大っ嫌いは、愛してるだった。
あの日、ボクはおはようって声をかけたんだよ。
でも、パパはそのまま帰ってこなかった。
次男を自転車に乗せて、私の実家へ送り届けてから職場へ向かう。
定時に帰って来れば、子どもたちの習い事の送迎も付き添いも、率先してやってくれていた子煩悩だったパパ。
あの日は、いつも通り過ごせてるなって、
多分大丈夫。そんないつもと変わらないパパの姿があった。
仕事でトラブルを抱えて、沢山の書類と向き合っていた。
そこで仕事をしていくのは、あなた自身なんだからちゃんと向き合って答えを見つけたらいいよ。
大丈夫。やれないことはないはずだから。
そんなやり取りをして、私は先に寝室へ向かった。
翌朝、ふと目を覚ました時、
玄関の扉が閉まる音を聞いた。
久しぶりに走りにでも行ったのかな。
「ねえ、パパが戻ってこないけど大丈夫かなぁ?」
心配した長男がそわそわしながら、
朝ご飯を食べ終わって、時計を見る。
そのうち、ちゃんと帰ってくるから大丈夫だよ。
行っておいで。
と見送った。
子どもたちのことが大好きだったパパだったから、
例え、私とケンカをしたとしても、
子どもたちに会えなくなる選択なんて、彼には絶対に出来ないって思ってた。
だから、どこかで私が来るのを待ってるのかもしれない。
だけど、片時も手離さなかった携帯が、ソファに置き去りにされていた。
覗いたこともないパパの携帯のやり取りから、
前日の欠勤を初めて知った。
長男小2。次男年長。の初夏のことだった。
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