わたしの仕事は「たったひとりの人事」〜企業は採用が全て〜

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わたしの仕事は「たったひとりの人事」


ここでは、実際に私がたったひとりの人事部を始めてもう直ぐ1年、

失敗や失敗や失敗から少しずつ「会社って、採用ってこう言うものかな」って考えが出来てきたことを書き記しておこうと思います。

もちろん、すべての中小企業がそうではないとはわかっていますが、私なりに「中小企業」で「人事」が果たすべき役割を日々考えています。


「企業は人財が全て!!」

というのは、私の前職である大企業でもよく言われていました。

「人材」を「人財」と言い換える企業も多く、最近は労働人口も減少しているので、

まさに若い人を採用するかしないかで、企業の将来が大きく変わる・・・と言うのです。

ただ正直、大企業にいるときはそんなにピンときていませんでした。

こんなに人がいるんだから、若い人一人辞めたくらいじゃ変わらないでしょ・・・と。


大きな企業は「分野別大量騎馬戦」


だから自分の騎馬が落とされても別の騎馬がいるし、自分の戦場が不利になってきたらこちらが有利そうな戦場に助太刀すればまた戦えるし、勝てることだってある・・・。

そんな中で、一社員としては全体の戦況は見落としがちになる故、「たかが1騎馬の1メンバーだし・・・」と、「騎馬が減ること自体で不利になる」ことには目もくれていませんでした。

また、全体を見回している軍師さえ優秀で、「負けない戦場」を選んでくれれば、個人の能力が低い騎馬でも勝てるというのも特長です。実際には、大きな企業には高学歴の「優秀な」人が集まりやすいため、優秀な軍師と優秀な騎馬がお互いに潰し合うような戦場になってしまうのかもしれません。


中小企業は「ゲリラ」に感じる違和感。


上記のような大企業に比べて、中小企業は「ゲリラ戦」と言われることが多いですが、正直それは一部の特殊な「ベンチャー」だったり、「スタートアップ」企業ならではの、これから「騎馬戦に参加してやる!!=大企業になってやる!!」という勢い故だと思います。

私の会社はそういう「ガツガツ」している人ももちろんいるのですが、全員がそういう感じかと言われるとそうではなく、「上場しよう!!」と息巻いているわけでもありません。

おそらく「中小企業」くらいの規模感が会社が運営する時の規模感として最適で、

その「最適」の中で、いかに上手に仕事を回すかを考える方が、より近いと感じています。


多くの中小企業は「30人31脚」


余談ですが、この文章を書くために調べたところ、30人31脚って2009年で終了しているんですね・・・。

知らない方のために分かりやすく言うと、「2人3脚」を30人でやって、スピードを競うという種目で、私が小学生の頃には、「小学生が夏休みをかける青春」というキラキラしたイメージでした。


この「30人31脚」には、やってみると初めてわかる以下のような特徴があります。

・「転ばない事」が最速でたどり着く事への最低条件

・誰か一人だけ早すぎる人がいると、そこについて行けずに列が崩れて転ぶ。

・誰か一人だけ遅すぎる人がいると、そこについて行けずに列が崩れて転ぶ。

・全員が前だけ見ていると、列が乱れて転ぶ。

・全員が横を見ていると、牽制の仕合になりタイムが遅くなる。

・(つまり)前を見る人、横を見て足並みをそろえる人がチームの中にたくさんいて、個別にそれぞれ機能する必要がある。

・ゴールが変わった時、列をつなげたまま方向変換するよりも、一旦列を解散して、並び直してから脚を連結させた方が速い。


中小企業の人事って、こういう集団をいかに目的の場所に早く走らせるかということに似ているのです。


例えば、誰かが辞めてしまう時。

騎馬戦では別の人を入れて騎馬を組み直せばまた直ぐ走り出すことができますが、

30人31脚では、全体のバランスを考えて、並び順を全て入れ替える必要があります。


例えば、誰かを採用した時。

騎馬戦では、その騎馬がすぐには勝利できなくても全体で勝利すれば問題ないですが、

30人31脚では、その人が速く走れるようになるまで、全体のスピードを抑える必要があります。


例えば、社内で関係の悪い人が出てきた時。

騎馬戦では、別の騎馬にしておけば、さらには別の戦場に派遣してしまえば、全く問題はありませんが、

30人31脚では、そのペアを離すためには、再度全員の走るポジションを見直す必要があります。

さらに、一番足の速い人と遅い人が喧嘩しても、そこを崩すとゴールができなくなるため、仕方なくそのまま組ませて走り続ける場合だってあります。(その場合、だいたい速い人が理不尽に感じて辞めてしまうのですが・・・)

そして最たる例が、能力が明らかに1人だけ劣る人が出てきた時。

騎馬戦では、その騎馬がダメになるだけで済みますし、軍師さえ優秀であれば、それでも勝ててしまう時さえあるかもしれません。

30人31脚では、どんなに周りが頑張ったところで「スピードが遅くなる」のです。

そして最悪の場合、「どんなに頑張ってもゴールできない」集団になります。


だから、中小企業では採用が全て

端的に言うと30人31脚タイプの企業の場合、”「個」が生命線になる”ということなのかな、と感じています。


そして「採用をする」ということは、

社内に列を組み替える負担を強いるということになります。

そこで、もし「足が遅く意欲もない人」を私が採用してしまったら、

1つの騎馬がダメになるだけでは済まないのです。

最悪の場合、「採用のせいで」最速タイムを出していたチームでさえ、ゴールできなくなってしまうのです。


そう考えると、大きな企業よりも小さな企業の方が、「採用」には細心の注意を払うべきだし、

社内の人にも「列を組み替えてまで採用したい理由」をちゃんと説明しないと、軋轢が生まれます。


そして「採用された側」にも、「騎馬戦ではなく、30人31脚である事」を早く理解して、早く速く走れるようになってもらう必要があるのです。


大きなの希望を胸に、ひとりの人事は頑張る


そんな、胃の擦切れるような人事の仕事ですが、私にはとても大きな希望があります。

それは、

自分の想定した「列の組み変え」によって明らかにチームが走るのが速くなった。

自分の採用した「新しいメンバー」によって明らかにチームが走るのが速くなった。

自分の実施した「研修」によって明らかにチームが走るのが速くなった。

そういうことが目に見えることです。


中小企業だからこそ、「人事」ではないメンバーからの意見はストレートに入ってきます。

また、社内の業務の様子も、目に見えて分かります。

結果がすぐに見えるのは、恐怖でもありますが、希望でもあります。


だから、私は今日もひとりの人事として奮闘しています。


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飯田 裕子

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