第2話 病棟に隠された真実【小児科ナースが天国に行った子どもたちと地球2周半、涙の奥に見えたとんでもなく輝く世界*】

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1.子ども達との出逢い



「たいらさーん!
バキュンバキュンとりゃーっ!!」


急に廊下に現れて戦いを挑んでくる子や、ミルクを飲みながら小さな手で私の指を握りしめてくれる赤ちゃん。


レオくん
「DSのソフト、とって〜!」
ももちゃん
「ぽぽちゃんのスプーンがなくなっちゃった」
だいちゃん
「眠れなーーーーい!!」
えりちゃん
「DVDが終わった!!」
ゆうくん
「おしっこ漏れるー!!」
なおちゃん
「ママはどこー?」
ともくん
「ゴーカイジャーの人形が落ちちゃったから拾って!」



検査や治療の傍で可愛いナースコールが鳴り響く。

明るい音楽や子ども達の泣き声や笑い声で、

小児科病棟はいつもとっても賑やか!



お正月やクリスマス、節分やひな祭り、夏祭り

チャイルドパーティー、遠足や訪問学級・・・



病院によって様々ではあるが

病棟という閉鎖的な環境にいても

少しでも多くの楽しみを感じられるように

季節に合ったイベントも盛りだくさん!



そして





ここでは多くの子どもたちが


命をかけて生きている。





辛い治療や多くの困難や悲しみを抱えても、

それでも笑って、それでも遊んで、

それでも大好きな人たちとの時間を大切にして、

思いっきり生き抜いていく。





朝、挨拶に行くと、ひとりで窓の外に向かって

なっちゃん
「アンパンマンに、へーんちん(変身)!」

って右手を上げてアンパンマンに変身している2歳の女の子。





寝起きの目をこすりながら

りゅうくん
「三角のおにぎりと、丸いおにぎりと、四角いおにぎりと、どれが好き?」

って唐突な質問をしてくる3歳の男の子。




あやちゃん
あやちゃん、一年生に、なれるかな?
一年生になりたいなー!

って、無菌室で明るく笑顔で

一生懸命に病気と闘っている3歳の女の子。




ここでは



どんな子ども達も遊び心が全開で


健康に生きているみんなと変わらない

希望を持っている




時には甘えん坊の可愛い赤ちゃんを背中に背負い、

ベビーカーや点滴棒を引っ張りながら

いつもたくさんの子ども達に囲まれて、

一緒に笑ったり遊んだり真剣に向き合ったり

まるで永遠に続く障害物競走のように

汗だくで病棟中を動き回る日々。




どの瞬間も、とっても愛おしい。




薬や浣腸セットや点滴セットや

処置道具を持っていくと




ともくん
「あっちいけ!!!くっそやろー!
もう二度と来るなー!!!」

なんて言われる事もしょっちゅうだったけど、

子ども達は何だかんだみんな可愛くて、

元気をもらっていたのはいつも私の方だった。



子ども達の生きる力は本当にすごい。






余命なんて、関係ない。







笑顔も幸せも生きようとする力も、

そんな数字に支配されない!!






容赦なく笑顔を見せてくれて、

きゃっきゃと笑ってくれる。





力いっぱい笑顔をわけてくれて、

思いっきり生きることを教えてくれる。





39度の熱が何日も下がらなくても



大好きなママやパパと一緒に

寝て休んではまた座って遊び

また休んでは遊び



寝たきりになっても遊んで



一生懸命に呼吸をして

食べられるものを食べて



今できる一番楽しいことを

いつも見つけて生きて



悲しいや嬉しいや痛いや面白いを

思いっきり感じて



大好きな人に大好きだよーって

いっぱい伝えて



そしてある日



お空に旅立っていった女の子がいた。




自分のいのちを懸命に”生きる


その姿勢は


尋常じゃなくカッコ良かった。



生きるって、こういうことだよ。


って、教えてくれているようだった。



呼吸ができること、食事ができること

話せること、感じられること

行きたいところに行けること

会いたい人に会えること



家族揃ってご飯が食べられること

未来のことを考えられること

また明日が来ること・・・



そして、





今、ここで生きていられること






それは、

当たり前なんかじゃないんだ。






一つ一つが、奇跡なんだ。






病気や障がいと共に生きている子ども達も、

健康な子ども達と、本当は何一つ変わらない。



みんなみんな、

いっぱい遊んで、いっぱい愛されて、

大好きな人たちと一緒に

いっぱいいっぱい笑い合って触れ合って、



幸せに生きたいんだ。



それをどんな形でするかが、みんな違った。


どれだけ本気でするかが、違った。


本当は、何しに生まれてきたの?


大人たちは

”しなければならないこと”に

追われて生きているけど・・


僕は、この地球で思いっきり遊んで、
パパやママや弟や友達や先生や
大好きな人たちとみーんなで笑って
冒険もいっぱいしたくて
幸せに生きたくて、
生まれてきたんだよ。
だからいっぱい笑うんだ。


「地球って、面白い星だよ!!」


子ども達はいつだって大切なことを知っていて

本当の幸せって、なんなのか知っていて

眩しいほどの光で

この世界を照らしてくれている。



その光まるで、私たち大人への


「本当に大切なことを思い出して」


っていう、


大きな大きなメッセージのように。




(※ここで使用している子ども達の名前は

実名ではありません)




2.病棟に隠された真実



病棟という場所は

悲しみや苦しみだけじゃなくて、

大切な、キラキラした思い出が

たくさん詰まっている場所でもある。


みんなが全力で生き抜いた日々が

詰まってる場所。


ここで過ごした日々は、

それぞれの家族にとってかけがえのない日々で、

とても大切な思い出の場所でもある。





ーーー笑顔で溢れているんだよ





ここにいるのは

生きていることへの喜びを

今のこの瞬間がどんなに貴重かを

大好きな人と一緒に居られることが、

どんなに幸せなことかを

本当に本当に、

知っている人達だから。






ある日、大切なお子さんを亡くしたご家族が

もう一度小児科病棟に尋ねてきてくれた。




そのご家族は言った。



息子を亡くしてから、ずっといろいろな気持ちと向き合っていました。心にぽっかり穴があいてしまったようで、どうしたらいいかわからなくて。でもやっと、少しずつ心の整理ができてきて、今こうしてまたここに戻ってくることができました。

今はもう息子はいないけれど、私たちにとってはここで息子と皆さんと一緒に過ごした日々が、本当に大切な思い出です。懐かしい。大変なこともいっぱいあったけど、ここでの時間はこれから先もずっと忘れられません。

こうやってまた皆さんに会いに来ることが、私たちの一つの区切りになりました。本当に、懸命な治療とたくさんの素敵な思い出を、ありがとう。







神様なんていない

奇跡なんてない







そう思うような

残酷な現実に





どんなに願っても叶わないほどの

真っ暗闇に





どうすることもできずに

立ち尽くす時もあるけれど





でも・・





医療者や患者や家族という立場を越えて

人の心と心の温かいところが交差する時




そこに、希望が生まれる。




悲しみは、悲しみだけでは終わらない。







悲しみを、

悲しみだけでは終わらせない







その先にいつか見える希望の種を

ここで、すくすくと、育むんだ。





元気いっぱいになって退院しても

そうじゃなかったとしても





小児科病棟で過ごす日々を

ここで生きる一人一人の人たちの心に

大切で愛おしい場所として残すことが

私たち医療者としての役割でもあった。








確かな技術と知識と医療の域を超えたその先に。




出口なんてないような、真っ暗闇の、その先に。










”今、この瞬間”
を生きること。








生きようと懸命に闘っている命

元気になって、笑顔で退院していく命

最後の最後の一呼吸まで生き抜いていく命

生まれたばかりの命

命が終わるのを、そっと待っている命





どんな人だって、どんな状況にあったって







本当は、どんないのちも、
輝いている!!!







みんなのいのちが輝く場所





そこが、病棟なんだ。





そして、それは





小児科病棟だけではなく






本当は






この地球上の

すべての場所が、

そんな場所なんだ。




この世界で生きる、みんなの命




輝け、どこまでも。

輝け、カラフルに。






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平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

平 茉莉子さんが次に書こうと思っていること

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平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

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