またまたアメリカのイージス艦が商船と衝突

今年6月に伊豆沖でアメリカ海軍のイージス艦「フィッツジェラルド」がコンテナ船と衝突し多くの死傷者を出したばかりだが、今度は海上交通の要諦マラッカ海峡で同じくアメリカ海軍のイージス艦「ジョン・S・マケイン」がタンカーと衝突しまたしても死傷者を出した。一体、アメリカ海軍に何が起こっているのか?

そもそも論として何故イージス艦が他の商船と衝突するのかとの疑問が湧くだろう。

イージス艦と言えばミサイルが発射されたのをフェーズドアレイという強力なレーダーで200以上の目標を捕捉して十以上の目標に同時に攻撃を加える事が出来る性能を備えている。

ところが灯台下暗しでは無いが海域をカバーするレーダーは通常の艦船と変わるものではなく、却って強力なフェーズドアレイ・レーダーの出す電波や複雑な形をした船型から盲点が出てくる可能性がある。

実際、2000年にはイエメンのアデン湾で停泊中のアメリカ海軍のイージス艦「コール」に小型ボートが自爆攻撃をかけて死者17名を含む死傷者50名以上となる被害を出している。

特に航行量の多い海域ではレーダーによる監視では足りず、航海士による目視での監視が必須となる。

こちらも船型的に特に後方の視界が悪い様に思われる。

その意味では監視をしていた航海士の注意不足が事故の原因である可能性が高い。


二つ目の疑問はイージス艦は何故そんなに衝突に弱いのかという点だ。

鉄の塊の様に見える戦艦が商船に負けるというのは想像し難い。

原因の一つは大きさ。

今回の場合も船の長さはジョン・S・マケインは150m超、対するタンカーは約180m。

それほど大きな差に思えないかも知れないが、重さになると排水量がジョン・S・マケインが約8,400トンに対してタンカーは約3万トンと3倍以上の差がある。

ニュートン力学によれば運動エネルギーは質量に比例するので同じスピードでぶつかったとしてもタンカーの与える衝撃が3倍以上大きくなる。

更にタンカーは1万トン以上の石油を積んでいたと言うから4倍以上となる。

加えて、商船は造波抵抗を減らして燃費を上げる為に船首の喫水下にバルバス・バウという大きな突起を持っている。

これが衝突の際に相手の船の喫水線辺りに大きな破口を開ける「武器」になる。


船は思いの外薄い鋼板で作られており特に横からの衝撃には弱い。

弱いからこそ十分な注意をもって監視を行う事が重要である。

ところがそれが守られていなかったところに問題の原因がある。

アジア地域は幾多の緊張状況に置かれている。

北朝鮮によるミサイル発射を始めとする挑発と、それに対抗するための合同訓練などの恣意運動。

中国の南シナ海進出に対する「自由の航行作戦」。

これかが兵士たちにストレスを与えて、それが疲労感、注意不足に繋がっている可能性がある。

アジア地域に平和が訪れるようにする事が、アメリカ海軍の事故の減少に繋がる。

是非ともその実現を望みたい。




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