子どもを産まない20代の私がフツーの同年代と結婚できた話。

子どもがいない夫婦の背景はなかなか聞けないと思うので、書いてみました。

1、婚活サイトに登録してみた

私は腎臓が弱く、妊娠・出産の先には人工透析が待っています。

20代の私が人工透析を始めると、働くことも難しくなるし、多くの制限と合併症に悩まされながら20~30年ほど生きて、50代で人生終わり、という感じでしょうか。

透析しながら子どもを育てるのと、子どもがいない普通の暮らしを天秤にかけ、私は後者を選びました。

一生独身でいればいいかもしれないけど、私は結婚したい気持ちがありました。

しかし、子どもを産まないことを決めてから、私は子どもについての話題に敏感になりました。

大学生の頃、好きな人が「将来は子ども欲しい!」と友人たちと話しているところを見て、告白することを諦めました。

社会人になってからは、気になる人がいても、「やっぱり子どもが欲しいんだろうなー」と思ってしまい、彼氏も作れずにいました。

そんなとき、「デート〜恋とはどんなものかしら〜」を見て、ドラマのような極端な登場人物でなくても、世の中には色んな人がいるんだなぁ、としみじみと思いました。

それから、子どもを望まない相手を探せばいいと考え、28歳で婚活サイトに登録しました。


2、メール相手とのデート

婚活サイトのプロフィールで、「子供の希望」には「欲しくない」を選択しました。

相手への希望も、唯一その1点にだけ「欲しくない」の条件を付けました。

そして、写りの良い顔写真を載せて、プロフィールを登録すると、何十通ものメッセージが届きました。

はじめは嬉しくて、一通一通読んでいたけど、相手のプロフィールを見ると、「子供の希望」は「欲しい」人がほとんどでした。

「欲しくない」「分からない」を選んでいる人は数えるほどで、その数人とメールのやり取りをしていましたが、何を書いたらいいか悩んで、やり取りが続かなくなったりしていました。

ただ、そのうちの一人とは、テンポのよい卓球のラリーのように、不思議とメールが続きました。

一日一通のペースでメールが続き、2週間くらい経った頃、彼から映画に誘われました。

真夏の昼、約束の2分ほど前に、ショッピングモールにある映画館の入り口に着き、彼を待ちました。

1分1秒がとても長い。

ただ待つのって緊張するなぁ・・・

私は、辺りをキョロキョロ見回しながら、彼を待ちました。

・・・約束の時間が過ぎても、彼は現れません。

2~3分過ぎた頃、彼から電話がかかってきました。

彼はチケット売り場で待っているということで、私がいる入り口まで来るとのこと。

ドキドキしながら待っていると、「涼子さん?」と声をかけられました。

彼は、写真通りの優しそうな人でした。

人見知りで口下手な私が、初対面の人とこんなに話せたっけ?と思うほど、彼との会話はスムーズに続きました。

穏やかな口調や誠実さ、優しい笑顔に、何だかもう好きになりそうでした。

「バケモノの子」を観て、適当なお店に入り、30分ほど話をして、その日は帰りました。


3、付き合ってから、子どものことで衝突

お互いに好印象だった映画館デートの後、メールは続き、毎週末デートをするようになり、1か月後、結婚を前提に付き合うことになりました。

その週末、彼の家へ遊びに行きました。

セックスをすることになると思ったので、その前に、子どもは産まないと考えていること、だけど、もし妊娠したら絶対に産む、ということを伝えました。

すると、彼から、前半は同意するけど、もし妊娠して、透析にならないなら産んでほしい。透析することになるなら堕ろしてほしい、と言われました。

私は、中絶は絶対に嫌だから、もし妊娠したら産んで、透析しながら子育てする、と伝えました。

出産と中絶で意見は平行線のまま、お互い譲らず、彼も私も相手を説得しようとしていました。

また、出産に関して意見が割れていることから、彼と相談し、ピルを飲むことにしました。

その後も、その話題が出ると、いつも平行線でお互いに譲らない状況が続きました。


数か月ほど過ぎ、あるとき、彼に尋ねました。

もし、結婚して、子どもが欲しくなったらどうする?
結婚したことを後悔するよ
じゃあ、結婚やめる?
涼子さんと結婚しても後悔するし、結婚しなくても後悔するよ
それなら、子どもは?
子どもがいても後悔するし、いなくても後悔する。涼子さんが透析して、ずっと一緒にいられない方が後悔する。だから、子どもが欲しくなったら養子を迎えよう
養子の話がなかったら、ずっと二人だよ
ずっと二人なら時間とお金も自由に使えるから、旅行に行ったり、いろいろできるね

4、彼の両親があっさり快諾

年末、実家に帰った彼は、両親に、子どもを産めない彼女と結婚を考えていると話し、彼の両親は、自分でそう決めたなら良いんじゃない?と快諾したらしい。

彼からそのことを聞き、「えっ? 孫、いいの!?」と思ってしまいました。

私はその場にいなかったので、彼と両親が、どのような雰囲気で、どれだけ話し合ったかは分かりません。

だけど、彼も、彼の両親も、子どもを産まない私を受け入れてくれた。

彼と出会って、ほんの数か月で、私はこの人と結婚するんだという実感が湧いてきました。

その後は、双方の両親へ挨拶に行き、顔合わせをして、結婚となりました。


5、出会って1年後に結婚、そして現在

初めてデートをして1年後に結婚し、最近ようやく、夫と暮らす生活に慣れてきました。

子どもの話以外にも、実はいくつか大変な問題があり、紆余曲折を経て結婚しました。

長くなるので、別のSTORYで書こうと思います。

子どもがいない夫婦の背景としては一つの事例ですが、少しでも参考になれば嬉しいです。

ありがとうございました。

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