後ろ向きの賭けに出た安倍政権

どうやら安倍首相が総理の専権事項である衆議院の解散、選挙に打って出る方針を決めた様だ。選挙と言えば政権・政策に対する民意を問うと言うのが「大義」。しかし今回の解散・選挙にはこの大義が見受けられない。

アベノミクスによる超低金利で円安・株価が続いたことにより日本経済は一息。

それにより安倍政権は高い支持率を維持して、それを根拠に強引な政権運営を行なってきた。

その綻びが見え始めたのは皮肉にも安倍首相が念願の自民党総裁3選、そして憲法改正目指し始めた頃。

第二次安倍政権成立の元となった前回衆院議員選挙で当選した新人議員や閣僚の相次ぐ失言。

そして、その様なタイミングを狙ったかのように噴出してきた安倍ファミリーによる政治の私物化スキャンダル。

地下深くでくすぶっていて支持率が高かった際には決して地表に現れなかったものが、地表の割れ目を見つけて吹き出した形だ。

安倍首相がいくら自分は官庁に働きかけていないと主張しても、「忖度」を期待しなかったと言うのは信じがたい。

権力の周りに、首相のお友達に特権がばらまかれている事に国民はノーを突きつけている。


これ以上の支持率の低下を防ぐ為に行った内閣改造は、失言リスクの多い閣僚のすげ替えと、大臣ポスト待ち国会議員の処遇という政策運営とは異なった大義が優先された。

そして今回の衆議院選挙。

首相の念願である憲法改正が大義かというとさにあらず。

今年の5月に自民党総裁として2020年には新しい憲法の施行の年としたいというタイムラインを出した他、憲法第九条の改正案を示した以外は、今後の国民の議論に委ねるとしており、今現在、国民に問うものではない。

むしろ今回の解散・選挙により憲法改正の発議を行うのに必要な総議員の三分の二を失う危険もある。

それでもここで解散・選挙に臨むのには以下のような理由が考えられる。

まず臨時国会が開催されると森本学園問題、加計学園問題に関する議論が国会の場で行われて、首相が攻勢にさらされる姿をテレビ中継で国民に晒す事になる。

お友達の加計理事長の岡山理科大学の獣医学部新設の再審査へも悪影響を与える。

明らかに「逃げ」だ。

そしてもう一つの理由は他の政党の惨状。特に民主党は前原新代表が選出されたものの脱党者及びにその候補者が山盛りで、共産党との協力体制についての党の姿勢も決めきれていない。

小池新党の「親戚」、若狭新党も明らかに準備不足。

敵が弱っている今だからこそ自分達が票を取れるとの自惚れ。

しかし国民をそこまで馬鹿にして大丈夫だろうか。

最後にこの冬以降、国連制裁で追い詰められた北朝鮮がどう出てくるか分からない点だ。

追い詰められた北朝鮮が振り上げた拳を落とす先は全面報復攻撃を受ける米国や同胞の韓国ではなく日本になるのではないだろうか。将軍様も自分の命が掛かっている。

緊張が高まった中で解散・選出となると政治的空白を生む事になってしまい、事実上、首相の専権事項である解散権が封印されて首相の指導力を削ぐ事になってしまう。

そうなる前に一か八かで政権浮上を図ろうと言うのだから、そこに大義はない。


前回2012年の衆議院選挙は650億円もの費用が掛かっている。

国民の目から見て支援したい政党が無いのであれば一刻も早く国会議員の定数を半減するぐらいドラスティックな手を講じて欲しい。

そうなれば自ずと候補者も厳選されてより建設的でスピーディな議論が行われるようになるのでは無いだろうか。

少なくとも将軍様のように自信の保身を図る為ならなんでもやると言う姿を我が国の政治家からは見たくはない。




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