21世紀の小学校の便所で大便をしようとした時の話

仕事関係でとある小学校にお邪魔した折り、強烈な便意を催し体育館のトイレに駆け込む。

その昔、僕が小学生の頃、学校で大便をすることは最悪の禁忌であった。便意に堪えかね学校で大便をしようものなら、即座にクラス中に知れ渡り大変な迫害に遭うことになった。

このような状況下、我が母校の小学校では普段人気のない社会科準備室などで巨大な大便が発見されるという怪事件がしばしば起こった。僕自身も、大便を我慢するあまりに下校途中で漏らしそうになったり、やむを得ず発見リスクの高い野糞を選択せざるを得ないこともしばしばであった。

この小学校の体育館の男子便所の個室に入るとき、遠い昔のそんな記憶が甦った。しかし、 21世紀の関東の小学校でまさかそんなことは起こるまい。

個室に入り、懐かしい和式便器を見てみると、便器のわきから見事な大便がはみ出し、残置されていた。おそらく、発覚を恐れながらも大便放出を敢行した勇者の置き土産であろう。その置き土産に敬意を表しつつ、ズボンを下げようとしたその時、、、

やはり、甘かった。

個室に入ってからしばらくして、3、4名の高学年らしき男子がばらばらと入ってきた。

「うわー、誰か入ってる。」

「○○じゃねーの?」

「登って、上から見てみる?」

「おお、こんなところにバケツあるじゃん~」

絶体絶命。。。俺はもう死んでいる。今年42歳、まさに厄年。

ここで、大人らしく立派な声を出そうか、いや、それは逆効果だろうか、など思案を巡らせているうちに、

「はい、6年生集合ですよ~」

という先生の呼び声が舞台のほうから響いてきた。まさに神の声。

「あ、先生呼んでる!」

男子たちはバタバタと足音を立てて去って行った。まさに、九死に一生を得た思いがした。

この日の教訓は、「小学校訪問の際は、必ず来賓用便所を使うべし」であった。

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