口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ⑩ 無茶な約束編

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季節もいつしか冬を迎え、
新しい年を迎えた。


さりげなく成人式も終わった。


成人式は、Yが自分の為に買ったと言っていたが、

ほとんど私に

「付けてていいよ」

と言ってくれていた、ロレックスのデイトジャストのボーイズサイズを付けて出席した。

フェイスサイズが小さくて女性っぽいのと、

シルバーとゴールドのコンビで少しおっさん臭かったのが恥ずかしかったのを覚えている・・・。


それからも、

色々なお客さんとの出会いもあった


本気で美人揃いのクラブ勤務の4人娘。

しばらくしてからその内の一人とMさんは付き合い、3人で遊んだりもした。

初来店の時は、美人で雰囲気がありすぎて始めはみんな席に着くのを嫌がったぐらいだ。

私は接客の特訓で一番に一人で席に着いたが、滑り倒した後に、

お情けで

「気合は認める」

と言ってもらえた。


姉妹でBへ通っていた、美人というより可愛らしい姉妹。

両方ともかなりの天然で、ホスト遊びはあぶなっかしい感じがしていた。


いつもお酒が入ると乱痴気騒ぎをする売れっ子のヘルス嬢。

ただ・・

いつしかふと見せた本当の顔は、

「男を信用できない」

と悲しい顔をしていた。


なんて性格がいい子だ!!! 
と驚く程のヘルスの娘。

そんな性格がいい娘なのだが、

指名していたホストの先輩は、顔はめちゃくちゃ男前で甘い顔をしていたが、

笑いながら、

「お客さんにはなんの情もない」

と言い切る人だった。

事実、

とても甘く、明るい笑顔でお客さんにひどいお願いをしていた事もあった…。


ほんの一部を書いただけだが…

書こうと思えば、

まだまだ書ききれない程の多くの…

沢山の浅い出会いだった・・・。


以前も書いたが・・・・


ほとんどの女の子の本名など知らない。

そして、二度と会う事もない娘ばかりだろう。



時は流れ、もう暖かくなってきていた。

そんなとある日に、


Y「そういえば、最近売上どうなの?」


私「・・・・いや、全然。ナンバーに入るには程遠いよ。」


Y「ダサイと思わないの?」


私「・・・・・。」


もともとそんなハングリー精神を持ってホストを始めた訳ではない。


自分の店を持ちたい。

やりたい事の為にお金を貯めたい。

ベンツに乗りたい。

自社ビルを持ちたい。

プライベートビーチを持ちたい。

自分の王国を持ちたい。


……そのどれにもあてはまらない。


それどころか、

「女」

だった。


その一文字がホストを始めた動機だったのだから。


さらにその当時は、

日々の営業が楽しいからホストをやっている、

という感じになっていた。


Yがいるからホストを続けられているのに……。

まさかその本音を言えるはずもなかった。


その後にYから、仰天の一言が飛び出した。


Y「ナンバーワンになってよ。
10月までにナンバーワンにならなかったら別れるから。


……その代りに安い男だけにはならないで。」


私「えっ!!!?


……わかった。」

(いや~。ちょっと無理だろ!!)


と心の中ではシャウトしていた。

だがそれを口に出したら


Y「じゃあいつまでこんな状態を続けるつもりなの?」


と返されるのは目に見えていたので口には出せなかった。

確かにその通りなのだから。


売上で考えるとBは、

そんなにナンバーに入る為の売上は高くなかった。


通常であれば、半期で250万も上げれば余裕でナンバーワンだった。

一ヶ月だと500万だ。


店によるが、Bの場合は一か月を前期・後期で区切り、

前期売上○○万円・ナンバー1の○○!

後期売上○○万円・ナンバー1の○○!

という形式をとっていた。


半月ごとにホストを競わせた方が、店にとって都合が良かったのかもしれない。


東京の人気ホストの方々が、

一か月で1000万以上売上を上げるのに比べたら、

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