超平和な涙

 

子供の頃は本当に泣き虫だった。


ちょっとしたことでも自然と涙がこぼれた。


悔し涙というより悲しい涙。


そんな自分も歳を重ねて、いつしか滅多に涙を流すことはなくなった。


プロ野球選手の引退試合。


親友、親、愛犬との死別。


そんな時ぐらいだろうか。


涙を流す事で心のデトックスになるという話を聞いたことがあるが、なかなかできるものでもない。


仮に悲しいことを思い出しても、ただ感傷に浸るだけでそれ以上にはならないのだ。



しかし…不思議なこともある。


忘れた頃に「あの花」を見返すと、自然と頬を伝うものが流れてくるのだ。


ストーリーの主役達「超平和バスターズ」の皆が、抑えきれなくなった感情を剥き出しにして、心の底から泣きじゃくる。


そんなシーンを見た時にふと…



感情を押し殺して生きているつもりはないのだが、他人の顔色を瞬時に察知する生き方をいつの間にか身につけてしまったことが仇となっているのかもしれない。


感情を素直に解き放てる方が、きっと楽なのだろうとは思う。


だけど、染み付いてしまった思考回路はそう簡単には変えられない。


そんなねじ曲がった自分を時にほぐしてくれる「あの花」には感謝しなければ。


超平和な涙をありがとう…と。



著者の山口 寛之さんに人生相談を申込む

著者の山口 寛之さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。