起業家がスタートアップウィークエンド東京に参加して実感したことを本音ベースで話します

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スタートアップウィークエンドとは?

スタートアップウィークエンドは全世界の主要都市で行われている3日間がっつり「スタート
アップをやってみよう!っていうNPO運営のイベントです。参加費は7食付いて9000円。

今回は2013年5月10日(金)~12日(日)に行われました。
会場は@渋谷のサイバーエージェントの13F会議室。
今回、100名以上収容できるスペースを無償で解放してくれました。intelyの渡辺さん含め、関係者の皆様、ありがとうございました!

3日間「スタートアップ」をやるということ

「スタートアップ」は、「企画」や「ビジネスプランコンテスト」とは違います。

運営の李さんが閉会の挨拶でこんなことを述べていました。
「ほとんどのチームはスタートアップをしていなかった」

このコメントの意図を私なりに3つ例を交えて説明したいと思います。

プレゼンで勝つことを目標に定めると「スタートアップ」ではなくなる


プレゼンで勝つことを目標に定めると、都合の良いファクトを集め始めてしまいます。

例えば、アンケートを取るとしましょう。 今回も多くのチームがアンケートという仮説検証方法を採用していました。僕のところにも、アンケートを取るために数チームがやってきました。

ですが、誰ひとりとして顧客開発責任者ではありませんでした。
アンケートを取る際に、“問い”が発せられていないんですよ。


「あなたは顧客ですか?なぜ顧客なのですか?」という“問い”。
「顧客と非顧客を分ける境界条件は何なのか?」という“問い”。

アンケートに対して、私は顧客だったケースも、非顧客だったケースもありました。
ちょっと誇張になりますが、こんな感じなんですよ。


ⅰ)顧客だったケース
質問「サラダボウルにいくら払いますか?」
私「(選択肢を見て)う~ん、500円くらいかなぁ?」
質問「ありがとうございます。次の質問なんですが・・・」

おいおい、顧客が見つかったんですよ。オマエサン、顧客が見つかったんですよ!!!!
500円払ってくれるかもしれない顧客が見つかったんですよ!!!!
なのに、なんで、次の質問やねんw

「500円をなぜ支払ってくれるのか?」
「なぜ500円なのか?」

もっと深追いせんかい。 折角対面でコミュニケーションしてるんやから、“問い”を発し続けんかい。

深追いするとこういうことが聞けるかもしれないんです。

「三十路近くになったんで、やっぱ健康のこと、気使い始めましたねー。健康というよりお腹のあたりが気になり始めたんで、ダイエットしようと思い始めたんですわ。普段は、自分で亦く作らない全外食派なので、どうしてもカロリーが高くなってしまう。
今までは食べたいものを食べてたんですけど、最近、カロリーを考え始めましてね。カロリー考え始めると、カロリーに対する満足度という基準で食を選ぶようになるんですけど。一日2000kcalしか取れないので、その中で何食べれば満足度最大化するんだ?って考えるようになるんですよ。スナック菓子で350kcal、500mlのコーヒー飲料で250kcal、このあたりは満足度/calが低いんで、摂取しなくなりましたねー。
そういう基準を導入したら、SubwayがNo.1の選択肢になったんですよ。 大体、1つのサンドが300kcal~350kcal程度なんですけど、毎日得サブのメニューがあって、320円なんですね。高いサンドだと400円後半まであります。パンが付いてるからそれなりに腹が膨れる。食べ応えあります。ただ、野菜はそれなりに入ってるんですが、そんなにガッツリというわけではないので、たまに野菜多めに食べたくなる時はありますね。サブウェイのサンドの3倍、野菜入ってて、野菜のバリエーションも色々あって、500円だったら払いますね」

というあたりで、
  • 値決めの基準(Subwayとの比較)
  • カロリーに対する満足度という基準
  • 野菜に対するニーズ

が聞けたかもしれないんですね。これが全てではなく、私は、理屈っぽい&事業の意義とか
に共感して価値を感じる社会派の顧客タイプなんで、その点考慮に入れる必要あるんです
けども。

こういった、顧客/非顧客を深く知るということが、顧客開発の仕事であって、アンケートな
んてのは、人とコミュニケーションする際のExucuseでしかないのに、アンケートが目的化し
ちゃてたら、アンケートする側が“問い”を発していなければ、もう、それはスタートアップじゃ
ない。

「企画」だったらいいんですよ。予算確保することがまず目的なんだから、最悪、詳細は企画
通ってから考えたらいい。決裁者の判断基準に照らし合わせて、ササる構成、ササるファク
ト集めの方法を実践しさえすればOK。 ま、決裁者は顧客じゃないと思うんで、顧客じゃな
い人に「いいね!」と言ってもらってもほとんど意味ないんすけどね。

つまり、こういうことなんです。真実に向き合わず、世の中から都合の良いファクトだけを持
ってくるのも、スタートアップの成功にとってはほぼ意味がないんです。 審査員を喜ばせる
ことはゴールじゃない。

顧客開発責任者は、顧客を見つけて、彼らにとってのバリューを特定し、そのバリューを提
供するために、自社の経営資源の持ち方を大幅に変更するまであります。

ルイヴィトンは、正社員がレベルの高い接客をして、顧客接点での満足度を最大化します。

一方、ガソリンスタンドは無人のセルフスタンドなんてのを用意して、とにかく安い価格でサ
ービス提供しようとします。

QBハウスの例なんかもよく出てきますよね。髪は洗ってくれません。が、10分で出てこれま
す。

フレームワークとしては、元BCG社長で今は早稲田で教えてる内田和成先生の
「デコンストラクション」というコンセプトが役に経ちます。

なんか、スタートアップウィークエンドのテンションなので文章が長くなりすぎる。
もうちょっと付き合って下さいw

ⅱ)非顧客の場合
非顧客だからと言って、落胆する必要は全くないんですよ。
他のチームのアンケートで、creww的なサービスを考案していたチームがあるんですけど、

「スタートアップのメンバー集めるサービスで、メンバーと会うのにお金払いますか?」

という質問があったんです。

「う~ん、それにはお金払わないですね。ニーズは感じるんですけど、恋愛以外で人に会うのにお金払うっていう経験がないんで。0円ですねー。 それに、30人会って、1人スペック的にも環境的にもマッチする人が見つかるってくらいじゃないですかー。 Facebookでもコーヒーミーティングでも、コンタクト/アポは取れますし。」

と言うと、アンケートする側が、なんか落胆してる感じ。

creww系のサービスをインタビューするのであれば、僕からこういう情報を引き出せた可能性はありました。

  • スタートアップをやってるのでメンバーは探している
  • ランダムだと30人会って1人、スペック的にも環境的にもマッチする人がいるだろうという感覚
  • Facebookやtiwtterでメッセージを送って週に数人には会っている。こちらは選別をするので1/30より確率は高い。
  • 一緒に、最高のプロダクト作ろうぜ!っていう挑戦が出来る人であれば、ピンポイントにこの人!ってのを紹介してくれた人には10万くらい払ってもいい。ビジョンへの共感がまず、何よりも大事。スペックではない。
  • 人材紹介会社は使わない。年収の30%は高いし、年収は現状維持難しいから。
  • テキトーに10人紹介されて、もし見つかったら10万頂戴ねという五月雨方式は嫌。その体験であれば、Facebook/twitterで再現できるので。この体験が劇的に変わるのであればお金を払っても全然OK.
  • crewwには登録してる。今の段階では満足いく価値が受け取れていない
  • crewwが使いにくいのは同意。でも改善改善を重ねてるのは実感している。将来性には期待している。
  • この種のサービスはアーキテクチャ/文化に関する発明が必要だと思ってる。Facebook上でみんないい子ちゃんとして振る舞うように。 どうすれば人と人を繋げられるか?に関して考え抜くことが必要。 アーキテクトの仕事? あるいは、SWTのように超優秀なイベンターがいれば可能?
  • ビジネスモデル云々ではなく、まずその価値を如何に生み出すか?が重要だと思う。二度目になるが、Facebook/twitterでの体験は10人に1人会って、仲間が見つかればいいなーくらいの感覚。
  • そこを超えられるのであれば、お金を払ってもいいとは思う。
  • 今の段階ではお金を払うつもりはない。 価値を見せられないと、金を払う価値があるものなのか、判断できない。
  • ソーシャルパワーが無い人間が、Facebook/twitter経由でメッセージ送っても、「アイデア厨乙www」ということになるのが大半。 日本人は「ソト」の人に対して厳しい民族なので、うまいコラボレーションのさせ方、人と人の繋げ方に関する発明には意義がある
  • 日本でのハスラーの立場ってのは弱い。ハスラーの僕らからすると、顧客開発を真剣に考えない、気難しい技術命のエンジニアは僕らと組むとめっちゃ得する、お互いの足りない部分を最効率で補い合う、最高のコラボレーションに繋がると思ったりもするんだけど、基本、自分が最も分からない領域、自分が見えてない領域の価値は評価しようが無いので、お互いdisってる状態はなかなか解消されないとは思う。実際アイデア厨は多い。
  • それで言うと、このstorys.jpみたいな、物語で人が分かるサービスのアーキテクチャには可能性があるんじゃないかと思ってる。スタートアップやりたいなと思ってるエンジニアが、僕のストーリー見てくれて、「アイデア厨じゃない、面白いヤツやなぁ、声かけてみるべか」と思ってくれたら、良いコミュニケーションが生まれるだろうという仮説。
  • お金を払わないだろうという意味では非顧客である。

金払わないというアンケート結果だから落胆ということではマインドセット、ダメです。
非顧客が顧客になるにはどういうハードルがあるか、それを特定しなきゃ。

やってるゲームを変えないといけないんです。

・アイデアを肯定するファクトが見つかる⇒喜び
・アイデアを否定するファクトが見つかる⇒落胆

ではなくて、

・顧客を見つける
顧客/非顧客について深く知る。

僕みたいに言語化得意な人であれば、非顧客でもあれこれ聞いてみるといいでしょう。
ただ、サービスによっては、マジョリティは、なんとなくで決めることが多いというのも頭に
入れておかなくてはいけませんけどね。

・アプリの絵がかわいかったからー

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