純情ホスト② ダメホスト編

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繋ぎでBに在籍していたスーパーおじさん軍団がBを去る頃には、徐々に新しく新人が入ってきていた。



SY社長がおじさん軍団がいる間に、気合を入れて従業員の募集や補充をしていたからであろう。

ふと気づけば、Bのホストはいつの間にか14名程になっていた。



その時期の新人達も、やはり5人中1人が3ヶ月後なんとか残っていたという様な感じに変わりはなかった。


その時期に入店した中で、2~3名を除けば、

ギリギリ顔を覚えているぐらいの従業員ばかりだった。



そう偉そうに表現したが、その中で私も結局は・・・

やはりダメホスト、

全く出来ていなかった。



その時には、私も売上を上げなければいけない状況にエスカレーター式になっていた。

店としては、売上を入ったばかりの従業員に期待するわけにもいかず、

売上を上げろと言われるのが私とS君がメインになったからだ。


その頃を境に以前にはなかった、売上を求められるようになっていった。


もともとの動機が女である。


それまでは、売上を意識してやってきていた訳ではなかった。

ナンバーに入っていないと格好悪いと思った事もなかった。


楽しく飲めれば良かった。

相手と自分が楽しく飲めれば良いと。


しかし当たり前だが売上がなかったら店側は、店の家賃も払えない。

そんな事も考えた事はなかった。


責任を負う立場になっていなかったからだろう。

以前であれば自分のお客さんが来ていなくても、他の主要メンバーの誰かが、お客さんを呼んでいた。


今はもう、その人たちはいない。


もう自分達以外は、まだ右左もわからない従業員たちばかりなのだ。



少し時間差で、社長が次の一手をうった。


私がBに入店するよりも前に、

Bでナンバー1をしていたMKさんという人をSY社長は呼び戻す事に成功した。



以前のBのナンバー1だったMKさんはすごかった。


背は高くなく、スタイルも良くはないが

顔は全体的にバランスのとれた顔立ちをしており、目は大きめ。

日サロで入念に焼いており、七三分けの茶髪で緩めのパーマがその時の女受けを正確にとらえていた。




グループに隠れて、東京でホストをやっていたのだが、

それがバレて戻されたというのもBに戻ってきた原因の一つだと聞いた。



Bに入店する前にMKさんとR華社長が繋がっていた事もあって、

1年弱ほど前の、私がBに入店したての頃、MKさんがプー太郎の時に何回か会った事があった。


その時のホストをやっていない無職の時期でも、

女が好きで、呼吸をする様にナンパをする人であった。





そういった経緯もあってか、

Bへ出戻ったばかりだったに関わらず、

今までのどのホストよりもお客さんを呼んだ。




自分指名のお客さんが一人も来ない日のことをボーズと言うのだが、

MKさんはボーズの日がなかった。

むしろ平均的に3卓ぐらいのお客さんを呼んでいた。


完全にホストを仕事として考えている人であった。


いきなり、まったく見た事もない美人の風俗嬢を連れてきたりするような人だった。

ちなみに余談だが、芸能人の中谷○紀に激似で本気で驚いた記憶がある・・・。




そんな、誰もが認めざるおえない結果を出し続け、

MKさんは入店(出戻り)2ヶ月程度ですぐに店長という肩書きになった。

SY社長の次だ。


そして実質、現場はMKさんが仕切るようになっていく。




MKさんは怒ると非常に怖かった。

頭も切れる人であったので、こちらが考えている事をすべて裏まで見通されていて、

いいわけなど通用しないし、結果が出ない理由も正確にダメだしをしてくる。


さらに・・・超がつく酒乱だった!!


MKさん「K、お前なんの為にホストやってるの?」


私「・・・・・・・・・。」


MKさん「金じゃないの?」



まさか

「かわいい女と付き合うのが目的で~す。」

とは言えない様な空気だ。そんな空気に押されるがまま、


私「はい・・・・お金です。」


MKさん「そんな仕事の仕方だったら、お金なんか貯まんねぇぞ?やる気あんの?」


私「・・・・すいません。」


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