ボクが京大を7回受けたワケ

 150億年前にビッグバンがあったと言われている。その時の温度が、一兆×一兆度だったと聞いたことがある。いずれにせよ、想像を絶する話なので話半分に聞いておくしかない。
 そのビッグバンの前はなんだったのかと想像しても、膨張する宇宙の外側はどうなっているのかと想像しても、もはや呆然とするしかない。この壮大な空間と時間の前では、5000年前の古代エジプトの時代も、つい最近のことのように感じてしまう。
 人生80年なんて、本当に泡ぶくがはじけるほどの時間だ。今も、世界中のいたるところで紛争や、それにともなう憎悪や悲劇が生まれているのだろうが、200年もすると地球上の全人類は総入れ替えで、ほとんどのことは無かったことのように忘れ去られる。
 夜空を見上げると、そんなことを思う。あなたも、小さい頃に同じ思いで夜空を見上げた瞬間が、きっとあるはずだ。
 小学生だったA子ちゃんも夜空を見上げていたのだろうか。そして、
「医者になりたい」
 と、願いを持って私の塾に来てくれた。
 
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 ひるがえって、自分の仕事ー受験指導を考えると、まことに小さな学力差で一喜一憂していることに気づく。人間は、ほんのわずかの時間しか生きられない。その貴重な時間を、他人に支配されたくないのは当然のことだ。
「あなたは、必ずクラブ活動に参加しなければならない」
「あなたは、この宿題を必ずやらなければならない」
「あなたは、下校時間まで学校にとどまらなくてはならない」
 こんな無意味な規則に従う必要があるのだろうか?私は、中学生の頃に疑問でならなかった。中学三年生になった4月に自主的に退部したら、担任に説教をくらった。
 夏休みに学年主任に電話して
「この問題集は自分にプラスになると思えないので提出しなくていいですか」
 と、尋ねた。自分の選んだ問題集をやるからと説得して、イエスと言わせた。嫌なタイプの生徒でしょう。
 A子ちゃんも、経済的に厳しい家庭環境だったことは着ている服装や言葉の端々から感じられた。普通に考えたら、医者になることなど夢のまた夢なのに、決して諦めようとしなかった。
 
 
 クラブ活動など、やりたい子がやればいい。「勉強とクラブの両立」なんて、教師が勝手に決めたスローガン。私の指導させてもらっていたアメリカの公立中学校では、午後2時半になったら消灯で生徒も教師も誰もいなかった。
 クラブ活動などという制度がある国の方が少数派だと思う。クラブなどしなくても、健全な精神は養える。
 私は20代は英検1級をめざしていた。30代は中学の5科目指導をめざしていた。40代は英語講師から数学講師に転向しようと勉強していた。50代は高校生と一緒に京大を7回受けた。
 私は、就職しようが、結婚しようが、親になろうが、何が起ころうが勉強し続けた。他人の言うこと、アドバイス、常識などは気にしないようにした。他人の作ったルールなどに縛られないから勉強が続いたと思っている。
 指示されたことしかしない子は、学校を卒業したら勉強をしなくなる。
 高校生のA子ちゃんは、あるスポーツで優秀な成績をあげていた。本人は、クラブを継続したかったと思う。しかし、高校二年の時に突然
「もうクラブは卒業にする」
 と、私に言った。おそらく、コーチや仲間からいろいろ言われたに違いない。しかし、私立大学の医学部に進学できる経済状況ではないのだった。
 
 
 私がローガン中学校の生徒に、日本の中学生の集合写真を見せたら
「これは、刑務所か何かか」
 と質問された。どうして、そう思うのか理由を尋ねたら
「だって、こういう服を集団で着ているのは、アメリカだと囚人か兵隊くらい」
 とのこと。
 どんな服を着ても勝手ではないだろうか。アメリカが全て良いとは、言わない。しかし、夏休みが3か月もあって、ほとんど宿題のないアメリカの中学生と、夏休みもほとんど毎日クラブがある日本の中学生では、自由の持つ意味がまるで違う。
 受験指導をしていて思うのは、学力上位の子たちは教師の一方的な指導に無条件で従ったりしないこと。なんでも自主的な判断で動くから、教師が非効率な宿題など出そうものなら、無視して自分で決めた問題集を隠れてやっている。
 それで、いいのだ。人権的に言っているだけではなくて、効率を上げないとライバルに勝てないもんね。
 A子ちゃんは、奨学金、バイト代だけで医学部に行けないことを知り、防衛大学や自治医大や特待生制度で学費が抑えられる大学をさがし始めた。そして、ある時ボソっと言ったのだ。
「お母さん、生命保険解約したって・・」
 
 
 宇宙の謎を解明したい。そのためには、四日市高校から京都大学に進みたい。そういう子がいた。それなのに、
「中学2年生の学習内容はここまで」
 と、英語も数学も前に進ませてくれない。サボっている子に合わせた授業や宿題を出す。バカバカしくて、やってらんないと感じる生徒もいる。
 できるだけ早く帰宅して、続きの数式を解きたいのに\\
 
「強制クラブだから、帰ることはまかりならん!」
 と、無理やりテニスをさせられる。これでは、たまらない。
  ミステリアスな宇宙空間と時間を解明する最大の武器は、数学、数式だろう。そういうロマンを真っ向から否定するような指導を受け入れないのは当たり前のこと。
 A子ちゃんを見ていると、合格に役立たない単純な計算問題ばかりやらせるわけにはいけなかった。志望校の出題傾向を徹底的に調査しなければならなかった。そういうわけで、私は自分でセンター試験や何度も受けたのだ。
 
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「そうは言っても、自由にやらせたら勉強せんだろう」
 とは、よく聞く話だ。そのとおり。怠け者の生徒はね。でも、そんな生徒ばかりではないよ。もっと能率の上がる勉強をしたい生徒も多い。先生より才能のある生徒は多い。
「あの先生、京大を受けたら絶対に落ちる」
 と、私の生徒はよく言う。本当のことだから、黙らせることはできないんだよ。調査書にムチャクチャ書かれると困るので、黙っているだけだ。教師たちだって困っているから、クラブの廃止のため署名活動をしている。
 

公立中学校の、クラブ顧問制度は違法だ!

 
 私が中学生の頃、男子は坊主頭にしなければならなかった。教師は、長髪は不良の印かのように発言していた。カバンも指定のものだった。もちろん、今は自由化されたが、生徒が不良化などしなかったではないか。
 A子ちゃんは、間違いなく多くの患者を救うことを確信できた。こんな子を不合格にするわけには、いかない。私は、採算など考えていなかった。
 
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 この地球に生まれて、わずかな時間しか生きられない私たちだ。他人に迷惑をかけない限り、好きなことをして生きたいではないか。私は、アメリカで中学教師をしていた時、本当に
「アメリカに生まれたかったなぁ」
 と、思った。なぜ、日本ではこんなに校則だらけなのか。なぜ、がんじがらめになっているのか。それは、塾を始めたら、すぐ分かった。論理的に考える人が少なすぎる。
 自分のことを書かせてもらうと、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格してみせて、京大を受けて成績開示して公開し、指導した生徒が京大医学部、阪大医学部に合格していった。
 これだけ実証したら、納得してもらえるのかと思ったら、俳優が出演してコマーシャルをがんがん流す塾へ通う子が多い。受験には、講師や同じクラスの仲間が肝心なのだが、多数派は有名俳優がコマーシャルに出ているか否かが重要らしい。
 
2017年度
 京都大学「工学部」、京都大学「経済学部」、九州大学「医学部」、東京医科歯科大学、大阪市立大学「医学部」、昭和大学「医学部」
 
 日本の常識を、ちょっと横に置いて
「合格するためには、どうしたらいいか」
 を、論理的に考えたら多くの公立中学校、公立高校が多くの欠点を持っていることに気づくはずだ。賢い子たちは気づいているので、自分だけ合格するために自分だけの勉強方法を続ける。
 それを口にすると、私のように誹謗中傷を受けたりして、面倒くさいのだ。四日市高校、京都大学の評価がなぜ高いのか。それは、教授の質も高いかもしれないけれど、そんな評価は私たちにはできない。
 難関校の評価が高いのは、そこに通う生徒の質が高いことが一番分かりやすいモノサシだ。ところが、世の中は、その現実を見ないで
「偏差値、輪切り指導反対!業者テスト追放」
 という状態だ。なんで、こうなるの?
 A子ちゃんだけではない。すばらしい生徒は何人も思えだすことができる。もちろん、予備校の模試は利用した。偏差値も順位も重要だった。過去問の正解率も重要なデータだった。
 できもしない「クラブと勉強の両立だ」という妄想を抱いている子の相手をしているヒマなどなかった。
 
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 私たちは、江戸時代のチョンマゲや「将軍様」のいた生活に違和感を感じる。でも、強制クラブには違和感を持たない人が多い。英語や数学の勉強をする時に、使用する参考書や問題集まで指定されることに違和感を持たない人が多い。
「この年齢の人は、ここまで勉強すること」
 と、決められて先に進めないことに違和感を持たない人が多い。明らかにおかしいのだけれど、変わらない。
 塾や予備校もおかしい。マスコミを使って宣伝すると莫大な費用が発生する。その費用を、授業料に上乗せする塾や予備校が選ばれる。マジメにコツコツという地味な塾や予備校は、どんどん潰れて選択肢がなくなっていく。
 明らかにおかしいのだけれど、何も変わらない。賢い子たちは、その間違いに気づいて出世し、金持ちになっていく。結婚もできるし、豪邸にも住める。世の中、そんなもんなのかもしれないね。
 A子ちゃんは、現在ある企業の研究職をしている。その研究成果は多くの人の役に立っているはずだ。
 

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「英語に関係ない学部出身じゃないのに、英検1級なんて無理!」
「高校生と一緒に京大を受けるなんて、バカげている」
「こんな地区で京大に合格できる生徒がいるわけない」
 親しい友人や家族から、敗北宣言を受けても、私は無視するようにした。時には大喧嘩もしたけれど、前に進み始めた。ちょっと、夜空を見上げてほしい。大きく見えるトラブルも、案外たいした問題じゃないと思わないですか?
 難関校に合格できるのは、ほんの一握りの子だけだ。少数派で生きていくつもりなら、志の低い子の言葉などに耳をかしてはいけない。味噌もクソも同じ扱いをする教師の言葉も無用だ。

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