トランプ大統領がFBI長官に要求した忠誠

トランプ大統領が就任して100日が経過、本人は自身の功績を我褒めしている様だが、少なくとも人事に関しては依然混沌としている。FBI長官が罷免されるという事態。

そもそも就任1か月で側近中の側近と言われていたマイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官が退任、政権の先行きの雲行きが怪しくなってきたことは記憶に新しい。

その後も、同じく側近であったバノン主席戦略官兼上級顧問が国家安全保障会議のメンバーをはずされるなど政権内の動揺が収まらない。

そして今回はコミーFBI長官の更迭だが、彼はオバマ前大統領により長官に指名されたのであるが、大統領選挙中のヒラリー・クリントン大統領候補の私的メールアドレス使用問題を取り上げたことを自身の大統領選勝利への功績として評価していたようだ。

それにも拘わらず、FBIが自政権幹部の大統領戦勝利前の事前接触並びに選挙戦を有利に運ぶために結託していたとの疑いを捜査するとの方針が出されるや、コーミ長官を呼び出し、自身が捜査の対象であるかを問うたと言う。因みにその際の答えはNo。

では何故、コーミ長官の罷免に繋がったのだろうか。

答えはトランプ大統領がしたもう一つの質問。

「お前は私に忠誠を誓えるか?」

これに対してコーミ長官は、「自分は誠実な姿勢を取る。」と約束。

結果的にこれが解任の引き金になったと言われている。

トランプ大統領の勘違いもここに極まるという感が有るが、逆に言うとこれ程トランプ大統領の本質を表した言葉もないだろう。

FBI長官に自身に対する忠誠を求めているが、政府高官が守るべきものは大統領自身の就任宣誓にも述べられている様に憲法、そして国民。その意味でコーミ長官の回答である「誠実」は誠に的を得た表現。

それに比べてトランプ大統領の自身への「忠誠」を要求する姿は、中小企業の社長や日本の派閥や政党の長が求める自己的な利益を守ろうとする姿に余りにも似ている。

実際、前にいた会社で新しく来た社長が幹部社員を前に、「私は私の言う事を聞く人だけをサポートする。聞かない人は出て行って欲しい。」と言われた事があり、この人は何を言っているのかと思った事がある。本人にすれば自分は社長で自分が全てにおいて正しいので、自分に従わないのは悪だと考えているのだと思うが、それならそもそも会社における他の役員、幹部の必要性は無くなる。

殊に現代のスピードと複雑性が増した時代には多くの多様な情報やニーズがあり、それらを一人で判断することは困難であり、またトップの暴走を防ぐ為にもコンプライアンス体制の確立が求められている。ディバーシティーの尊重が言われている中で「一枚岩」は余りにも脆い存在だ。

ある昔からの役員は、「新しい社長に随分と面従背反では無いかと疑われて、その疑いを晴らすのに随分と苦労した。自分には職位への野望も無いし、あと数年で退くと言って何とか残れた。」とこぼしていた。

これなども勘違いの好例、いや悪例だろう。

他人の振りを見て自分の振りを直せと言うが、国における国民、会社における顧客が一番重要視しなければならない相手であるという本質を見間違わない様にする事が重要であろう。

「私は?」

はい、尻尾を振らなかったので会社を去ることになりましたが、その結果には微塵も後悔していない。

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