【死にたがりだった10年前の愛しい私へ】新しいこころ回復方法で元引きこもりが治療家になるまでの生きる練習帳:プロローグ:

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─これはきっと、

 10年前のもがき苦しんだ自分への

 ラブレターになるんだと思う。


***

日本最南端の島、波照間島。

そこには絶世の蒼色が空と海を溶かすように広がり、真っ白い美しい砂浜が続くニシ浜がある。

そこから徒歩5分の民宿に滞在していた私は、晴れてきた天気を見てシュノーケルだけ持って浜まで歩く。

朝一はお天気がイマイチだったけど、太陽が出てきて浜からの蒼の輝きが増した景色に嬉しくなって、スニーカーのまま海に足をつける。


浜の白は命を終えたサンゴの美しい白色。

泳げる深さになるまではゴツゴツしたサンゴを超えないといけない遠浅の海で、できるだけサンゴを踏まないように避けて進むけれど、それでも素足やシュノーケルのフィンで歩くのには痛いからスニーカーのまま浅瀬を進む。

海の蒼の色が変わる直前まで歩いて来た私は、ゴーグルをつけシュノーケルを咥えたら、そのまま全身を海に沈める。


目の前には大好きな水族館をそのまま持ってきたような景色。

キラキラした光がゆらめく蒼の世界の中に、色とりどりの魚たち。

大好きなルリスズメダイの群れを夢中で眺めてると、いつの間にかウミガメが近くにいて、しばらく一緒に泳ぐ。

水の浮力の中で体は軽くて、皮膚に感じられる水温も心地良くて、視界は宝石箱のようで。


『ああ、

 あの六畳の部屋を出て良かった。』

引きこもってネットをするか自己嫌悪で自分を傷付けるかだけだったあの自分の六畳の部屋の中だけでは、絶対に感じられなかった感動。


しばらく人懐っこいウミガメと遊んでから、喉が渇いたので浜に戻る。

蒼は色を変えてきていて綺麗なグラデーションが始まる気配。

水を飲んだままぼんやりと、刻々と変化する空の色を眺めながら波音に耳を傾ける。

重力の世界に戻って感じる体の重たさも、心地良く感じるほど穏やかな世界。


目の前に広がる夕焼けを見ながら、外の世界が強くて出られなかった自分の部屋から見た10年前の自分の感覚がふとよみがえる。

引きこもりだったときは世界と自分を呪うのに忙しくて、こんな美しい世界を体験できるなんて思いもしなかった。

でも今、目の前に確実に広がっている。



ねぇ10年前の愛しい私。

感じていたことをちゃんと覚えてるよ。

苦しくてたまらないよね、死を願ってやまないほど辛いよね。

精神科の主治医にもっと楽になるお薬はないのかと聞いても「これ以上強い薬はないし、今の薬をこれ以上は増やせない」と言われるぐらい限界値の処方薬を飲んでも、生きることの苦しさや辛さは全く薄まらなくて、その苦痛から逃げたくて何度も何度も死のうとした私だった。

だけどその10年後にはこんなにも美しい世界を体験する。



ねぇ10年前の愛しい私。

その絶望しかないような世界から抜けようともがいて、血反吐吐くような苦しみを味わうけど、それでも傷を増やしながら進むことをあなたはやめない。

沢山失敗もするけど、その中から少しずつ少しずつ生き方を覚えていって下手なりに居場所を見つけていくよ。

そして共感してくれる人や応援してくれる人たちの中で、生きる練習を重ねながら上がっていったあなただけの経験を不器用なりに活かしていくから。

あなたがそこで感じている苦しみや悲しみはひとつも無駄にならずに、その経験全てこそが人の役に立つようになる。


だからもっと、大いに苦しんで。

辛いから生きることから逃げたいだろうけど、苦しみ抜いたらそれだけ早く、その絶望から抜けられるから。


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