第3話 天国からの切符【小児科ナースが天国に行った子ども達と地球2周半、暗闇の奥に見えたとんでもなく輝く世界*】

このエントリーをはてなブックマークに追加
17

1.お空に行った子ども達へ



もう二度と動くことがなくなった小さな身体を、冷たくなった身体を、そっと抱きしめさせてもらったとき、心に誓った。



“この体が温かかったことを

 この体の冷たさを

 命の重みを、命の儚さを、忘れない。”



一緒に笑い合ったあの日々も

愛で溢れていたあの日々も


甘えてくれたあの時も

辛さに耐えて頑張っていたあの時も

そっと泣いていたあの時も

一生懸命呼吸をしていたあの時も



私はずっと、覚えているよ!!


Mariko
【Aちゃんへ】

私が困っていた時、私を見ながらニコニコーーって満面の笑みで元気をくれた、可愛い3歳の女の子Aちゃん。お兄ちゃんのしまじろうのDVDを見ながら「Aちゃんも1年生になれるかなあ、1年生になりたいなあ」って話してくれたね。元気に退院して、お家で大好きなママやパパやお兄ちゃんとたくさん笑ってちょっと大きくなったAちゃん。そんなAちゃんの身体を、病魔はまた少しずつ蝕んでいたんだね。Aちゃんの生きた日々の中で、一緒にいっぱい遊べたことが、今でも嬉しくてたまりません。本当にありがとう。可愛いAちゃんの笑顔は、今もこれからもずーっと、私に元気を与え続けてくれています。今頃天国で、1年生になれているといいな。
【Hちゃん】

朝、挨拶に行くと、四角いチーズをかじっていた5歳のHちゃん。それ、なんの形〜?って聞くと、「パンツー!!」って。いつも楽しい笑いをありがとう。熱が出ていても、震えながらベッドの上で楽しそうにおかし作りをしていたね。Hちゃんの名言「この輪ゴム、ママにそっくり!!」は忘れないよ。将来は「髪屋さん!!(美容師)」って言っていたね。天国でも、Hちゃんらしく元気に遊んでいるのかな。Hちゃんと過ごせた日々は、宝物です。Hちゃん、大好きだよ。
【Mちゃん】

私が一番最初に天国にお見送りした、Mちゃん。7歳なのにしっかりしていて、いつもMちゃんにはいろんなことを教えてもらっていたよ。毎日Mちゃんの担当になるのが楽しみでした。またねって退院の時に見送って、元気に帰って行ったのに、戻ってきた時にはすごく具合が悪そうで、それっきり会えなくなってしまったね。

目の前の日々も、目の前の景色も、またねって言ってまた元気に会えることも、当たり前なんかじゃないんだよって、教えてくれたんだね。Mちゃんといろんなお話ができて、すごく楽しかった。ありがとう。


【Dちゃん】

Dちゃん。今日は私が担当だよ、よろしくねって言ったら、「やったあ、たいらさんが担当で嬉しい〜〜!」って喜んでくれたね。すっごく嬉しかった。私が夜勤の時に「寂しいから一緒に寝て。」って言ってくれたDちゃんに添い寝をさせてもらって、いろんなことを話したね。将来の夢は「ゴーカイジャーになること!」って話していた可愛いDちゃん。大好きだよ。
【Tくん】

いたずらっこだけど根はとっても優しいTくん。何度もした手術も、たくましく乗り越えていったね。長引く入院生活の中では、大変なこともたくさんあっただろうけど、Tくんとお話ししたり、たまに喧嘩をしたり、一緒に遊んだりできて、毎日の関わりが嬉しかったよ。きっと、たくさんの寂しい気持ちもあったよね。そんなどうしようもない気持ちを、素直に私たち看護師にぶつけてくれることも、嬉しかった。いっぱいいっぱい、頑張ったね。折り紙がとっても上手なTくん、私に折ってくれたカニさんは、今でも大事にとってあるよ。最期まで「ありがと、ありがと・・」って、生き抜いていった姿は、とってもとってもカッコよかったよ。
【Mちゃん】

小さな体でいっぱいミルクを飲んで、話しかけると可愛い笑顔を見せてくれた、Mちゃん。いつもと様子が違ったあの朝、急変していくMちゃんを助けることができなくてごめんなさい。どんなに医療を尽くしても尽くしきれない、救いたくても救えない、時間を巻き戻したくてもできない、そんな現状に、Mちゃんが亡くなった後、私はただただ、冷たくなったMちゃんの体を抱かせてもらうことしかできませんでした。

Mちゃんの体を抱かせてもらった時、私はMちゃんから大切なことを教えてもらいました。『“死”という悲しみ』それは、今の私に、大きな大きな光をくれています。大好きなママやパパにたくさん愛されて、幸せそうに生きていたMちゃん、天国でもどうか幸せでありますように。
【Sくん】

 「僕、たいらさんのこと好きだよ」Sくんの担当になったある朝、何気なく言ってくれた言葉、すっごく嬉しかった。一緒に喋ったり笑ったり、毎日Sくんに会えるのが楽しみでした。長い治療も頑張って、辛くても痛くても耐えて、治療の合間に楽しそうに外泊に行くSくんは本当に逞しかった。約2年半、治療のためにほとんどを病院で過ごしたSくん。でも「僕、ここでの生活が楽しいし、外で他の子みたいに遊べなくても、ここにいられて十分幸せだよ。」って話してくれたSくん。Sくんは私に、悲しみよりも大きな幸せをたくさん教えてくれたんだ。本当に本当に、ありがとう。

『本当に、心からの看護に感謝しています。ありがとう。』Sくんのママからの最後の言葉は、今でも私の心を優しく包み込んでくれています。
【Nくん】

中学生のNくん、長い長い治療、本当に頑張っていたね。病棟ではみんなのお兄ちゃん的存在で、小さい子達ともよく遊んでくれていたね。みんなNくんのことが大好きだったよ。最期は、心拍数が徐々に減っていって、呼吸もゆっくりになっていって、命の終わる瞬間を、命をかけて教えてくれた。泣き叫ぶお母さんの手をそっと握りしめていたTくん。最期までお母さんを優しく見つめながら、ゆっくりと息を引き取ったNくん。強くて優しくて、たくましくて。自分の命をしっかりと生き抜いていったNくんは、今でも私の心の中で生き続けています。
【Kくん】

たくさんの手術や治療を頑張ったKくん。パパや妹さんやおじいちゃんおばあちゃんに見守られて、ママに抱っこされながら天国に行ったね。Kくんには、生きる力の凄さを教えてもらいました。生きる力は、無限大。医療の届かないところで、Kくんの生きようとする力がこんなにも強いことに、驚きました。幸せも生きる力も、決して余命になんて左右されない。Kくんは、命をかけて私に教えてくれた。Kくんとお話ししたり、遊んだりできた日々を、ずっとずっと忘れないよ。
【Tくん】

ツンデレでやんちゃで、寂しい気持ちや治療のストレスを私たち看護師にもたくさん教えてくれたね。ママのしじみのお味噌汁が大好きで、口では「あっち行け!」なんて言ってても、本当はみんなのことが大好きで優しいTくん。普段は口が悪くても、心からサンタクロースを信じているTくんが、愛おしくて可愛かったです。クリスマスの日にはサンタさんからのプレゼントを一緒に開けられて楽しかったよ。クリスマスが来るたびに、Tくんとの楽しい思い出を思い出します。Tくんはきっと天国から、大好きな家族を今でも見守ってくれているのかな。天国にいるTくんのところにも、今年もまたサンタクロースが来ますように!
【Mちゃん】

「将来はお医者さんになるの!!病気の子ども達をいっぱい救ってあげるんだから。」自信満々に語ってくれたMちゃんの夢。入院中も毎日毎日勉強をしていたね。いつも元気いっぱいのMちゃんに圧倒されることもあったけど(笑)、毎日Mちゃんに会えるのが楽しみだったよ。励まされていたのはいつもいつも、私の方でした。元気に退院して行ったのに、ある日突然救急車で運ばれてきたMちゃんは、変わり果てた姿で眠っていた。目を開けたくて、また元気にお話もしたくて、勉強もしたくて、何日も何日も一生懸命に頑張って病気と闘っていたね。最期まで、全力で生き抜いて行ったMちゃんの、元氣も夢も希望も大切にして、私が一緒に生きていくからね。
【Nちゃん】

丸顔の可愛いNちゃん。心の葛藤も色々抱えていたのかな、ちょっと悩んでいる日もあったり、元気いっぱいの日もあったり。毎日少しずついろんなことを話してくれたね。「平さーん」って何度も読んでくれて嬉しかった。辛い治療も苦しい副作用も乗り越えて退院して行ったNちゃん。再発してからは、違う病院に転院になったね。病院は違っても、いつも、Nちゃんの病気が良くなりますように、Nちゃんが笑って入られますようにって、祈っていたよ。Nちゃんの笑顔はとっても可愛いから。天国でも、自信持ってたくさん笑ってね。
【Tくん】

ずっと寝たきりのTくんの髪の毛を洗っていたら、表情がすごく穏やかになったね。ママもそんなTくんの表情を見て、喜んでいた。ママやパパからの深い愛情の中でTくんは幸せそうに生きていた。幸せの形は、本当に人それぞれあって、そして、どんな瞬間にも、ちゃんと幸せはあるんだよって、教えてもらいました。お母さんやお父さん、大好きな人たちと一緒に過ごす『時間』そのものが、幸せなんだって。
【Kちゃん】
小さな体で手術も治療もいつも頑張っていたKちゃん。優しいママとパパに抱っこされて、いつも幸せそうでした。そんなKちゃんの幸せそうなお顔を見ていたら、私までほっこり笑顔になっちゃうくらい、いつも元気をもらっていたよ。たとえ病気があっても、幸せは変わらない。幸せは、何にも左右されないんだよ!って、教えてくれてありがとう。ママの抱っこでゆっくりとお空に行ったKちゃん。Kちゃんとママとパパと、出逢えた喜びはこれからもずっと私の中にあるよ。
【Kちゃん】
小さな体で手術も治療もいつも頑張っていたKちゃん。優しいママとパパに抱っこされて、いつも幸せそうでした。そんなKちゃんの幸せそうなお顔を見ていたら、私までほっこり笑顔になっちゃうくらい、いつも元気をもらっていたよ。たとえ病気があっても、幸せは変わらない。幸せは、何にも左右されないんだよ!って、教えてくれてありがとう。ママの抱っこでゆっくりとお空に行ったKちゃん。Kちゃんとママとパパと、出逢えた喜びはこれからもずっと私の中にあるよ。
【Yくん】
Yくん、長い長い治療、お疲れ様でした。辛い時もあまり弱音を吐かずに、本当に頑張っていたね。元気な時は年下の子ども達ともいっぱい遊んでくれて、ありがとう!ナースステーションで踊っていたり、美人な看護師さんに喜んでいたり、Yくんの明るさにはいっぱい笑わせてもらったよ!

全力で頑張っても、力及ばなくて、ごめんなさい。Yくんの命を救うことができなくて、ごめんなさい。私はこれからもYくんの命を背負って、Yくんの分まで思いっきり生きていくからね!!
【Sちゃん】
Sちゃんは、何を想って生きていたのかな。自分では体を動かすことも、しゃべることも、呼吸をすることもできなかったけど、Sちゃんは、ママやパパから愛されていることは確かだった。本の読み聞かせや音楽の授業は、聞こえていたのかな?ママの声やパパの声、私たち医療者の声は、届いていたのかな?Sちゃんが自由に話すことができたら、何を言ったんだろう。Sちゃんが笑うことができたら、どんな笑顔で笑ったんだろう。どんな夢を持っていて、どんな人になっていたんだろう?

たとえ健康な人みたいに自由に生きられなくても、それでも生きて、私と出逢ってくれたSちゃん。愛されて生きていたSちゃんがこの世界で生きた日々が、幸せだったことを心から祈っています。今私が生きている中の、たくさんの奇跡を教えてくれて、ありがとう。


まだまだまだまだその他大勢の

天国に行ったいのち達


みんなみんな、大好きな人たちを

今までもこれからもずっと

愛情いっぱいに見守ってくれている。


きっと天国は幸せで

優しくて温かい世界だから。


今でも

悲しみの中にいる方々の心が

少しでも癒され

また前を向いて生きていけますように。


ちゃんと、吐き出せますように。



(☆小児科病棟では、決して亡くなる子ばかりではありません。大勢の子ども達が毎日元気に退院しています!だから、これを読んでも、あなたやあなたの大切な人たちも、亡くなってしまうのではないか・・なんて思い詰めないでください。一緒に希望の“今”を重ねていこう!)



2. 悲しみ



暗闇はなくならない

受け止めきれない暗闇と

毎日闘い続けている人たちがいる



負けるものかって、

必死で光を見つめている人たちがいる



それでも光は消えてしまって

真っ暗闇の中で

生きていかなきゃいけない時がある



そういう現実を目の前に

容易に前を向こうなんて言えない



何も言葉にすることなんて、できない



でも、どんなに光が

失われてしまいそうになっても



子ども達は思いっきり笑って、

泣いて、遊んで、耐えて、生きていた。



闇と光



暗闇が深くて暗いほど
きっと美しい光が潜んでいる



どんな感情も現実も

全部大切に抱きしめて



その奥にある光を

探していこう。



子ども達が大好きなアンパンマンを生み出した

やなせたかしさんも言っている。



生きているから悲しいんだ

悲しみを知っているから嬉しいんだ


絶望の隣に誰かがそっと腰かけた。

絶望は隣の人に聞いた。

「あなたは、誰ですか?」

隣の人は微笑んだ。

「わたしの名前は、希望です」


『絶望の隣は希望です』


byやなせたかし




希望があるから、絶望できる



その希望にはきっと

生きる喜びも楽しさも幸せも

これでもかってくらい詰まっている。



全部いつか必ず

宝物になって、お守りになって

きっと人生を輝かせ続けてくれる



そんな未来を信じて



今を生きていこう。



3.天国からの切符



急変の怖さ

目の前の命が消える怖さ


今まで当たり前のように生きていた命や

当たり前のように広がっていた景色は



いつ消えてしまうかわからない。



救えなかった命に

もっと何かできたかもしれない命に

救えたかもしれない命に

どんなに尽くしても力及ばない現実に



自分を責めることも

仕事をするのが怖くなることもあった。



多重業務に人員不足に残業に

連休のない不規則な勤務に

疲労困憊の日々。



次々と起こる現実の変化に

感情の処理が追いつかない。



当時看護師をしていた

私の心の中は



悲しみでいっぱいになった。



職場からの帰り道

一度溢れた涙は止まらない。



そんな時、一つだけ

全力で大切にしたい想いが

自分の中にあることに気づいた。



”今ここに生きていられることは

 奇跡なんだよ!!!”


「子ども達から命をかけて教えてもらったことを、私も命をかけて大切にして生きてみたい!!!!」



『天国に行った子ども達と
 一緒に生きているつもりで
 私も思いっきり生きる』



その決意とともに、職場を離れることにした。



そうやって生きることを決めたなら

進むべく道はただ1つ。



心が素直に進みたいと願う道。



思いっきり生きる決意をしたら

たまたま目の前に現れたのが

“世界一周“っていうワクワクだった。



「宝物は、こっちだよ!!」



って、私の心の中に突如現れたワクワクは

まるで、天国からの切符のようだった*



怖さに負けていたら

思いっきり生きることなんてできない!



最初の大陸は、ピンときた南米!!!!

航空券は片道分だけ握りしめて



「よし、みんな、ついてこーい!」

って旅立ちを決めたんだ。



 みんなの分まで思いっきり生きるからね、

 思いっきり遊ぶからね、

 みんなの「もっともっと…」を

 全力で生きるからね。


 一緒に、生きていこう!


 あなたが見られなかった景色を

 出逢えなかった人たちを

 生きられなかった日々を 

 私が全力で生きるから


 


 そして

 みんながいのちをかけて教えてくれた

   そのいのちの輝きの正体を

 お







読んでよかった
このエントリーをはてなブックマークに追加
このストーリーをブログ等で紹介する

平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

平 茉莉子さんが次に書こうと思っていること

|

平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

平 茉莉子

1987年生まれ。大学病院の小児科病棟で看護師として勤務後、天国に行った子ども達と一緒に思いっきり生きる旅に出た。全てワクワクで選び続けた1年3か月の世界旅、”命ってなんだろう?生きるってどういうことだろう?”、各国で見つけた宝物はまるで、天国からのメッセージだった。

平 茉莉子さんの他のストーリー

  • 第1話 生きて。【小児科ナースが天国に行った子どもたちと地球2周半、涙の奥に見えたとんでもなく輝く世界*】(改正中)

  • 平 茉莉子さんの読んでよかったストーリー

  • 第7話 アルケミスト【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】