ホームレス、チェンジ事件

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今、ジャパンがホットである。 中でも、東京は国際都市として、最近は海外から非常に高い評価を受けている。


日本へ訪れる外国人が驚く一つは、




「日本はなんて綺麗なんだろう、ゴミが落ちていない!」 




いう事だ。 日本人からしたら、ゴミはそこら中に落ちているし、これに驚く外国人に対して、




「え? そうかな? これで驚くという事は、貴方の国はもっとゴミが落ちているのですか?」




という疑問になってしまう。 この日本が世界でも抜きん出た清潔さを誇る点は、海外に一度出た者なら体感し、日本の素晴らしさに感謝する事が出来るであろう。


しかし、幸か不幸か、バンクーバーという世界で高い評価を受ける街で長期留学をした私は、日本のゴミが少ないレベルにあまり驚きはしないし、日本の水道水が飲めるレベルである事に格段の驚きもしない。




カナダのバンクーバーは昔から、スイスと並び、世界でも住みやすく綺麗な街だという評価が高いのだ。 もちろん多くの日本人もバンクーバーに高い評価をしている。


事実、バンクーバーはゴミが少なく、水道水も美味しいし、そのレベルは日本に匹敵かそれ以上の環境ではないだろうか?


しかも、バンクーバーには、By lawと言われる市の条例で景観保護の観点から市民が洗濯物を家の前に干す事も無いから、街全体に所帯臭い空気がにじみ出ていない。 


木が多い街並みは美しさを漂わせている。


全般に寒いから虫も少ないし、汗臭い人に囲まれる事も少ない。 人口も少なく静かで、私は今考えても、20年以上前に、幸せなくらい美しい街で住んでいた、幸せ者の留学生だったのだ。




 


だが、どこの国にも、語りたくない面、汚い面、あまり他国に指摘されたくないuncomfortable secretというものはある。 その一つがホームレスの問題であろう。




「我が国では国民の10%以上がホームレスです!」




という国ならばホームレスは立派な一つの人口構成を成すグループであるから語るに憚られるというよりも、公に語って当然という事になる。


しかし、ホームレスが人口における完全なマイノリティの場合、公に語りたくはないし、他国にやれこれと、語られたくも無いものである。 だが、観光で外国に行った方で見た事がある方もいると思うが、殆ど、どの様な国にも一部ホームレスは存在する隠しようのない側面がある。




 


日本の例を取ってみると、川に架かる橋の下や、河川敷、大きなターミナル駅の付近にはホームレスと思わしき人を日常の中で目視が出来る。 特に駅では、夜の一定の時間になるとどこからともなく段ボールを持って来て場所取りを開始し簡易の寝床作りを開始する。 


あれは一体どういう時間割システムになっているのだろう?


交通や風紀の問題上、誰かの所有する土地の権利を守る上で、ホームレスが一定の土地に陣取りをして寝泊りするという事はアウトではないか? という意見もある。 だが、なぜ夜ならばOKとは言わないまでも、"お目こぼし?" がされ、駅の付近で寝る事が不問とされるのであろう?


杓子定規に言うと昼も夜もホームレスというか、何人も駅や構内と呼ばれるエリアで寝てはダメなハズだ。 だが、これがまかり通るのは、




「昼間に迷惑をかけないなら許す、夜は大変でしょう、夜はここで寝ても黙認するから、朝になったら段ボールもきちんと撤去するんだよ!」




という人としての助け合いの精神というか、思いやり、優しさ、人間友愛、武士の情け、清い水に魚は住まない、色々な事を超越しているというか、ホームレスを徹底的に撲滅しましょうというムーブメントはある様で無い。


言うと野暮な気がするのではないだろうか?


定期的にテレビで、行政とホームレスの立ち退きのいざこざを見る事はあるが、彼らをその場所から追いやった後に何が起こるのか?


一体その後、彼らが何処へ行くのか? と考えた算段上、認めてないけど一線を越えなければ徹底排除はしない、という大人の選択がそこに働く事があるのかもしれ無い。


 




カナダのバンクーバーでもホームレスを見る事がある。


北米の都市に訪れた事がある方で見た事があるかも知れ無いが、無料で施される食事を得る為に、ホームレス風の人達が教会の前に行列を作るのだ。


また、ダウンタウンの街角やお店の前で、通りすがりの人達へ以下の様な言葉を投げかけるホームレス風の人たちがいる。


 


"Change please."


"Give me a change."


"Change!!!"


 


この場合、changeという小銭や釣り銭を表す言葉が使われる。


要は、小銭を恵んでくれ!という事である。 私はダウンタウンのマクドナルドに出入りした時に、出入り口で漏れなくホームレスが掛けてきた "change" の言葉の意味が最初はわからなかった。


発音も最初はよくわからなかったというのもある。


観光で行く方々も、このchangeをうまく聞き取れていない場合もあり、何か話しかけられたのか? と反応に困った経験を持つ方も居るかも知れない。


これは小銭を恵んでくれという事なので、少し小銭をあげる、無視する、それは全て個人の判断になる。


 


20年以上前の高校のESLで社会を教える教師がこのホームレスについて語ってくれた言葉が今も頭に焼き付いている。 日本語で訳させてもらう。




「彼らはhomelessでは無い、hopelessなんだ! だから、彼等の立ち直りは、難しい問題なんだよ。 家を失っても人はまた家を建てようと頑張って立ち上がる事が出来る。 だが、hopeを失ったものは頑張れないし、立ち上がれない。 だから皆に言いたいのは、hopeを持つ事が大事なんだ!」



"kanata" と呼ばれた大地で

008号: ホームレス、チェンジ事件

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BN Murakami

バイリンガル・ネゴシエーション http://giabn.com/blog/

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