デメギョ生徒会長になる。2

デメギョ生徒会長になる。2

オンボロバス🚌に揺られ30分、代々続く由緒正しき末永米穀店に辿り着いた。

米の部屋のある離れには、店を通って行く方法もあるけど、いつも裏から入って狭い日本庭園を抜け、鯉の泳いでいない池のわきを通って、ガタゴト古くなった離れの引き戸を開ける。(まるで隠棲してる松尾芭蕉の庵って感じ。)

部屋に上がると、米は愛用のテレキャスターというらしいエレキギターをかき鳴らし始め、俺はいつもの所に隠してあるマイルドセブンに火をつけた。う〜ん。うまい!「実際どうやろ?第三者的に見て俺は票取れるかなぁ〜。男子の票はとれるとおもうけどなぁー。」

「うん。男子の票は取れるやろ。でもうちの学校は女子7・男子3の割合だから、女子の票取れないと負けは確実。デメギョだってよく分かってるだろ。」

「そこで米参謀長の出番じゃないかぁ〜。」

「う〜ん。🤔だいたいデメギョは生徒会長になったら何をやりたいわけ。」

「🙋🏻‍♂️良くぞ聞いてくれました。マニフェストやろ、それは考えてたんだ。まず、今年は学校創立30周年ということで、大々的に文化祭やろうと思う。その中で、俺たちのOwensのロックコンサートを紛れ込ませる。それから最近女子のバカちんどもが、30周年を区切りに制服をセーラー服からブレザーにしようとしてるらしい。俺はセーラー服が好きやからブレザー派を叩き潰す。最後にこれは最も大事な事だけど、俺は生徒会長の肩書き使って彼女を作る。入学して今まで彼女ができなかったこの悲願を達成するために、誰も成りたがらない生徒会長なると言っても過言ではない。」

「そうか気持ちは受け止めた。参謀長としての答えだ。言うことを聞いてもらえないと選挙参謀をおりる。いいかデメギョ。」

「もちろん米参謀長の答えに従う。」

「まず、生徒会長の肩書きを使って彼女を作るってのは却下。」

「ちょっと待ってくれよぉ〜。それは俺の悲願だぜ。生徒会長やる意味ないじゃん。」

「そもそもマニフェストってのは、全校生徒に生徒に呼びかけて大多数の賛同得るためのものなんで、デメギョ個人の利益のためを謳っても多数の賛同は得られないよ。それに生徒会長になってしまえば、新入生なんかより取り見取りさ。」

「そうだよな。なってしまえばより取り見取りかぁ〜。なるほどぉ〜。越後屋〜、お主も悪よのぉ〜。」

「米屋だけどな。それはいいとして、次に30周年記念の文化祭を派手にやる件はいいと思うよ。だけど、ロックコンサートは全校生徒の賛同得られても先生たちの賛同得られない。と言う事は実現不可能だから却下。」

「またまたぁ〜。米だってみんなの前でギターかき鳴らしてカッコいいとこ見せたいだろ。俺だってドラムのかっこいい所見せて彼女作りたいじゃないか。悲願なんだよ。なんとかなんないの。」

「だからとりあえず、30周年記念の文化祭は派手にやるって事をマニフェストにして、ロックコンサートは伏せておこう。」

「そうか、当日にサプライズでOwensのコンサートやるか。」

「次に制服の事だけど、これはどうすればいいか調べて見ないと分からない。」

「なんで?米だってセーラー服好きだろう。かわいいやん。」

「まあブレザーもいいと思うけど、まあセーラー派と言う事でいいけど、問題は、女子の中でも割れてて、特にあの嵯峨野舞子がブレザー派の急先鋒らしいんだ。」

「あちゃ〜。あいつは俺苦手だよ。なんか怖くないか?美人ちゃあ美人だけど、気が強くて彼氏もいないんじゃないの、絡みづらいんだよな。謎の女って感じ。」

「そうなんだ謎なんだ。あいつの動きによっては制服はブレザーになるんじゃないの。でも今のところセーラー派とブレザー派は勢力拮抗してるみたいだから、いいんじゃないの、マニフェストに入れといて。」

「じゃあ、マニフェストとして。30周年記念の文化祭は派手にやろう。制服はセーラー服存続。裏マニフェストで、Owensコンサートと俺の彼女作りと言う事でやってくれるな。米参謀長。」

「いいよ。面白いんじゃない。」

そう言うと米はテレキャスターで、ザ トラブルの川崎ナオンブルースを弾き始めた。

俺は3本目のタバコを🚬灰にして、エロ本の無い庵を後にした。



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