一本の間違い電話から始まった

16歳の冬、運命の人に出会った。

それは、鬱々とした気持ちでいた時、不意に親友と私のナンバーを半分ずつ合わせたの番号に電話かけてみた。

その番号をかけて繋がったのが今の主人。

気づけば2時間も話していた。

お互いのプリクラを手紙に貼り付けて送り合って気に入ったら会おうよ!って事になり、お互いにプリクラを見て気に入り、新宿駅でお互いに友達を連れて4人で会う事になった。

カラオケでは、いつものように私はモノマネをしたり笑わせ担当だ。

その人の寮で、コンビニで買ったお菓子やジュースを食べながらワイワイしていたけれど、私は真っ先に寝てしまったようだ…夜中3時に目を覚ますとベッドを占領している私の傍に体育座りしている彼…

「あ、ゴメンね、寝ちゃったみたい…」

「大丈夫だよ。何だか隣に寝るのも悪いと思って…」

「ゴメンね、それで起きててくれたの?」

「ありがとう…」

それから、明け方まで話を聞いてくれて一緒に泣いてくれた…

よく頑張ったねって、頭を撫でてくれた。

私は人に褒められた事がない、特に母には…だから尚の事、嬉しかった。

彼の紳士的な態度に好感を持てた。

2人とも、初めて付き合った人同士…

初めて会った日の夜に、普段からお笑い担当の私は何故だか、この人には本当の自分を見せる事ができた。

そして辛い現実を吐き出すかのように話したのだ…もう限界だったし、自殺しかけてた時期だったので、命の恩人でもある。

私の母は毒母だった。

物心つく頃には離婚していて、私が小1の終わり頃に再婚した。

それまで、おじいちゃんの家で、3人で平和に暮らしていた日々が一転した。

当時は母30歳、再婚相手が19歳…

悲惨な結末は絵に描いたように脳裏に蘇っては無数の傷が心についてしまった。

その傷を覆い隠すように、私はピエロになった。


突然のプロポーズ?

その時、主人は17歳。

私の明るさと暗闇を持つギャップを見た彼は、唐突に、俺が一生守ってあげる…

その後、本当に四年半付き合った後に結婚しました。

一本の間違い電話?イタズラから始まった恋が今でも続いています。

あれから、20年の時を経て、子宮内膜症と流産と辛い過去もあるけれど、今では、中二、小五の二児の母である。

私の暗い過去も全て受け入れてくれて、1番の良き理解者であり、保護者のようでもある。

私には10代前後の思い出というものが無い、行事には一度も親が来てくれたこともなくて成人式は自分で用意した程だ。

成人式は、主人がスーツを着て来てくれた。

あの時、出会わなければ一生、手に入る事のない幸せな時間。

私はようやく家族、家庭の暖かさを感じる事ができ、硬くなった心が柔らかくなっていくのを感じた。

それは、幼少時代、不幸だった私の最大の幸運を与えられた奇跡。

あなたに、ありがとうって言葉を伝え続けたい。

あの時、一本の間違い電話から始まった恋、今では深い愛情で繋がってます。

初めて会った時に、初めて出会った気がしないと話していたよね、きっと出会えた事は偶然じゃなく必然だったような気がする…遠い昔に戦友だったような兄弟だったような気がする。

どんな形であれ、どこかで、会ってたと思う。

今では、男女の壁を超えて、人として付き合ってる、親友のような友達のような不思議と色あせない関係…




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