おばちゃんの転職活動

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8年前、新聞の折り込みで見つけた大学病院の受付事務の仕事に就いた。レセプトは扱わない部署なので、医療事務の資格がいらない半日契約のパートだ。その仕事を辞めて転職することにした。

きっかけは昨年10月、社会保険加入の適用範囲が変わったから。この時点でまだ加入しなければならない規模の職場ではなかったが、今後適用範囲が拡大されると社会保険に加入しなければならない。私は年収130万まで可能として働いていたからだ。

中高生の息子3人がいる我が家にとって、手取り額が減るのは死活問題。

一般的に扶養を抜けて働くには年収160万以上を目指そうと言われている。フルタイムパートでそのラインに到達するには時給900円以上欲しいところ。それにはだいぶ遠い時給。かと言って常勤の契約社員になるには一旦フルタイムパートになり、その後空き待ちで常勤になれるかも…という状態。何年待つのだ?って感じになるので、思い切って転職しようと考えた。好きな仕事だったんだけどなぁ…


仕事を探すのに、初めてネット検索で探してみた。なんせ48歳のおばちゃん、新聞の折り込みか情報誌か職安(ハローワークなんて呼ぶ前の時代です)か…しか仕事を探した経験がない。年齢も年齢だし、転職が厳しいのは自覚していたので、とにかく早くから探し始めようと退職1ヶ月前位から検索を初めてみた。

「すごーい、サイトがいっぱいあるー」どのサイト見ていいのか分からない。とりあえず一番上に表示されたサイトを覗いてみた。

「うわー、いっぱい求人あるー」条件検索しないまま見始めて、しばらくして検索できることに気付く。

ここで迷ったのだ。「どんな条件の仕事探せばいいのだろう?」

決まっているのは年収160万以上になること。できれば正社員、だが難しいのは分かっているので、原則更新の契約社員や時給900円以上のフルタイムパート。派遣は考えていない。派遣契約切れたら、おばちゃんには仕事がないかもしれないからだ。年齢がネックになりやすいのは重々承知している。これといった資格もない。だから贅沢を言うつもりはない。通える範囲はある程度近くに限定されるが、土日・祝日が出勤でも構わないし、年間の休日は105日前後でいいと思っている。日勤がいいに越したことはないが、子供も大きくなっているのでシフト制で夜の時間帯があっても仕方ない。職種や業種も限定して探すつもりはない。

でも検索画面には職種が表示されている。「う~~~ん」

短大を卒業してから色々な仕事をした。面接で聞かれて答えにくいような退職理由ではないが、転職は多い方だ。業種は一貫性なくバラバラ、職種としては販売・営業・講師・事務あたり。

「とりあえず事務系でいいか」と検索開始。いくつか希望条件に合うものが出てきた。

ここでまた固まる。「応募するってボタンあるけど、押していいのかなぁ?こんなんで応募していいのだろうか?まずは電話で問い合わせとかしてからでないと失礼なのかな?」昭和のおばちゃんは電話で問い合わせしてからしか知らない。「いきなりメールで応募なんて失礼にあたりそう、それだけで落とされやしないか?」応募ボタンを眺めながらしば~らく考え込んだ。

「えぇ~い」ポチッ。考えてても始まらないので押してみた。職歴等々入力する画面も表示されてた。「画面上で履歴書作るみたいなもんなのね」「スマホの画面小さいから入力面倒だなぁ」ブツブツ言いながら入力して送信。他の仕事の応募画面は名前と生年月日とメールアドレスの入力だけ。「こんなんでいいのかぁ?」と思いつつ送信。

「これが噂に聞くエントリーするってやつか」おばちゃん、就活生みたいな若い子になった気分。

スマホでの検索にも慣れた頃、やはり職種について迷い始めた。「とりあえず事務系にしたがこれでいいのか?」パソコンはWordもExcelもそれなりに使える。細かな事務作業も好きだ。しかし、黙々とやる事務作業のみは自分に向いていないことを思い出した。

二人目が生まれた後に再就職に向けて資格をと思い、簿記3級を取った。会計事務所のパートに就いてからも勉強を継続し、簿記2級まで取った。税理士補助業務は得意先に帳簿などを預かりにいくこともあるが、それ以外は人の対応をする機会はとても少ない。自分にとって物足りなさを感じる仕事だった。3人目出産で退職がしたが、妊娠中異常に眠くて睡魔との闘いだったのも、黙々事務作業に対して少々トラウマとなった。だからその後の仕事に、簿記とは全く関係のない受付事務を選んだのだ。

人の対応機会も多くて、事務作業もできる仕事。これが好きだし、自分に一番向いている。

まずは自分がやりたい仕事で探そう。ギリギリまでこれで探して、ダメなら他の職種も考えよう。そうして、エントリーして、履歴書送ったり、面接行ったり…勤務終了で有給消化に入って転職活動が本格化した。

「適正検査!?30年近く前にしかやったことないですけどっ!」また独り言。選考で適性検査と面接、となっていたを見て出た一言。30年も前の記憶なんてほぼない。のでネットで検索。よく企業で採用されているのがSPIと出てたので無料問題を見てみた。「む~~り~~!!こんなの1分とかで解けるわけないじゃない。せめて10分は欲しい」学校の勉強の延長みたいな問題が並んでいた。「事務仕事探してるおばちゃんにこんな問題やらせて何の意味があるのだ。だいたい、これ解けるおばちゃんが何人いると思ってるの?」……あ、そうか。さすがに主婦歓迎とか募集してる事務パートの選考でこれは使わないだろうな、とやっと気付く。パート向けの適正検査無料問題を探してみた。色々な言葉で検索してみたが、二つくらいしか見つからなかった。とりあえずやってみようか。

「私こんなにもバカだったのか…」撃沈。計算問題やコピーと原本の照合など何種類かあったが、とにかくトロい。解けない問題ではないが、ノロいのだ。時間かかりすぎ。わずか数日練習してみたが、間に合わない。本番では半分まで解けないノロさ。「年齢からの衰え×普段使わない能力」やらないから衰えるのは年齢からの衰えを何倍も加速させるのではないかと実感した。

そんなこんなでも、何とか希望する職種で仕事が見つかった。ありがたい、世の中捨てたもんじゃないって気分。


この歳になってやっと「自分が、好きで向いてると思える仕事」が何だか分かった。これが今回の転職活動を通して思ったこと。

「自分探し」とかよく言うが、一生探したまま人生終わるのかもとも思った。探して、立ち止まって、また探して…でもそれはそれでいい。探せば必ず新たな発見がある。だから探すってとてもワクワクすることなんだと思える。ワクワクして一生…って考えると、なんか楽しいな。

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すばらしいストーリーをありがとうございました。自分探し、いいですね!

ありがとうございます。とりとめのない、おばちゃんのつぶやきみたいな話ですが、すばらしいなんて…素直に嬉しいです。

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み わ

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