姉として妹の夢を叶えたかっただけなのに、給食のおばちゃんからローチョコレート職人へ昇華した妹の話<3章>

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「これは、絶対広めなアカン!」

いざ、ローチョコレート体験教室開催!ということで募集をかけたところ…蓋を開けたらなんと満員御礼


満員と言っても初めての教室だったのと会場が小さいということでMAX4人の募集だった。しかし、初めての開催で4人すべて埋まったのだからかなりの上出来である。


誰も知らないローチョコレートなんてものを、誰も知らない人が作る講座に4人もきたわけだから小さな大成功。


参加費は最初から「高い価格」

正直、地元のお菓子教室・お料理教室で同じ料金設定にしたら確実にドン引きされるだろうということは承知していた。


妹も「講座費、高いかもしれない…もっと安くなくて大丈夫?人が来なかったらどうしよう…」とビクビクしていた。

それでも私は、


間違っても「地元適正価格」なんてしちゃダメだから。特に、この土地ではね。

と強気姿勢を見せていたので妹は違った意味でビクビクしていた。


実際に私もネイリスト時代「地元適正価格」で人の財布を心配したことで自分の首を絞めてしまった。他人の言う「高い・安い」で自分の価値を決めて、稼げていない人も沢山見てきた。


初めてのもの、コトを見る・体験する人は、初めてのもの、コトに対して「価値観」を持ってはいない。

したがって、価値を提示する人が「値段」という数字によって初めてその人たちに価値を与える。

もし、1000円で出したらそれはずっと1000円のものであり、それ以上になることはない。


とくにこの土地に関しては「新しいもの」を受け入れないことで有名だ。大手企業が「全国の中でも入るのが特に難しい土地だ」というほどのね。

大手企業でもそうなのだから、個人などもっと難しいことは最初から分かっている。だからこそ、1回目の参加費は今後の活動を左右するだろうと考えていた。


「その価格でやったら、新潟で受け入れてもらえないよ」


と言う人ももちろんいたのだけれど、そんな言葉はほとほと聞き飽きていたし、うんざりしていた。


地元適正はもってのほかの値付け方法だと分かっている以上、この土地で後ろ指をさされようが地元適正価格を正義だと思う客なら来なければよいとかなり強気でいた。


が参加してくれたお客様のおかげで開催費に対するこの妹の不安は吹き飛ばすことが出来た。


・価値相当の値段をつけることはなんら悪いことではない

・これから広がる業界だからこそ業界そのものの価値を下げない


この2つは新しいものを持ち込むときの鉄則


これからローチョコレートをやりたい!と言う人たちと巡り合うのだから、価値あるものを持ち帰っていただかなければいけない。


また、「ローチョコレートを広めたい!」と同じように活動している人たちがたった5人とはいえ、本気で日本のどこかで動いている。


5人のうちの2人は私の知っている人でもあったし、だからこそ業界価値を「上げること」を考えることが大切だった。


チョコレート業界をひっくり返す、違う意味の価格破壊を起こすのがローチョコレートの役目だと思ったからね。

個人が大企業に勝てるとしたら、そこしかないってことも分かっていたし。


また、他にもローチョコレートを広めなきゃいけないと思ったのはもう1つ理由がある。


これからローチョコレートを新潟に持ち込むように妹に促したときに「妹が稼げるように!妹に美味しい思いを!」という気持ちはありつつも、ローチョコレートは沢山の人を感謝されるスイーツになると確信があった。


「妹が稼げるように!」という動機だけなら、別にローチョコじゃなくたって何でもよかったからだ。


普通のことしたって、変わんない!


そのイベント開催のイベント文は私が作成した。妹には自分のことに集中してほしかったし、何より…自分のコピーが地元の人の心に届くのかを試したかったというのもある。


持ち込んだローチョコレートもインターネット上で告知・活動をしている人はショップを含めても当時は5人ほどだった。


私も妹もただのチョコレート馬鹿ではあったけれど、ローチョコレートは日本のいろいろな問題を解決するチョコレートだったと分かり、


これは…広めなアカンよ!

と意気込んだのだった。


成人病大国となっている背景、しかも年々発病が若年化している。

これから!という世代の働き盛りの男性たちが体を壊していく社畜社会。

鬱大国。しかも、新潟は人口比率から考えた場合、日本一の鬱・自殺大国。(鬱・自殺者数だけならもちろん東京なんですが)

女性たちのホルモンバランスの崩れから併発する様々な不調、不妊、若年性更年期。

体を酸化させるおやつが飛ぶように売れる世の中で、虫歯ができやすくなった子供たち。

発達障害なんて名前を付けられて「脳の動きを鈍らす薬」を飲まされる子供たちや、そこまでではなくてもうちの子供のようにグレーゾーンと呼ばれる多くの子供たち。

高齢化社会に伴って、多くなっていく認知症。認知症世代を支える世代のアルツハイマー。


ローチョコレートはこれらを根底からひっくり返すだけの可能性がある新時代スイーツだと分かった以上、知ってる人が広めようとするのはもはや「使命感」


食べ物が「人を良くする」とはいうものの、どれだけ人を良くするものを日々口にしてるだろうか?

ってローチョコレートという斬新なチョコレートをきっかけにたくさんの同じ世代の大人が考えてくれるんじゃないかって期待をしていた。


食育活動がすでに始まって何年も経つのに、当たり前に開催される体に良いことを教える教室に世の中をひっくり返すパワーがあるなら世の中はとっくに変わっているはずだ!と感じてた。

普通のことなんかしてたら、子供達の時代も変わらない。うちらの子供たちにこんな時代、残せないでしょ?少なくても姉やんは嫌じゃ!

別に全世界の毒を排除しようとか、仙人みたいな生活をしましょう!というアピールではなくて、普通じゃないものや当たり前じゃないもの、常識を覆すものを受け入れることのできる大人を探すきっかけになるだろうと…私は思っていた。


妹が稼ごうが稼ぎまいが私にはお金が発生するわけではないし、時々差し入れされるローチョコレートがあったので「バーターでいっか」とそのあたりは姉妹同士。

好き勝手あーしろ、こーしろとモニターになってくれる点も妹だからできることだなと感じていた。


私にとっては別の意味でローチョコレートは挑戦だった。先述のような意味でね。

新潟にいる「変われる可能性のある大人」がどこにいるのか、知りたかったんだ。


『いいものなら、知りたいでしょ?』

ローチョコレート教室初開催は、時折しどろもどろしながらも無事3時間で終わった。

誤算だったのは…


『おなかが…お腹がいっぱい過ぎて…持ち帰ってもいいですか?』


という参加者全員の声。

初めての座学、初めてのワークショップ、初めての試食会。参加者に楽しんで、味わって帰ってもらおうという気遣いをしすぎて、これは反省材料となった。


「過剰サービスは、ホドホドだね…(笑)」


サービスも値段以上になるとお客様に気を遣わせてしまうんだな、という反省を持ち帰った。


のちほど、参加者からのアンケートももらったのだが、参加者も知り合いだったのでその場で実際に感想も聞いてみた。

値段について、ローチョコレートについて、参加した動機について、満足度について。


驚いたのは誰一人、値段なんて気にしていなかったことだった。


『いいものなら、知りたいでしょ?』

『新潟で聞いたことないもん、こんなの』

『良い材料を使っているんだから、安いほうが怪しいよね』

『お土産これだけついてるしね(笑)』


という純粋な感想と、


『まきちゃんの妹さんでしょ?信用できるじゃない』


と予期せぬ嬉しい感想。


コピーライターになる以前、地元での活動で色々あり、私に対して敵意を持っている人もいたりした。ゆえに、地元不信になっていたし、あまり自分は地元で好かれていないだろうと思っていたので、個人的にちょっと泣けるくらい嬉しかった一言だった。


ただ、これは妹にとってなんらメリットのない感想であることは間違いないので、妹のブランディングが必要になってくるな…と本格的に妹のブランディングに取り組むこととなった。


続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



次回は…妹が「自分」に迷い出しちゃうお話です。


続きのストーリーはこちら!

姉として妹の夢を叶えたかっただけなのに、給食のおばちゃんからローチョコレート職人へ昇華した妹の話<4章>

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