第二回:沖縄の人(沖縄に移住するおはなし)

前話: 第一回:沖縄の魅力(沖縄に移住するおはなし)

沖縄で生活するときに大事なのは、環境じゃなくて人だと思うんです。都市部以外であれば大体一緒だと思いますが、沖縄独特の文化もあるので、そのあたりを私なりに書いてみます。


沖縄といっても、波照間島も沖縄本島の各市町村、那覇市で文化も言葉も違いますので、「沖縄の人は〜」なんて一括りにできません。

お墓の形も違いますし、私見ですが、顔の骨格や体格も異なっています。このあたりは、琉球民族に関する研究者がたくさんおられるので、そちらを参照くださいませ。

なので、私は、現段階の沖縄本島で特に那覇を中心に人のお話したいと思います。


沖縄の人は優しいよねー。って良く言われます。

東京の友人にどういう点で優しいのかを聞いて見ると、、、

「言葉尻りがやわらかい」

「いつも笑顔」

「怒らない」

「イライラしない」

「格好がラフ」(スーツ姿の人がいない)

「ヤンキーも親しみやすい」

など、まあ言いたい放題です。

あくまで東京基準だから、そうなるんですよね。

比較の原則です。基準点の持ち方次第ということでしょうかね。

東京が異様なんですよ。


まあ、それを前提にお話しますと、言葉尻りがやわらかいのは、他の地方の方言も一緒です。

他人との接触でできるだけ敵対感情を出さないようにする防御的に生まれた言葉尻りなわけで、沖縄では、「○○さーねー」「○○しましょうかねー」などとゆっくり言います。

優しいイメージはつきますね。あくまで東京の人にとっては。

いつも笑顔で怒らない人が多いというのも、別に沖縄に限ったことではないです。他の地方にも当てはまります。東京に気性が荒くていつも何かに追われ忙しくしているゲキオコプンプン丸ちゃんが多いだけです。


格好はラフな人が多いというのは、印象ではそうですけど、沖縄の方はラフにしているわけではないです。

スーツを着ている人が少なくて、公の場でもかりゆしウェア(沖縄で縫製された上着)を着て、風通しの良い服を着ているので、ラフな印象を持たれますが、一応これはめでたいときに着る服でもあり、スーツと同等の位置付けです。優しさとは異なるものですよね。


「優しさ」の意味づけが難しくなりましたが、沖縄の人を東京の人と比較したときの根本的な違いは、

"人と過ごす"時間だと思っています。

沖縄の人は、この"人と過ごす"時間をとても大切にしていると思います。

もっとも、東京の人だって、北海道の人だって、人と過ごす時間はとても大切にしていますよ。その投資というべきか、献身の考え方が異なるんですね。


模合

「もあい」と言います


家族や親戚も大事ですが、沖縄の方は「友人」との絆を大切にして、毎月のように「模合」という形での同窓会(飲み会)を開きます。2〜3人の模合もあれば、20人〜30人の模合もあります。毎月お金積み立てて、順番にその財布を持ち合って飲み会をするという形式上の”縛り”がありますが、それは、「また来月も元気で会おうね」という気付けみたいなものです。

この模合が象徴するのは、会社や家庭でのいざこざがあっても、毎月目的もなく会う友人がいることで「いつでも仲間が支えているよ」的な安心感と駆け込み寺的な位置付けが確立できているところなんです。

これって、地域の町会の会合でも、ママさんサークルでもなし得なかった様々な悩みや相談ごとを解決・共有できる素敵な習慣と場なんです。もちろんfacebookや各種SNSでもなし得ないことです。

沖縄出身の方は、だいたいなんらかの模合に属しているので、この絆で、生活の安心感をもっていると考えています。

将来の不安?

貯金がないよ?

子供の進学?

親の介護?

こうした漠然とした人生の不安感や悩みは、だれでも少なからず持っていますよね。

でも模合でくだらない話をしながら、そんな話を共有した瞬間に、

「それうちも一緒だよ」

「心配せんでもいいよ」

って共感や理解が生まれるわけです。

わかりますかね。一人で悶々と考えていないんです。

特に結婚して家庭に入ってしまうと友達と飲みに行く機会も減り、一気にこの「悶々」が高まります。でも沖縄の人は、家族よりも模合を大事にするくらい、この友人と語り合う機会を育んでいるんです。

仕事や学校の問題解決の会合としてではなくね。

これが、大事なんです。

「優しさ」ってここから生まれてくるんだと思います。

一元的な生き方をしていないんです。

多元的(模合的)な生き方ができているんです。

一人だけ贅沢しようとか、自分だけ偉くなろうとか、親の介護で自分だけ苦しんでいるんだとか、うちの子供だけが成績が悪いだとか、そんな「わたしだけ」星人がいないんです。

「みんなも同じやねー」って思ってる。

大した違いじゃないって。

一方の見方では、妥協的な生き方だとか、非生産的だとか言いますが、


「あれ?妥協的な生き方とか非生産的な生き方がいけないんだっけ?」

って思っているわけですよ。


生産性を上げて、合理性を高めて、失敗しないで完璧な生き方をして、ロボットのようにがむしゃらに成果を上げて行くことも大事なことですが、「人間なんだから、失敗しても分かち合いながら生きていこうよ」って判断軸が心底にあるような気がします。


だから、この絆は強いんです。

弱いところも強いところも知っている者同士の絆ね。


東京や大阪から仕事やイベントで、多くの方が沖縄にやってきてプロジェクトを行なっていますが、

この絆の中には入れないんです。

入ろうとは思わないかもしれませんが、簡単に入れるわけないでしょ。


内地(ナイチ:県外)の人には優しいですよ、とても。

それは、そういう自分のバックボーンにある友人が支えてくれる絶対的な安心感から生まれてくるんです。

もし子どもを沖縄で育てることができるなら、この模合を大切にして育って欲しいと思っています。

家族も親戚ももちろん味方だけど、一生友達と過ごすことのできる時間を獲得できるのはなにものにも代え難いものと思っています。



沖縄の人のことは、ウチナーンチュと言いますが、この区別は、こうした背景をわかっている人かいなかの判断をしているんだと思います。


私は、東京から来ているので、ナイチの人になりますが、ナイチであることを正直に伝えて、ウチナーンチュの考え方を理解して、お付き合いして行けば、少しずつ仲良くしてくれると思っています。



さて、今回は沖縄の人のおはなしでした。

次回は、沖縄の不動産(別荘、移住、AirB、コワーキング、ノマド生活)あたりの話を具体的にご紹介したいと思ってます。













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