星空の絨毯の下で出会った第2の家族 in オーストラリア

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高校2年の夏休み、初海外へ


学校なんて行きたくない!狭い日本を抜け出したい!

もがいていた高校2年の夏。


あまり今まで使わなかったお年玉とアルバイトで貯めたお金を全額投入して、

いざ出発!

(未成年なので親にハンコをもらうのには時間がかかったけど)


スーツケースに厚手のセーターやマフラーを詰め込む。そう、南半球は寒い寒い冬の真っ只中。日本の食材やお土産もその中に押し込んだ。


初めての海外は一人では不安だ、団体行動は好きではないが、今回はツアーに参加することにした。


初めてのフライトは思ったより早く過ぎた。窓の外の雲の海を撮ったり、周り席の人たちが喋りかけてくれて、不安もほぐれ、楽しかったのもあると思う。


空の上の旅の友に別れを告げ、荷物を受け取ると、出口で待っているという現地スタッフを探す。一人の20代後半くらいの男性が私を持っていたが、周りには誰もいない様だ。挨拶をし、他の人は?と尋ねると、申し込んだのが私だけ、と言う。


ツアーじゃないじゃん!


もう辺りは真っ暗で、ホテルまで車で送ってもらった。

ホテルに着くと、往復の電車の切符を渡され、明日の朝、これで、目的の駅まで行ってください、と。


えっ?私一人で?


彼は

僕の仕事はここまでなので!


とさっさと行ってしまった。

結局私ほとんど一人のような…なんだか騙されたような気分だが、とても疲れていたので寝床へ急いだ。


翌朝、シドニーから内陸地に向かって何時間か、電車で揺られる。サンドイッチをほうばりながら、窓の外を眺める。山と牧草地が延々と続く。羊ばかりだ。のどかだ。


向かい側の席に座っていたおじさんが、しゃべりかけてきて、窓の外のことを説明してくれていたのだけど、山と牧草地と羊ばかりなので、説明することがすぐに尽きてしまった。私は、かなりベタな感じだけど、折り紙を持ってきていて、鶴(しか折れないのだが)を折っておじさんにあげると、怖かった顔をくしゃくしゃにして、「娘にあげる」と喜んでくれた。


のどかな景色は続く。

時間の感覚が変化していく。


目的の駅で降りると、私の名前を書いた画用紙を手に持つ、農場のママさんをすぐに見つける。初老の優しい雰囲気に私はホッとする。車に乗り込み、グルグルとした山道を走る。色々とおしゃべりをしながら楽しいドライブ・・・だけど!


下は崖!

見るのが怖かった。しかし、ママさんは猛スピードで車を走らせる。怖い。何故そんなにスピードを出すのですか、と聞くと、カンガルーなんかが飛び出してきたら、こっちが負けて、崖に落ちるといけないから、と言う。暫くして、


どごん!


と車が何かを踏みつけた。うさぎだよ、とママさんはよくある事だから、という風に淡々と言った。農場に着くと、穏やかな笑顔のパパさんが出迎えてくれた。


四方は見渡す限り羊の群れと山。

隣の家は遠くて見えない。


異世界での暮らしが始まった。


朝と夜は冷え込んだが、私は電気毛布入りのベッドでぬくぬくと眠った。昼間は羊に餌をやり、毛を刈り、街まで買い物に出かけ、はるばる歩いてきたお隣さんと庭でお茶をし、パンをストーブの上で焼き、日本から持ってきた鰹節などを使って、お好み焼きを作り、乗馬やバーベキューも楽しんだ。とても緩やかな時間が流れているのに、日々はあっという間に過ぎていった。


家が暖かいのは暖炉のおかげだけでなく、本当に居心地が良くてあったかな家庭で、私はこの家の子になりたいとちょっと思ってしまった。実のところ、家庭の温かさというのをここで初めて知ったのかもしれない。


日本の家族に電話をした時に、家族は私がホームシックになって電話をかけてきた、と思ったらしいのだが、私が楽しそうにおしゃべりをしているので、あれ?ってなっていたらしい。


ママさんが作ってくれたチキンスープは、心にも体にもすごくしみた。私が先日食べなかったラーメンがちりぢりになってスープの中に溶け込んでいた。(ママさんはアジアの子はすごくラーメンを食べると思ったらしい)小学生の時に図書館で読んだ心のチキンスープの本を思い出した。


どれを取っても、新鮮で驚きに満ちていたけど、私の頭の中の常識が砕け散ったのは、あの夜だった。


よく晴れていた日、暗くなればこの辺りには人工的な光はほとんどない。何とはなしに空を見上げると、夜の空はほとんど真っ暗・・・ではなく、


空一面が星だった。


深い深い藍色の空が煌きで埋め尽くされていた


キラキラの欠片の絨毯。


それが迫ってきて天と地の距離が掴めない。


私はちっぽけだった。そして空と一体だった。


人間は、宇宙のほんのほんの一部で、大自然を前に慄く事しかできないのだ。日頃の悩みもきっと小さい事かもしれない。そして、そういうことを私たちは日々の忙しさに紛れて忘れてしまう。


頬を伝う冷たい涙を拭うと、側に第二の家族がいてくれるのを感じた。


ありがとう、オーストラリアのお父さん、お母さん。


空には無数の星、星、星

地には無数の羊の糞、糞、糞(踏みつけて歩くのです)


そして。。。


帰国して私は、

逆ホームシック

にかかり、夏休みの宿題が全く手につかず、放心状態の日々が続くのであった。。。


(※この記事からの教訓として、高3の夏に初海外に行ってはいけない。

行かないか。。。)


海原たい子

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