独立系?ユニオン、組合との遭遇 その4
賃上げを巡る意見の相違に端を発したマネージャーとのトラブルは部下へのパワハラ、感情的な言動に加えて、過去現在の不透明な経歴が露呈するに至ってエスカレーション。いよいよ弁護士を介しての交渉かと身構えていたのだが。
翌週の月曜日の昼過ぎ人事部長が部屋にやって来た。
「こんなのが来てました。」手には一枚の紙。
「何ですか?」
「見て下さい。組合からの断行要求書です?」
(組合? そんなものうちの会社にないのに?)
人事部長の手にしたファックスを見ると送付元が「XXXユニオン」となっている。
‼️
「これは新聞なんかで見かける管理職ユニオンみたいなものですかね?」
このビルの下でも居住者の外資系企業の解雇を巡って赤い旗や「不当解雇反対!」と書かれたプラカードを掲げてビラを撒いている団体がいた。
私の問いかけに人事部長、「そうでしょうね。聞いたことないけど。」
あの守銭奴のマネージャーが勝敗の分からない裁判の為に金を使うとはどうしても思えなかったので何か合点がいった感じだ。
「それで何と言ってきているのですか?」
「不当退職勧奨であり団体交渉を要求する、ってことですね。」
「応じる必要があるのでしょうね?」頭を振りながら尋ねた。
「まあ、話は聞かなければならないでしょう。場所は社外が良いです。
団交と言って社内に乗り込んで来られた事がありますから。」
「乗り込んで来ることなんかあるのですか。」
「まあ威嚇する為なら何でもありですから。その時は不法侵入で警察に通報する振りをして排除しましたが。」
新卒で入社した財閥系の上場会社で春闘の決起総会に借り出されて代々木公園に繰り出した時の人々のエネルギーが思い出されたが懐かしいという思いより面倒な事になったなとの思いの方が大きかった。
一方、人事部長は流石にその道のプロ。
思い過ごしであろうが何となくこの局面を愉しんでいるように見える。
「弁護士に相談して回答書を作ります。先方が言ってきている日時の都合を教えて下さい。」
(いよいよユニオンとの闘いの始まりか)
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