1個だけ、嘘を混ぜてます。気づいてないんですか?」トンチくらいの勢いで返したら、面接官はそのまま黙ってしまった。「…うーん、確かに何が嘘だったか、僕には分からない。合格にしよう。次の人に会ってもらうからちょっと待ってて」そう言って彼は面接の部屋を後にした。

正直、何度も呼び出されて何度も東京に通っていても、英語が1ミリもできなかったので、外資系に受かるなんて思ってもいなかった。実際、何段階かのうちのひとつで英語面接があり、「週末何をしていますか?」と英語で聞かれたことがある。その時の僕の答えはこうだ。「I go to GUSTO with my friends!」これが精一杯だった(そして事実だった)。「あぁ、本当に英語できないんだ…でもうちは必要だから頑張ってね」そう言われてその面接は終わった。終わった、そう思った。けれど、それでもうダメということもなく、その後も面接は続いた。

高い給料の本当の意味

ある株式部門のチームで2月28日に内定をもらった。その時にはもう就活に疲れていたし、そもそも他の外銀は受けていなかったので、その時点ではその外銀以外に行ける場所はなかった。ちなみに、知っている限りではあるが、インターンシップの面接で落ちたのに、採用されたのは僕だけのようだった(他の人は落ちたことを恥ずかしがって言わなかっただけかもしれない)。

内定が出た時の電話では当時の部長に「若手たるもの決断が早くなくてはいけない。さっさとサインしに東京にこい」と言われ、次の日の3月1日に東京へ新幹線で行った。部長に「よく来た!漢だ!」と言われた。その後、人事担当から英語でむにゃむにゃと契約書を読み上げられたあと、サインをした。新卒の給与は世間一般から見て相当に高い。実際に貰っていた給与は…(続きはこちら

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