8歳のあなたへ

拝啓

はじめまして。いや、お久しぶり、お元気ですか?と言ったほうが正しいかな。

私は25歳で、2017年4月15日の未来から手紙を書いています。私は18年後のあなたです。

ドキッとしたことでしょう。怖がりなあなたはきっと「こわいなにこれ、ぼく死んじゃうの?」「おかあさん、はやく帰ってきて」と思っていることでしょう。でも安心して。私はちゃんと生きてるし病気にもなってはいません。

ただ、ちょっとだけ伝えたいことがあったのでこの手紙を書くことにしました。これから書くことは、あなたの5年後、10年後に起こることをつらつら書こうと思います。もしあなたがこの未来に納得がいかないと思うのならば、今のあなたを変える努力をしてください。いやいやこの未来に私は賛成だ!と思うのならば、この手紙なんかすぐに捨てて読書(生き物図鑑)の続きをしてくださいね。


今のあなた

言わずもがな。今のあなたは今のあなたが一番よくわかっていると思います。読書の時間はいつも昆虫図鑑を開いては、ひたすら名前を覚えていますね。本当に大好きですものね。1つのことに熱中できるって素晴らしいことだと思います。

でも1つだけ忠告しておきます。もっときちんとした本を読んでください。ファンタジーでもエッセイでも児童文学でも良いです。確かにあなたは生き物が大好きで、いっぱい名前を覚えて田んぼや畑に行ってその生き物を探しに、触りに、捕まえに、行きたいでしょうが、好きなことしかやらないのは未来の私は賛成できません。自分に合わなくても取り敢えず手に取って読んでみてください。あとから食わず嫌いだったなと気がつくかもしれませんよ。

あ。それから上手く言葉が話せなくても落ち込まないでね。昼休みに、わざわざ別の小学校の”ことばの教室”に参加したりするけれど、周囲の人と比べたら「なんでぼくだけココにいるの?」って恥ずかしくなるかもしれないけれど、人それぞれ苦手なことはあるのだからそこまで落ち込まないでほしいな。


5年後のあなた

中学生になったあなたは部活に明け暮れています。いつも卓球、毎日卓球。持久力をつけるため筋肉をつけるため身長を伸ばすため、上手くなるためならどんな手を使っても上を目指す。顧問の先生の指導だけでは満足できないからクラブチームにも入る。井の中の蛙ではあるものの、好きなスポーツに熱中してのめり込むあなたは本当に羨ましいですし、今でも尊敬しています。部内の空気を読まずに、シャトルランで持久力を鍛える点は賛成はできないけれど。

ただし1つだけ忠告すると、1年後のあなたはスランプに陥ります。今のあなたと比べて、周りの目を気にし始めます。格好良さを求めることでしょう。人から好かれたい思いも強くなることでしょう。優秀だと思われたいことでしょう。それでもどうか自分のスタイルを貫いてください。ドライブ戦術で試合に出たって勝てるわけがないのです。人の意見を聞かずに独走するのは避けるべきだと思います。カットマンは地味で格好悪いかもしれないけれど、練習し続ければ必ず周囲の目にも止まるはずです。どうか耐え忍んでください。

10年後のあなた

高校3年生のあなたは受験勉強に明け暮れています。第一志望の高校に入れなくたって予備校に通わなくたって難関大学に合格できることを証明したいんですよね。YUIさんとも約束をしたんですよね。あんなに大好きだった卓球を高校1年で辞めて受験に専念したんですもんね。高校生活の大半を受験勉強に捧げるなんて、今思えば苦行としか思えないけれど自分を信じて勉強するあなたは素晴らしいと思います。

それでも1つだけ忠告しておくと、もう少し積極的に人と会話してもよいと思いますよ。進学クラスに入ったから自分より頭がいい人だらけで嫌気が差すかもしれないし、30人中30位の成績だから敵対感むき出しかもしれないけれど、そんなムッとした顔でいると人は寄ってはきませんよ。辛くたって、悔しくたって勉強しあう仲間なんだから人を大切にしてくださいね。それから1年後の古山家は、今よりもっと家庭が荒れることでしょう。なので今という時間を無駄にしないで全力で走りきってくださいね。クラスのみんなを大切にした上で、合格という夢がYUIさんと会う夢を叶えることができたのなら、心の底から「おめでとう」と言わせてください。学校をクラスの皆んなを家族を大切にして、どうかその夢を叶えてください。


敬具

2017年4月15日

〇〇大学大学院の古山より。

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