和をもって尊しと成す⑸
そんな私ですが、この時ばかりは
言わずにはいられませんでした。
まず、普通のこどもとぺアでテストを受ける、迷惑をかける、普通の子に合わせるということが納得いきません。何のための特別支援教育なのでしょうか?
散々お世話になってきたK子先生の立場を悪くするのでは……と悩んだ末に、やはり今後の学校の在り方のためにもそのようなことはお話しするべきだと心を決め、学校へ行きました。
K子先生は次の日、そんなにお母さんとTちゃんに負担をかけているとはわからなかった。Tちゃんにできるようにさせてあげたいとつい熱くなってしまい、申し訳なかったと家まで謝りに来てくださいました。
その後、しばらくのあいだは私の心身の状態も良くなかったので、ギクシャクしたかもわかりませんが、考え方の多少の違いや経験や技術よりも、何よりも大事なもの……。
それはハート。
K子先生のT恵へのお気持ち。
T恵に力をつけてやりたいと思ってくださっていること。
T恵のことを理解して寄り添いたいと思ってくださっていること。
思いはわたしと同じです。
私たちは、またすぐに強い信頼関係を結ぶことができました。
K子先生は退職後に来てくださっていたベテランの先生だったのでお年のせいもあり、かなりの重労働でお疲れになられたのだと思います。
その年卒業されたハンディの重かったお子さんといっしょにT恵が五年生になる前に残念ながら引退してしまわれました。
ご挨拶に行った私に、先生は
「Tちゃんが漢字で名前を書けるようになるまで先生頑張るからね。ってずっと思っていたので、それだけが心残りで……」
とおっしゃいました。
先生は引退された後も近くに来られたときはうちに立ち寄ってくださったり、お花見にご一緒してくださったり、入学式、運動会や参観などT恵だけでなく、妹の学校の行事にまで出席してくださるのです。
五年間のあいだにK子先生は私にとってもいちばん信頼する、最も近しい母のような存在の先生になっていました。
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