独立系?組合、ユニオンと遭遇して その2

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昇給率を巡る見解の相違を契機として起こったマネージャーの一人とのトラブル。このマネージャーが言うことと、その部下が言う事が真逆。先ずは真実を掴まないと。

プロジェクトの評価には技術的な知識を要する為、専門的な知識がある人が必要であった。

もう一つは、日本チームから離れた第三者として公平な判断をしてもらえるかと期待してのこと。

実はこのマネージャーは日本国籍ではあるものの元々は中国籍。詳しい経緯は分からないが日本人と養子縁組みをして日本国籍を取得している。外国籍だから問題と言っているわけでは無いので注意願いたい。何故なら自身、海外で外国人の部下に囲まれて仕事をしたり、上司がアメリカ本社の人間でアメリカ人が同僚であった経験があり、人種を含めた多様性を尊重して来たからだ。

実際、このマネージャーの部下は自分が採用したのだが、インド人とフランス人が一人ずつ。唯一、日本人ぽいのが日系ブラジル人。お国柄で性格もまちまちだが楽しく仕事をしてきた。

そう大切なのは各国の国民性や気質の違いを理解する事。

例えばインドは自己主張が強く中々人の言う事を聞かないので、こちらも辛抱強く話をし続ける必要がある。途中で諦めると同意したと見做されてしまう。

フランス人は陽気だがいい加減な所が有り、何か問題があると人のせいにする傾向があるので、自分の言動、仕事に責任感を植え付ける事が重要。

日系ブラジルは血が騒ぐんでしょうね。社内を回遊して餌探し。可愛い娘の席でホバリングしている。

「そう言う事は就業時間外にやりましょうね。」と、中学生に諭すように躾ける必要がある。


中国人については過去に痛い目に遭った経験がある。

中国に現地法人を設立して経理職の採用をした事がある。今は便利なもので日系の人材紹介会社が進出しており、希望を伝えておけば面接の出張スケジュールに合わせて候補者を準備してくれる。

シンガポールで採用をした時は、紹介とストレートタイムズという地元紙への求人掲載だったから、楽勝と思っていたのがいけなかった。

確かに面接は効率的に進んで1日です10数名と会って、日本にも住んでいた経験のある女性が採用できて満足していた。所が噂には聞いていたがよもや起こるまいと思っていた事がその後に起きた。

それは数日して、そも経理職の女性が日本人の代表の所に来て、

「友達の会社ではもっと交通費を貰っていると言っているので交通費を上げて欲しい。」との要求。

まだ入社したばかりでこの間決めたばかりのことなので、その旨告げると暫くして今度は、

「友達の会社では給料がもっと高いと言っている。給料を上げて欲しい。」との要求。

中華圏では注意を要するのが給料や労働条件の情報。必ず皆んなにバレると思った方が良い。

だってお互いに給与明細などを見せ合って、会社の考え方を探ろうとして、自分の評価が低いとクレームを付けてくるのだから。

これも良し悪の問題では無くて国民性。そういう教育を受けて来たのだから当然の事。

特に中国では建前上労働者が第一だから揉め事になっても国は労働者の方に着く。

という事で、毒を毒で制すると言っては言い過ぎだが、このインド人のディレクターの話の突破力をもって中国人マネージャーと話をさせようという狙いがあった。


インド人ディレクターの調査で分かった事。

どうやら前の会社でもその前の会社でも揉め事を起こしてごねてお金を会社からむしり取って辞めている。

そもそも職務分野の知識には多々疑問がある。翻訳をやっていた時に覚えた程度では。

部下と揉めて職務分野で分からないと個室に呼んで一方的に罵倒する。

夫は米国政府に勤めていて結構偉いらしいが空港の出入国をパスできる?仕事の内容は言えないという。

その上、インド人ディレクターも呆れる位、物語を作っていて自分はその中で被害者だとわめき散らしたそうだ。完全に感情的になっていて話も出来ない。


事ここに及ぶともう話し合いの余地は無い。

何よりもパワハラは絶対に許せない。

興奮する当人を呼んでゆっくりと話をする。

「受け止める人によって違いはあるでしょうけど、相手がパワハラを受けたと言っているのは不味いでしょう。」

「私はそんなことしてません。」

「そう言われるということは信頼関係が無いという事で、このままと言う訳にはいかないことは分かりますね?」

「だから、そんなことはしてません。」とこえを荒たげる。

「そうして感情的になっては話も出来ませんよ。部下との信頼関係もない今、

冷静になって別の機会を探すことを考えた方が良いのでは無いかな。」

マネージャーの顔つきが変わった。怒りと言うよりも驚きの表情に。

きっとそこまで言われるとは予想してなかったのだろう。

「勿論、会社としても何が出来るかは人事と考えて見るから。

例えば、今四半期は出社せずに仕事探しに専念して貰うとか。」

考えてみればこのマネージャーにしても自分が数十人の候補者から面接をして採用。

忙しい中で一緒に一年ほど頑張って来たのだ。

そもそもここまで話がこじれる前には、部下の管理の仕事を外して様子を見ようかと考えていた。

こちらが落ち着いて話をしだしたからだろうか、マネージャーも落ち着いて来た。

「今まで頑張って貰った事は本当に有り難く思っています。今日の話を元に1日考えて貰った上で人事も入れてどうするのが良いのか話しましょう。」と、提案。その日の話は終了した。


翌日、人事も入れて再度の話をして今週末で出社は終了、今四半期中は次の仕事を探すと言う事で合意。翌日、確認書に双方がサインすることとなった。

(本当にこれで良かったのだろうか?)

そんな思いが頭をよぎったが、先ずは解決とホッとしたのも事実だった。



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独立系?ユニオン、組合と遭遇して その3

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