ドブネズミが90日で社長になった物語【第3章】

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金で全てを失う人間。


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熊本地震で被災する一年前。当時20歳。

地元の最も信頼していた先輩に詐欺で騙された。


中学、高校と同じ学校の同じ部活の先輩。

当然のように一番可愛がってくれた先輩だ。


「久しぶり、ちょっとお願いがある。」

ある日電話が来て、困ったような感じでお願いをされた。


今まで可愛がってくれていた恩をちょっとでも返せるならと思い、喜んで引き受けた。


その一本の電話から地獄が始まった。


今考えると、アホみたいな手口で騙され、百万円単位で騙し取られていた。


事実を知った瞬間に、人生の終わりと感じてしまうほど目の前が真っ白になった。


両親は呆れ果てていた。

呆れるのもしょうがない。


20歳になっても大人の責任感を持っていない息子。

ぶん殴られて方がマシなくらい自分が情けなかった。


すぐに警察や弁護士に相談しにいった。

狭い田舎で噂が広まるのにも時間はかからなかった。


先輩はお金に困っていたらしい。

知らぬ間に僕は喰いものにされていた。


一番無知で、一番可愛がっていたから騙せると思ったのだろう。


そう考えると余計に悲しくなる。


先輩は地元から姿を消した。


どこかにいるのかもしれないが、僕とはもうなんの関係もない。

その先輩は地元の恥さらし。完全に居場所を失った。すでに先輩とも思っていない。


今時、詐欺師なんてすぐに捕まる。


人からお金を騙し取って自分だけ幸せになろうなんて安直な考えで生きていてもすぐに留置所で不味い飯を食うだけだろう。


1人の人間のことをこんな言い方はしたくないが、詐欺なんてのはクソみたいな人間のすること。


僕の先輩は、たった数百万のためにクソになった。


でも、感謝もしている。


騙された瞬間は苦しい思いもしたが、クソみたいな先輩のおかげで僕は勉強するようになった。


自分が無知であることを知り、学ぶために、知識をつけるためにお金を使うようになった。


おかげで、今では先輩が騙し取った金額以上を毎月稼げるような生活だ。

「ありがとう。」


今では捕まっているのか、詐欺師として生きているのか知らないが、

僕から騙し取った100万円でうまいラーメンでも食ってくれ。


騙されたのは、僕が無知だったせい。

だから、お金を騙し取ったことに関しては責めない。


だが、二度と僕と僕の周りの人の目の前に現れないで欲しい。


怒涛の20歳


と、こんな感じで僕の20歳が始まった。


僕が先輩に騙された頃から周りもおかしくなり始めた。


学生時代は優秀だった女の子が大学を辞めて風俗で働き始めたり、

友達がネットワークビジネス(MLM)を始めて300万円の借金を作って自己破産したり、

お金の貸し借りで友人関係が崩れたり、


自分の周りでもお金の問題が目に入って来るようになった。


大人が「お金は汚い」と言っている理由がなんとなくわかった気がした。


お金のせいで身体まで売るし、先輩はクソになった。妙に納得してしまった。


20歳になると、”怪しいおっさん、お兄さん”達がこぞって騙しに来るらしい。


キャバ、風俗の勧誘、ネットワークビジネスの勧誘、詐欺 などなど。


どいつもこいつもうまい話を持って来る。


社会の分別もわからない20歳の女の子に「儲かるから」と言ってそんな仕事をさせたり、

20歳の男を自己破産まで追い込んで、心はなんともないのだろうか。


さすが、クソだ。


20歳になると、何事も親の同意が要らなくなる。

キャッシングカードやクレジットカードも簡単に作れてしまう。


そこにうまく漬け込んで、世の中の汚さを知らない弱い人間を狙って来るのだろう。


僕が想像していたよりも、世の中はクソにまみれていた。


僕はこんな”クソ”にはならないと心に誓った。


第4章に続く

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