明日が来てしまう
繰り返し繰り返し、明日が来てしまう。
体がうまく動かないまま、もうすぐ30歳になる。
こんな表現をすれば、いかにも私が生きるに困難な病や障害を抱えているかと思われるかもしれない。
私は、素晴らしく健康な身体を持っている。
少し運動が苦手なくらいで、力もあり、柔軟が得意だ。多少の病は人より治るのが早い。
私は、適度に強かな精神も持っている。
両親から打たれて育ち、社会に出てからも挫折の繰り返しだったが、しぶとく耐え、何とか人並みにまで這い上がった。今ではのうのうと、仕事をこなしている。
けれど、私の体はずっと上手く動かない。
幼い頃から、今までずっとだ。
違和感に抱え込まれたように、起きているだけでひどく疲労した。家族を含め、他人と接することが苦痛だった。放っておけば何日も眠り、微睡んでは眠りすぎたと自責して、また眠る。
それで、学生のころはあまり思い出がない。
社会に出て、普通の人間のふりをした。
とても不安だったが、必要に迫られれば案外と上手くいったのだ。私はただの怠け者だった! 私だって人並みの生活が送れる、と、ちぐはぐな満足感を噛み締めた。
もうすぐ30歳になる。
ようやく気付いたが、私は一向に上手くできていなかった。
人との関わりを深く持つ事なく、当たり障りなく生きてきたが為に、この人間社会での立ち位置がわからない。
人に寄り添おうとしてみたが、隣に並ぶまでも到達しない。繰り返しても、失敗するばかり。
このところ、迷子のような心持ちになっている。考えても答えは無くて、行き詰まっている。バッドエンドに向かっているようだ。
私はずっと、家族が欲しいのに。
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