学年ビリから2番目だった中学生を、クラス3位まで上げた時の話①

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勉強なんて何のためにするんですかね?


彼がはじめの頃、良く言っていた言葉だ。
その話の前に、いろいろ前置きをしよう。

ボクが、まだ北海道にいた大学時代、家庭教師をしていた時の話だ。
彼は、いわゆる"不良"と呼ばれる部類にいただろう。
趣味はギターやボクシング、好きなものはロックバンドの中学2年生。
そんな子だった。

その頃ボクはバンドマンで、茶髪に赤と金と白のポイントカラーを入れるという
見た目はひどい感じだったが、結果的には彼にはすごく気に入ってもらえた。
彼は、X JAPANが大好きで、そーいうビジュアル系?な感じが良かったのか。

彼が家庭教師を始めた理由も
両親が、塾に行かせたが何も変わらない
やんちゃだから直接見てくれる人が欲しい
というのが、主な理由だった。

大手の家庭教師派遣会社の紹介だ。
紹介用の紙が送られてきた。
そこには、こう書いてあった。

どんな先生が良いか?:いいひとがいいです

最初に見たとき、驚いたのは漢字がほとんどなかったことだ。
彼は自分の名前すらひらがなで書いていた。
また、7割ほどが空欄だったと思う。

好きな科目:なし
嫌いな科目:ぜんぶ!
どんな先生が良いですか:いいひとがいいです
好きなもの:ギター!

どうやら"!"が好きだということがわかった。

親御さんの欄には
とりあえず全科目3割を目標にしたいです。

『・・・』

それまで、塾講師を1年ちょっと、家庭教師も5人目くらいだったが
いろいろ衝撃的だったのは覚えてる。
でも、ボクはわくわくしていた。
どんな子かすご~く見てみたかったからだ。

九九わかる? え~と多分わかります

初めて、彼の家にお邪魔した時、彼以外誰もいなかった。
ボクも多少なりとも緊張していたが、彼もさすがに緊張していたようだった。
その時は、親御さんには申し訳ないが勉強をする気はなく
『今日は、キミのこと知りたいから勉強は無し!で、何が好きなの?』
それが、彼に問いかけた初めての質問だった。

彼の部屋には机やテーブルなんてものはなく
ボクが来たら、居間からちゃぶ台を持ってくるというスタイルだった。
(それは最後まで変わらなかった)

しかし、ギターはいつも置いてあり
ボクはそれを手に取った。
『ギター弾くんだ!何弾くの?』
と言いながら、軽くカチャカチャ弾いてると

『え!それカッティングですか?どうやってるんですか?』
緊張していた彼が、一瞬にして好奇心旺盛の少年の目になっていた。

そのあと、彼にカッティングのやり方を教えると
ものすごい真剣に何度も何度も試行錯誤していた。

その瞬間にボクはある程度確信していたのかもしれない。
『この子は伸びるかも・・・』

そう思ったのもつかの間、試しに前の期末テスト見せてよ!
と何気なく言ったら
『お、いいっすよ!』
もうこのときから、ですます調ではなく、ッス調になっていた。

彼はぐちゃぐちゃにつまれている紙の山を漁りだした。
ボクも家ではそんな感じだったので偉そうなことは言えないが
でてきた解答用紙は、クシャクシャで破れているものもあった。
ましてや1、2科目なくなっているものもあった。

特に数学は散々な感じで、試しに
九九くらいはできるよね?と聞いたら
『え~と、多分わかりますw』
という返答だった。

合計点数 45 / 500

学年では、ビリから2番目だった。
これを見たときに、さすがにやばいな、と思ったと同時に
この成績をあげたら面白そうだなとも思っていた。

それを見て、何が苦手なの?何がわからない?
と聞いてみた。
半分予想はしていたが、
『全部です!何がわからないかもわからないっすww』

と無邪気な笑顔で言っていた。



しかし、そんな彼が親までをびっくりさせたのは
その初めての家庭教師からたった1ヶ月後のことだった・・・

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