湯浅学『ボブ・ディラン‐ロックの精霊』(岩波書店 2013,11)


 ボブ・ディラン(1941524-)とは、フォークロックというロックのジャンルを生み出した、ロック界の最重要人物の一人である。筆者もボブ・ディランの様々な曲を聴いてきた。中でも名曲、「ライク・ア・ローリングストーン」は60年代では作ることができないPOPで荒々しい曲だと筆者は感じた。

 また、ボブ・ディランは新聞や身の回りの出来事から歌詞を作ることが多く、その歌詞の内容から「代弁者」とよばれるようになったという。(本人は、代弁者であることを否定した。)

 さて、この本書は、そんなボブ・ディランの障害と作品の軌跡を題材にしながら,ボブ・ディランの核心に迫ることを目的とする本である。著者の湯浅学について株式会社boidでは、こう記されている。

湯浅学(ゆあさ・まなぶ)

1957年1月4日横浜市生まれ。各種編集業務、マンガ、写真、グラフィック・デザイン、各種執筆活動にたずさわる。82年に根本敬、船橋英雄と幻の名盤解放同盟を結成、因業の歌謡曲の解析、大韓民国のロック研究等を行なう。86年に音楽評論を活動の中心に定める。93年、即興演奏集団わかたけに参加。演奏活動にも力をそそぐようになる。95年、自身のユニット湯浅バッテリー発足。96年、湯浅湾と改名する。

 著作『人情山脈の逆襲』、『音海』、『音山』、『嗚呼、名盤』、『あなのかなたに』。共著に『ディープ・コリア』、『ディープ歌謡曲』、『ディープ東京』などがある。(boid.net 2010)

湯浅学は自身のバンドを作っている。またそのバンドのCDも出しているように、音楽に積極的な著者だ。そんな湯浅学をとりこにしたボブ・ディランの歌詞は、前述したように、新聞や身の回りの出来事から歌詞を作ることが多かったが、名曲「ライク・ア・ローリングストーン」を作った頃から、歌声も歌詞も荒々しくなった。その影響は、ビートルズから受けたものだが、ビートルズよりも荒々しい。

 筆者は、これは時代の音楽に影響されながら、それを自身のものにして、自分だけの音楽を作ったのだと考えた。「ライク・ア・ローリングストーン」は、ロックでもブルースでもジャズでも、ましてやフォークでもない、音楽の枠を超えたボブ・ディランだけの音楽がそこにあるのだ。だから、ボブ・ディランはビートルズと肩を並べるほどの才能や魅力があるのだ。

 本書は、そんなボブ・ディランのガイドだと推測する。筆者は、ボブ・ディランに興味がある人はもちろん、興味ない人、そして特に、音楽が好きな人に是非読んで欲しい一冊である。

 

参考文献

 

boid.net:湯浅湾 リンク→(URL:http://www.boid-s.com/archives/522203.html)2010,8,13

株式会社boid 2014年6月25日閲覧


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