色即是空 すべては「空」の、この世界

色即是空


 私は「英語検定1級」をもっていて、英語はペラペラだ。高校数学を指導しているので「数学Ⅲ」までならわかる。なぜ、ここまで勉強したかというと、中学生の頃

「いっぱい勉強すると、幸福になれるんだ」

 と単純に考えていたからだ。

 でも、楽しいけれど、知識は幸福を保証するものではない。

 私はアメリカに住んでいたし、オーストラリア、グァム、韓国、台湾、中国、イギリス、フランス、イタリアといろいろな場所を旅行してきた。なぜか。それは、さまざまな国を旅行して見聞を広めると幸福になれると信じたからだ。

 でも、面白いのだけれど、旅行は幸福を保証しない。

 お金を貯めようとしたこともあった。破産の危機に陥ったこともある。バブルの頃は儲かった。あっという間に、土地と建物のローンを完済できた。しかし、お金はいくらあっても幸福を保証したりしない。

 こうして文章を書いても幸福にはなれない。ブログのランキングが1位になったりしたが、少々嬉しいだけだ。

 私は少林寺拳法の二段で、ジャッキー・チェンとTV番組で共演したこともある。スポーツが人生を豊かにしてくれると思ったからだ。健康には役立つし、暴力を恐れる気持ちがあまりなくなった。しかし、それだけのことだ。

 アメリカで教師をしている時に、洗礼を受けて改宗した。クリスチャンとして、30年以上お祈りをし、聖書を読んできた。信仰は試練を乗り越える力になるし、神様に感謝もしている。

 しかし、聖書に書いてあるように誰にも試練はふりかかるものだ。

 この世に

「こうすれば幸福になれる」

 というマニュアルなど、存在しない。

  私はセンター試験を10回受けて、京都大学の二次試験を7回受け、合格するための方法論を研究してきた。誰よりよく知っているつもりだ。しかし、

「こうすれば京大に合格できるという方法を教えてください!」

 と、言われても困る。なぜなら、そんな方法は無いからだ。

  置かれた状況も、才能も、性格も違うのに、誰でも通用する勉強方法などあるはずがない。

 したがって、予備校や塾のキャッチコピーはほとんど全てが嘘だ。

 そして、私は旧約聖書の一文を思い出す。旧約聖書「伝道の書」です。

第2章

2:1わたしは自分の心に言った、「さあ、快楽をもって、おまえを試みよう。おまえは愉快に過ごすがよい」と。しかし、これもまた空であった。

 2:2わたしは笑いについて言った、「これは狂気である」と。また快楽について言った、「これは何をするのか」と。

 2:3わたしの心は知恵をもってわたしを導いているが、わたしは酒をもって自分の肉体を元気づけようと試みた。また、人の子は天が下でその短い一生の間、どんな事をしたら良いかを、見きわめるまでは、愚かな事をしようと試みた。

 2:4わたしは大きな事業をした。わたしは自分のために家を建て、ぶどう畑を設け、

 2:5園と庭をつくり、またすべて実のなる木をそこに植え、

 2:6池をつくって、木のおい茂る林に、そこから水を注がせた。

 2:7わたしは男女の奴隷を買った。またわたしの家で生れた奴隷を持っていた。わたしはまた、わたしより先にエルサレムにいただれよりも多くの牛や羊の財産を持っていた。

 2:8わたしはまた銀と金を集め、王たちと国々の財宝を集めた。またわたしは歌うたう男、歌うたう女を得た。また人の子の楽しみとするそばめを多く得た。

2:9こうして、わたしは大いなる者となり、わたしより先にエルサレムにいたすべての者よりも、大いなる者となった。わたしの知恵もまた、わたしを離れなかった。

 2:10なんでもわたしの目の好むものは遠慮せず、わたしの心の喜ぶものは拒まなかった。わたしの心がわたしのすべての労苦によって、快楽を得たからである。そしてこれはわたしのすべての労苦によって得た報いであった。

 2:11そこで、わたしはわが手のなしたすべての事、およびそれをなすに要した労苦を顧みたとき、見よ、皆、空であって、風を捕えるようなものであった。日の下には益となるものはないのである。

 3000年前の権力者、ソロモン王が語った言葉。絶対的な権力を得て、豪邸を建て、酒や女におぼれ、財宝をたくわえ、知恵を得た。それでも、彼は「空」と言う。むなしいと言う。

 3000年前というと、日本では縄文時代だ。人間は、いつの時代もお金、地位、豪邸、快楽、酒などを求めて戦争をしてきた。でも、何とむなしいもののために血を流してきたのだろうと思う。

 そうはいっても、やはり毎朝運動をし、聖書を読み、勉強をし、働く。お金を稼がないと生きていけない。美味しいものを食べたいし、モテないよりモテた方が嬉しい。

 同じ生きるなら、「踊らにゃ損」というわけだ。

 ランクが低い大学に行って就職できないのでは困るわけだから、受験勉強に頑張るしかない。数学や英語の勉強も楽しいから、のめり込むのも悪くない。先に待つものが「空」だと分かっていても、日々の生活は何も変わらない。

  ところが、・・・・

 受験指導をしていると気づいたことがある。賢い子は、成績にあまりこだわらないこと。もちろん、勉強に頑張るのだけれど、学年トップになっても

「大したことない」

 というスタンスの子が多い。逆に、イマイチの成績の子ほど、上位に入ると自分が天才になったかのような傲慢な態度を取り始める。露骨に勉強のできない子をバカにし始める。

  かく言う私も、資格をたくさん持っていて、塾講師だから告知もする。でもね、英語が話せたら人間が上等になるなんて、まるで思っていない。そういう肩の力を抜いている方が効率的に勉強がはかどるものなんです。

 色即是空。

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