英会話講師からデザイナーへの転職

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二度聞き必須の経歴

自分の経歴を人に紹介するとほぼ100%「なぜ」と聞かれるポイントがある。

・英語大好きで、語学で生きていこうと外国語学部英語学科を卒業、通訳の養成学校を修了

・英会話学校、塾、予備校で英語を合計10年ほど教え、通訳の仕事も少々

・デザイナーに転身 (←ココ!)

・ウェブ・グラフィックデザイナーとして制作会社、外資系銀行で働き、フリーランスでコンセプト・プロダクトデザイナーへ

・現在はスタートアップでクリエイティブディレクター

この経歴紹介で「え?なぜ?」と聞かれ、デザイナーへの転身の理由を語ることになる。そうすると自分の半生を紹介できて、結果打ち解けられる。それはそれでラッキーですが、今回はその説明をここで語ることで、言う手間をある程度省けるのではと期待しています。。


デザイナーへの転身は、英会話講師としての技能や経験を100%活かしているため、講師になった経緯から語ることにします。


英語で生きていこうと最初に思ったのは高校1年生の3学期。担任が当時30代にしてほとんど髪の毛がなかった英語の先生で、英語の勉強の仕方や面白さを親身に教えてくれたのと、映画TOP GUNのトムクルーズに憧れて本気でハリウッドで俳優になろうと勉強したのがきっかけで、英語の成績がグンと伸び、全国統一模試で偏差値75とか出して調子に乗り、同時に真剣に考えていたプログラマーへの道を捨て、文系を選んで大学へ。経済的理由で留学はできず、一方で大学の講義が嫌いで、ほぼ独学&無料で英会話を学ぶ。卒業後、塾講師をしながらも「トムクルーズになりたい」という夢が捨てられず、留学できなくても発音は一流になろうと猛特訓(以後、英語を話すと必ず海外経験が長い人と勘違いされる)。そのうち英会話講師の試験になんとか合格。当時はパスポートも持っていない講師として話題になり、本人はインチキ英語を思っていながらも、留学しないでも英語ができるようになる証人として本気で英語を学びたい生徒からとても慕われます。今考えると人に教えるという行為がもともと好きだったのか、性に合っていたのか、中学・高校在学時は試験前に友達が質問しによく家に来ていました。わからなかったものを理解してくれる瞬間が何とも言えず快いものでした。更にさかのぼると小学生時代、近所の子どもの中で自分が一番年上で、いつも小さい子達が集まって「今日は何するの?」って聞かれてました。プレステも3DSもない時代。缶蹴り、影踏みは飽きた。みんな常に何か楽しい遊びを期待してきます。新しいゲームを考え、教えるのは自分の役割。でも、すでに何度も発案→実行&検証→改修を繰り返していたこともあってアイデアが出るので、即興で考えたゲームを教えながら遊んでいました。「あ、これ楽しい」という声を聞くのがたまらなく好きでした。


天職か!? 超楽しい英会話講師

塾講師、予備校講師、英会話講師など、営利団体に属する講師は、ユーザーと企業をつなぐ営業のようなものです。教育機関でありながら小・中学校などと違い「生徒が嫌と言ったら辞められる」サービスであり、一方で「成績・実力を伸ばす」という目的が叶わなくても辞められてしまう。また、1課程・1学期ごとに更新してもらえるようにカウンセリングによるケアもします。講師は、人間として生徒を惹きつける、エンターテイナーのような魅力と、有料だから当然結果が出るという親や本人の期待に沿うような結果を生み出す、講師本来の実力を兼ね備えていないと生き残れない。真面目なだけで人気がない講師、面白いだけの授業で好かれる講師はクレームが多く、(少なくとも自分が講師だったときは)解雇の対象になりました。理解できないという者の側に立ってわかりやすく、かつ面白くモチベーションを上げながら進めていく。グループレッスンは生徒の能力の差もあり、理解の速い生徒とそうでない生徒を同じレッスンの中で飽きさせない工夫、恥ずかしがって発声しない人の対処など、たいへんなことは数え切れない。そんな環境でも、私は教えるのが大好きでした。今になって冷静に理由を分析してみると、それがよく分かります。

・人とじっくり話すのが好き

・話す相手と同じ目線になるのが得意(子ども相手のときは子どもになる、というかまだ物心がついていないような。。)

・自然に英語が身についたのではなく、できるようになる練習方法をたくさん知っている

・厄介なこともゲームにして楽しみながら行える

・英語なのに目で見て理解する教え方ーイメージ・グラフ・チャートを描くのが好きー生徒は黒板の丸写しでなく、理解したものをノートに写す

・何と言っても得意な英語を1日8時間も話していられるし、話していれば尊敬される(あのときが人生で一番モテたなぁ。。)

要するに、ダイレクトのコミュニケーションが好きでした。いろいろ気にかけることはあるけど、楽しく生徒と1日話して給料がいただけるというのは最高。このまま講師で一生終えるかも、と考えていました。ある出来事が起こるまでは。


転機

塾講師をしていたとき、会社では当時珍しかったAppleのMacintoshを使っていました。(IICiでクラリスワークス・クラリスドロー・ファイルメーカーを使って事務作業していた。懐かしくて涙が。)それ以来ずっとマックユーザーで、初めて自分のマシンとして買ったのがBondi Blueの初代iMac。Photoshopで自分のレッスンで使うチラシやポスターなどを作成。デザインはもともと大好きでしたが、iMacのおかげでアイデアが形になり、少ないながらもそれが受け入れられることに喜びを感じていました。(余談ですが当時仕事から帰った後、毎晩家でデザインの作業していると熱中しすぎて体が硬直し、動かなくなって病院に運ばれたことも。医師から「肩こり」と言われ、「は?肩こり?」と返すと、「肩こりをナメてはいけません」と叱られました。。皆さんも気をつけて。)そして、「iMac持ってるし、ポスター作れるから」という理由で、スクール最初のウェブサイト立ち上げに自分が指名されます。いやいやいや、ウェブなんて全然わからないし、そもそもイメージだけじゃ動かないんじゃ?という反論虚しく、全部一人でやるハメに。HTMLとCSSの本を買い、Photoshopで作ったイメージをつなぎ合わせて(もちろんテキストも使いました)、手打ちコーディングでなんとか完成し、リリース。すると、スタッフはもちろん、自分の生徒から続々と賞賛されます。その後広告やDM、スクールのポスターも手がけるようになり、会ったこともない人に「チラシキレイですね」「ウェブサイトカッコイイ」と言われると、デザインもコミュニケーションなのではないだろうか、と思うようになります。目の前にいない人とも、自分が作ったものを通してコミュニケーションできる、それってスゴくないか?世界中の人とコミュニケーションできるってこと?もしかしたら、このままデザイナーになれるんじゃないか。そう考え始めたとき、また独学で学びたい衝動に駆られ、ウェブデザイン(AdobeのGoLive!)、モーションデザイン(After EffectsとFlash)、グリッドや色、レイアウトなど勉強し始め、立ち上げたウェブサイトも何度かリニューアル。ウェブデザイナーとしてやっていけるわずかな自信がついたとき、無謀にも転職を決意します。


「180度転身」の難しさ

就職活動を始めたものの、デザイナーとして正式に採用されるまでは苦労の連続。当時日本の企業は可能性より実績を重視。「経験がないのにデザイナーとして君は何ができるのか?」という問いに、英会話スクールのウェブサイト1つの実績と根拠のない目標をいくら語っても、まったく歯が立たず。困った果てに行き着いた人材紹介会社では、「講師としての10年のキャリアを捨て、180度違う職を目指す、ということですか?」と何度も聞かれました。言い返すこともできず、肩を落として帰る日も。そんなある日、ふと思いつきました。

「こんな自分でも、自分でなきゃできないデザインがあるはず。」

講師の経験と技術を活かすデザインとはなんだろうか、というのを自分なりにまとめ、面接の際に力説してみました。1件目、無謀にも大手のデザイン事務所に挑戦。残念ながら採用は逃したものの、人事部長さんに「君のキャリア紹介は相当強烈なインパクトで、正直迷いました」と言われます。そして、何と2社目で就職が決定。そのときの紹介文は今も自分のLinedInのプロフィールにそのままの形で残しています。


By combining my presentation methods and visualization skills which I acquired through my teaching career and my design sense, I can always create user-centered designs that captivate and magnetize users' attention. 

I believe that design is communication.


目の前の人たちを魅了する講師としてのプレゼンを、自分のデザインに反映すればいいんです。デザインもコミュニケーションだから。


自分しかできないこと

私の場合、講師に向いているとして挙げた項目のほとんどが、デザイナーとしても活かせることがわかります。

・人とじっくり話すのが好き→コミュニケーション力で、ユーザーやクライアントの真意を捉える

・話す相手と同じ目線になるのが得意→ユーザーフレンドリー

・英語ができるようになる練習方法を知っている→わからない人にも理解できる説明

・厄介なこともゲームにして楽しみながら行える→ゲーミフィケーション

・英語なのに目で見て理解する教え方→イメージ作成や解説の仕方

これらの技術・経験を今のキャリアに結びつけることこそが自分をユニークにするし、自分が歩んできた人生を活かすことになります。講師とデザインという一見まったく関係ない職業も、結びつけば強力です。というか、職業が人のものである限り「まったく関係ない」というのはあり得ないですね。

書道や写真など、道を極めた人たちがよく口にすることのなかに「XXとは、人生そのものだ」というフレーズがあります。書も写真も、大切なことは特殊な訓練だけでなく、普段の生活からいくらでも学びとることができる。私はデザインも講師も到底極めるところに至っていませんが、同様に考えることがたまにあります。つまり、過去の実績や技能だけを活かすのではなく、人生そのものをキャリアに結びつけることができれば、自分という唯一無二の存在と同じくらいユニークなことができるのではないか。あなたの生き方そのものを、仕事に活かしてください。そうなったら、その仕事は他の人には絶対にできないはず。


英語の勉強法は後日別ストーリーで。

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ハートに響くデザインを創るデザインカンパニーEnfani(あんふぁに) http://enfani.jp/ Multi-award winning designer of products, concepts and all digital things

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