学年ビリから2番目だった中学生を、クラス3位まで上げた時の話④

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警察官か消防士になりたいっす!

彼に何になりたいか?
と聞いて即答された言葉だ。

正直びっくりした。
彼の中では、もうやりたいことは決まっていたのだ。

理由も確か
『なんか、かっこよくないですか!?』
みたいな感じだったと思う。

ちょっと横道にそれるが
ここまで読んでくれた人は、え、意外と真面目な良い子じゃん?
と思ってるだろう。

しかし
母親が部屋に入ってくると
『わかったから、早く出てけ!!』って怒鳴ったりとか
深夜に遊びにでかけたりとか
言えないようなこととか ← これが一番多いw

しまくっていた。

でも、ホントにピュアだった。
嘘はつかないし、とても真っ直ぐな子だった。

何故ボクを慕っていたか?
それは、前も言った"友達"ってことだと思う。

きっと家庭教師は教え子からの認識が"大人"になると
うまくいかないと思う。
特に勉強が嫌いな子は。

正確に言えば、彼にとってボクの存在は
"いろいろ知っている先輩友達"って感じだったと思う。

意外とこの"先輩"ってのが大事。
仲が良いけど、あくまで尊敬すべき対象であり、話を聞きたいと思うかだ。

だからこそ、ボクが話すことは興味津々で聞いたし
悪いこともいっぱい教えたw ← これも言えない

大学なんてテキトーなとこ行けば、4年間遊べるんだよ~ とか
誘惑もした。

『え~いいな~、まじっすか~』
って言ってた。

でも、結局彼の夢はぶれることはなかった。

ついに受験生になった

彼はこの頃に、驚くべき行動をとった。

ある日、ボクは友達と居酒屋で酒を飲んでいた。
すると、彼から1通のメールがきた。

"テスト近いんで、授業増やしてもらってもいいですか!?"
正直、アルコールも吹っ飛んだ。

そして、嬉しかった。

『勉強なんてなんのためにやるんですか?』
と言っていた彼が、自分から能動的に、勉強を望んだ、初めての瞬間だった。

正直、その頃は志望校がしっかりと決まっており
その時の彼には、そこまで厳しくもなかった。
(家庭教師をやる前の成績では、担任にアホか!と言われるレベルだったらしいが)

成績が良いわけではないが平均+α くらいとるくらいで安定していた。
結局、それで彼は受かってしまうわけだが。

彼のやる気も、時間も増えた。
成績も安定した。
そして、もう一つ彼に教えて、理解してほしいことがあった。

お母さんを大切にしてあげなよ

ボクは、自分の話をした。
昔は父親も、母親も嫌いだった。
家の中で好きだったのは、飼ってるネコくらいだった、と。

でも、ボクは彼の成績が上がって
赤飯をくれて、喜んでいた彼の母親の顔がどうしても忘れられなかった。

そして、こう続けた。

中学生の時は反発したいのもわかる
俺も中学の時は○○と同じ気持ちだった
だから説教してるわけでもないし、強制するわけでもない

今の自分から見て、こうしたほうが良いんじゃないかな?
というアドバイス程度な話な

今、○○が自分から勉強するようになってるだろ
それはホント嬉しいんだ俺
でもな、一番喜んでるのは、○○の母ちゃんなんだよ

俺と一緒に勉強できてるのも
俺を雇ってくれたのも、○○の母ちゃんだ

○○に文句言われても、お前の母ちゃんはお前の成績上がって喜んでるんだぜ

いつも、俺にお礼言ってきてさ
そんな、良い母ちゃん滅多にいないって、マジで

俺もそのときはわかんなかったけど
今、この年になってそんなことをやっと感じてる

親への感謝ってさ、恥ずかしいけどさ

少し大事にしてやってくれないか?
俺からのお願いだ

彼は、少し戸惑いながらも真剣に聞いてくれたし
わかってもくれたと思う。

正直、こんなことを教えるのが
家庭教師として正しいのか、という考えもあるだろうが。

それから、彼が母親を怒鳴りつけるような光景を見なくなった。
彼も、理解してくれていたのだと思う。

言い忘れていたが、彼の両親は離婚していた。
彼は、笑い話のように話し、あまり気にしていなかったが。

そんな話をした、数か月後くらいだろうか。
彼の両親は復縁した。

少しでも、彼の家族の力になれたかな、と思っている。

彼が中学を卒業した

彼との契約期間は、中学3年、受験まで。
正直、ボクも楽しかったし、辞めるのはイヤだった。

でも、また新しいスタートを切る彼の背中を押した。

最後の日は意外とあっけなかった。

『今まで、本当にありがとうございました』
お母さんに深々と礼をされ、感謝された。

彼の母親は高校進学もできない、とまで心配してたので結果的には本当に良かった。

彼には
『ま、いつでも遊びいこーな!またな!』

と言うと
『はい!ありがとうございました!!』

って笑顔で言ってた。

彼との家庭教師が終わりを告げたのだ。

しかし、まだ話は続くわけで...

それから、半年くらい経った頃だろうか。

1通のメールがきた。

彼だった。


続く... (あと、1話か、2話)

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学年ビリから2番目だった中学生を、クラス3位まで上げた時の話⑤

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