独立系?ユニオン、組合との遭遇 その8
ユニオンとの団交を通じて"落とし所"を探る段階に。
何らかの妥協が解決に必要なのは分かるが、当方に非が無いのに解決金を払うというのはどうにも腑に落ちない。
それに退職勧奨時の支払いの水準は1980年代には年収の1-2年分が普通だったのが、現在では3〜6ヶ月くらいとなっている様です。先の仲裁だと3ヶ月を下回ることも多い様です。
それと前々から気になっていたマネージャーの家。
調べてみるとSNSで瀟洒な白い家や庭のバラなどを掲載している。
ついでと思って休日に家の近くに行ってみると、周りは比較的築年数の経った日本家屋の中に、場違いな丸いアーチ型の出窓のある家が。それが彼女の家だった。
そう言えば第一回の団交の日付を決める時、一週間程は都合が付かないユニオン回答があったのだが、元々夏休みを予定していてハワイに行くと休暇申請が出されたのを思い出した。
(みんなに交渉の準備をさせておいて自分はハワイで優雅なバカンス。
今度、ユニオン側が生活云々と言ってきたらこれらを暴露してやろう。)
本社、人事とも相談して最大限の譲歩幅は確認。
しかし、貪欲な先方は想像もしない様な要求を。
1. 即時職場復帰 プラス 解決金
又は、
2. 退職勧奨に従うがXXヶ月分の解決金を支払う。
ここにXXは現在の水準を大きく上回っていて前世紀に聞いたことがある様な期間だった。
勿論、我々の上限を軽くオーバー。
問題にならないと呆れた顔をした書記長が得意げに話し出した。今日は谷啓、いや委員長は所用とかでいない。尤も居ても居なくとも同じ位だが。
「本人は仕事に戻りたいというのが一番だが、そっちそうも行かな様なので、辞めてやるけどそれならそれなりに誠意を示して貰おうじゃ無いかと言うのが本人の気持ちだ。
そこの所をよく考えてくれないと話にならない。」
「そうは言われても我々の理解は本人に問題があって会社にいて貰う訳にはいかないと言うことです。」
イライラしながら売れない作家の書記長が尋ねた。
「それで幾らまで出せるの?」
刺激しない様に探る様に答えた。
「Xヶ月。」相場の下限の数字だ。
大きな溜息と、マネージャーのキットする視線を感じた。
言い訳の様に、「うちの会社儲かっているんですが異常にケチなんです。これが精一杯本社から取ってきたところです。ご理解を頂ければ。」と付け足す。
「Xヶ月じゃ話にならないな。」吐き捨てる様に 言う。
元より落とし所は違う所に有るが、向こうが世間相場からかけ離れた数字を持ち出してきたのでこちらも低めから始めらざるを得ない。もといこれで決裂、最悪裁判になっても自分が責任を持って再度までやると本社には言って了承も取ってある。
ところが一つ誤算があったのは、ユニオン側が提示してきた条件が何度も説得を重ねてやっとの事でpマネージャーの了解を取ったものであったと言うこと。ちょっと話があると言うことで売れない作家と外で話をした際に打ち明けられたのだが、ブラフではなくユニオンも相当マネージャーの扱いに窮している様だった。
(御愁傷様。こうなることは目に見えていたのだが実際にそうなると少し複雑だ。)
カードの切り方が難しくなってきた。
ユニオンを上手く使わないと。
「もう一度、現実的な数字を持って来てくれ。」という書記長の言葉でその日の団交は終了。
(次回が山だな。何れにしても) 心の中でそう呟いていた。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者のTachibana Toshiyukiさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます