アンビバレントな夜

  人は、生まれて80年ほどしたら死ぬ。どんな権力者も、どんな愚かな人も同じだ。豪邸に住んで、高級車に乗って、美味しいものを食べて一生を送っても、小さなアパートに住み、原付に乗り、粗食に徹して一生を終えても大差があるのだろうか。

    私は、四日市高校時代に良い思い出がほとんどない。通学に往復3時間もかかるから、クラブ活動は断念した。勉強の思い出しかない。入試の5日前に、ノイローゼで入院騒ぎを起こしたくらいだ。

  名古屋大学「教育学部」で、教育学を学んだあと、アメリカのユタ州にある公立中学校、ローガン中学校で教師をし、帰国。

 子供のころは、一流の大学に行かないとみじめな生活になると尻を叩かれたが、本当にそうなのだろうか。旅行に出て、見聞を広げろとか、身体を鍛えろとか、いろいろ言われた。

 アメリカでは、難民クラスで英語を教えたり、体育の時間に拳法を紹介したり、社会の時間に日本の文化の紹介をしたりしていた。日本人は、留学生以外はいない生活だったから、英語が身についた。

 帰国後、英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などに合格。

 確かに、倒産に瀕した時は「お金がすべて!」と思ったこともあった。娘が生まれたら、経営に失敗は許されないと思った。経営に成功するには、多くの人の支持が必要なのだ。

 資格試験のチャレンジが終わったら、39通の「不合格通知」「合格通知」が手元に残った。連戦連勝だったわけではない。お金も時間も大量に勉強につぎこんだから合格できたわけです。


 名古屋の河合塾学園、名古屋外国語専門学校、コンピューター総合学園HALなどで英語講師を14年間勤務。現在「高木教育センター」塾長。

  世間の人は、「私は受験指導が上手だよ」と言っても信用してくれない。やはり、知名度の高い資格や経歴を積まないと信用してもらえない。「先生は、どこの大学を出たの?」と、生徒からよく尋ねられる。

  ここで出会った講師に、英検1級を持っている講師や、旧帝に合格していた講師がほとんどいなかったことが、その後の私のやるべきことを決定した。つまり、自分で受験指導のノウハウを研究するしかないと覚悟した。


 生徒と一緒に、センター試験10回、京都大学7回受験。高得点をとる方法を独自に研究し、「高木メソッド」を確立。

 でもね、英語が話せても、人間が上等になるわけじゃないよ。少林寺拳法の二段をとっても、数学Ⅲが分かるようになっても、何も悟れない。ましてや、豪邸や高級車など、ほとんど意味がない。

  50代のオジサンが、高校生に交じって受験するのだから、目立った。三重大の受験会場では不審者と間違えられて、入場を断られそうになったし、京都からすまホテルでは、父兄と間違えられて、送迎バスの乗車を拒否されそうになった。


 その指導方法を、アメブロに投稿したところ「受験生」ランキングで1位。Youtubeに投稿したら45万回再生となる。

  過去の独裁者の人生を見てごらんよ。宮殿に住み、女性を何百人もはべらせ、暴飲暴食をくりかえしたら、どうなったか。健康をそこない、裏切られて、みじめな最期をむかえた人が多い。


 SNSは、オジサンにはハードルが高かった。しかし、ホームページやブログが広がり、Youtube の人気が出てきて、無視できなくなった。投稿する内容については自信があった。


 通信生を募り、独自添削を開始し、京大医学部、阪大医学部、名大医学部などに合格者を輩出。


 適度の大きさの家。車など安全なら、なんでもいい。ダイエットをしながら健康に配慮して暮らす。好きなことをしてお金儲けができたら、最高に幸福ではないだろうか。


 北海道から鹿児島までの申し込みがあって、ビックリした。やはり、教師や塾講師に対し、「本当にこの先生の言うとおりに書いたら、京都大学に合格できるのだろうか」という不信感があるみたい。

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