貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第62回)

このエントリーをはてなブックマークに追加
4

『生きていくパワー(二) 心もモンスター』

どんな夫婦でも相方が死ぬと寂しいし悲しいだろうと思った。それで父が死んだあと毎日午後二時に母に電話を入れることにした。もう十五年も前の話だ。
とりたてて用があるわけでなくただ電話するだけのこと。「お~い、どうよ」と鳩時計が如くに毎日決まった時間にきまった連絡をする。誰かが必ず気にかけてくれているという安心感をと思った。
一年間は毎日続けるつもりだったが、一ヶ月くらいたったころ向こうから電話があった。
 
「わしゃ、もういいよ~電話」
「・・・・」
「もともとわしゃ、ひとつもさみしくないんだ」
「・・・・」
「お前がしてくれるっちゅうから、してもらっていただけやし」
「えっ、そーか、そーだったんか!」

やはりやつはココロもモンスターだった。
四十五年間連れ添った(いや、添ったというほどではないか)相方がいなくなっても、「さみしくない」らしい。人によっては落ち込んでしまって長い間失意の日々をすごすこともあるだろう。しかしまいくばあにとっては『シゲマサ騒動記』で書いたように、すぐ仕事を辞めてくる、すぐ酒に逃げるなど若い頃からなにか食い足りない、物足りないヒトで、そんな中で自分なりに精いっぱい尽くしたという「やりきった感」があったのだろう。
いつまでも落ち込んで立ち直れないのは、却って亡くなった人にとっても未練を残すかも知れませんからネ。                              
まあしかし、どっちみちモンスターには違いない。

●まいくばあの「未亡人」
遅かれ早かれどちらかが先に死ぬ。あの人が残ったら本人が大変じゃった。



読んでよかった
このエントリーをはてなブックマークに追加
このストーリーをブログ等で紹介する

前沢 しんじ

人生を渡っていく最強最高の友が言葉です。人生に起きる色々なことを「どう考えるか」、「何を選んで生きていくか」が自分の人生を決めます。メルマガではそんな考え方のヒントをお届けしています。エッセイスト前沢しんじが、よりよく生きるヒントをあなたに・・・

|

前沢 しんじ

人生を渡っていく最強最高の友が言葉です。人生に起きる色々なことを「どう考えるか」、「何を選んで生きていくか」が自分の人生を決めます。メルマガではそんな考え方のヒントをお届けしています。エッセイスト前沢しんじが、よりよく生きるヒントをあなたに・・・

前沢 しんじ

人生を渡っていく最強最高の友が言葉です。人生に起きる色々なことを「どう考えるか」、「何を選んで生きていくか」が自分の人生を決めます。メルマガではそんな考え方のヒントをお届けしています。エッセイスト前沢しんじが、よりよく生きるヒントをあなたに・・・

前沢 しんじさんの他のストーリー

  • 貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第4回)

  • 前沢 しんじさんの読んでよかったストーリー

  • 貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第3回)