これから肺がんを生き抜いていく人たちのために(2)

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僕の肺がんはリンパ節への転移はなく肺葉の中にとどまっていた。腫瘍の大きさは4.5センチ、外科手術により肺葉を切除することが標準治療とされるステージⅠB期だった。統計的には5年生存率は70%。だから、がんは必ずしも死に至る病ではなく治癒で​きる可能性が十分にあると言われれば、今ならば相応に受けとめることができる。

けれども、「魔の二週間」と呼ばれるがん告知からの日々は、とても混乱したものだった。何をしようとしても何もできず、どう考えても思考回路はつながらなかった。

肺がんになった人のブログをたくさん読んだ。つらい気持ちをため込まず、家族や友人に打ち明けなさいと書いてあった。途中で途切れているブログもいくつかあった。その人はきっと亡くなったんだと思ったら切実に悲しくなった。僕よりもずっと進んだステージにいながら、これから肺がんを生き抜こうとしている人たちはたくさんいて、勇気をもって治療を行っていることも知った。

患者会のときも、化学療法の副作用に苦しむ女性は微笑し、

「ステージⅠで肺がんが見つかるなんて、ほんとうに幸運です。」

腰骨に転移した中年の男性は僕を励ますように、

「生きることができると思えたら、もう無敵ですよね」

今、僕はステージⅠBの標準治療を行っている。

術後の一ヶ月は痛みに苦しんだ。痛み、息切れ、咳という三重苦を経験した。

二ヶ月後からは、「UFT」という経口抗がん剤を飲み始めた。手術の後、がんの再発を抑える目的でUFTを服用する。二年間、朝昼夜と飲み続けると、手術の後のがんの再発を抑える効果が期待できるという。

UFTは副作用が少ない。髪が抜けることも、吐くこともない。

それでも、飲み始めてすぐに口内炎ができた。下痢も激しかった。足の指の爪のほとんどが紫色に変色した。色素沈着が原因らしい。だるいとか、どうも考えがまとまらないという、いわば内面的な影に隠れた副作​用も出た。慢性の軽い吐き気はある。主治医はこれらを解決する薬を処方してくれる。

僕は、2015年11月からカプセルタイプのUFTを飲み始めた。だから、あと4ヶ月。

これまで軽微な副作用は顕在化したものの、決定的なものはない。これもまた幸運だと言える。そして、今後は、吐き気や食欲不振を軽減するエビデンスがある顆粒タイプに変更することになった。

僕が肺がんから学んだこと、今もなお学んでいることは、がんは治癒できる病であるということ。焦らず、気長に考えようということ。弱点​をたくさん抱えていてもいいということ。現代医学と主治医と家族に感謝すべきだということ。

そして、これから肺がんを生き抜こうとしている人の一人として、前向きな意思をもって、強く生きるべきだということ。


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