徳島県のバイオベンチャーに投資した時の話

フューチャーベンチャーキャピタルという京都のベンチャーキャピタルに入社して、一年以上経っていたころの話ですが、初めて新規投資を担当した会社が徳島県のバイオベンチャーでした。
「創薬」ベンチャーではなく、その後行程とも言える「製剤」の分野で新しい研究を実用化するベンチャーで、経皮材に関する研究でした。神戸のバイオ特区に製剤向上を投資するための資金調達ということでした。レンタカーで2時間(もっと?)くらいかけて部長と一緒に会社に訪問するという、非常にハードな外交先でした。その頃の思い出として、鳴門大橋の風景がすごく残っております。
そのときに思ったことは、バイオのようなハイテクのベンチャー投資における目利きは、業界の俯瞰図や一般論としての学習は多少努力すればできるものの、最終的にその会社の技術革新の産み出すインパクトを信じられるかどうかは、とても難しい判断だと言うことです。ある学者は「それは現在の技術水準では難しい」といった否定的な意見を述べますし、それに取り組んでいる学者やチームは「我々はそれを実現した。その難易度こそが競争力だ」と言う訳です。ここまでくると『天動説を信じられるか?』みたいな問いに似ていまして、本当にサイエンティストとしての素養と科学技術をビジネス化した経験が必要だし(それすらも十分条件ではないかもしれないし)、自分にはハイテク投資は向いていないな、と思った次第でございます。
もっと自分に身近かつリアリティを持って判断できるセグメント(例えばインターネットサービス)でちゃんとやりたいな、と思うようになりました。

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