日本IBMとヤマハ発動機で得た貴重な人生体験(その2)

前話: 日本IBMとヤマハ発動機で得た貴重な人生体験(その1)
その1が、自分の予想以上に反響がありました。(足跡で500ビューを越えました。)
2回で終了するつもりでしたが、「読んでよかった!」が10個を越えるようであれば、もう少し続きを書いてみたくなりました。

3、ビジネス形態の比較(感動創造 VS BUG=Money)

YMCで私が担当した商品は、バイク。IBMJでは、catiaというCADのソフトウエア。
私が担当したスポーツバイクという商品は、お客様に感動や喜びを与える趣味の乗物。
車体設計という仕事もとてもやりがいがありました。
自分が設計したモデルのプロジェクト終了時には、満足感があり、社会に対する誇りがありました。

catiaは、自動車業界でNo1のCADで、SEの仕事は、TOYOTAやHONDAなど自動車メーカー社内に常駐してお客様がうまく使えるようにサポートする仕事が多かった。
バグが無いソフトウエアは存在しないと言われます。ITの業界に入ってソフトウェアというものがこんなに未完成の状態でも出荷されるのか本当に驚きました。

catiaは、フランスのDassault systemsが開発していましたが、releaseが低いときは、操作していてアベンド("Abnormal END"=異常終了)していました。
バイクの場合、操作していてエンジンが止まったりハンドルが動かなくなったりすれば、これは即、リコールになりますから、そんな段階で出荷する事などありえません。
そんな商品でも、お客様に売る、また買うお客様がいるというソフトウエアというビジネスにどうしても慣れなければならず、自己嫌悪でした。売る商品に誇りなど微塵も持てなかった。
catiaは、高い組み合わせでは、1ライセンス1000万円以上もするソフトです。自動車メーカーは、数千ライセンス購入されています。
考えようによっては、ソフトウエアという商品は、ボロ儲けです。
小さな工場などは、IBMJだから安心だろうとブランドだけで購入を決めるお客様もいました。
catia自体は、リリースアップしていくごとに完成度が上がり、V5Releas16あたりからは、お客様に満足して使っていただくようになりました。(お客様にバグを見つけ出してもらった結果)
ソフトウェア業界で自己嫌悪だったのが、あるときふと、気がついた。
バグがあるからこそ、私のようなSEの存在が必要なわけで、警察と泥棒、医者と患者、SEとBUG の関係になっている。バグを修正する事で給料をいただいていたんだ。

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